30代で早期リタイアしたい!
どうすれば早期リタイアできる?
勤めている会社を早期退職して、経済的な自立を目指したいという人が、最近は非常に多くなってきました。
日本では終身雇用制度の崩壊により、各企業で早期退職者を募る動きが活発化し、多くの人が第二の人生を考えるようになりました。
人生100年時代においては、大企業に就職したとしても決して安泰ではない上に、自身の望んだライフスタイルを叶えるのは難しいでしょう。
この現状から若年層の間では、早期リタイアを目指すような人が増えてきています。
この記事では、30代の早期リタイアに必要な資金や具体的な方法に関して、初心者の方にも分かりやすく解説しています。
早期リタイア後にどのような生活をするかによって、必要な資金額は異なります。
早期リタイアとは会社を辞めて自分らしいライフスタイルを築くこと
早期リタイアとは、定年退職を待たずに早期退職し、経済的な自立を目指すという意味です。
今まで勤めてきた会社を辞めて、新しい第二の人生を歩むという意味でも、最近は早期リタイアを選択する人が多いです。
企業側としても早期退職者を募っているケースが多く、40代・50代で早期退職した後に、地方や海外で生活する人も珍しくありません。
30代での早期リタイアは、非常に珍しいケースです。
早期リタイアが注目されるようになった社会背景
早期リタイアが日本社会で注目されるようになった理由の一つには、終身雇用制度の崩壊が挙げられます。
日本ではこれまで終身雇用制度や年功序列制度、新卒一括採用が一般的でした。
しかし、ここ数十年の日本経済の不調により、企業側も業績不振に陥り、今までのように労働者を定年まで雇えない状況です。
日本でも成果主義という考え方が徐々に浸透したことで、終身雇用と年功序列が見直され、本当の意味で実力社会へと変化してきている訳です。
このような現状から、会社だけに依存している状況をマズイと感じた人が増え、副業や投資などを行い経済的な自立を目指す人が多くなりました。
FIREやアーリーリタイア、セミリタイアとの違い
まずFIRE(Financial Independence, Retire Early movementの略語)とは、経済的な自立を意味しており、一つの概念ともいえます。
早期リタイアとアーリーリタイア、FIREはそれぞれ同じ意味を指しており、セミリタイアに関しては早期リタイア後も働いている状態を指します。
別名「サイドFIRE」とも呼ばれており、勤めていた会社を退職した後もアルバイトやパート、フリーランスとして収入を得ている人です。
早期リタイアするために必要な資金【年代別】
早期リタイアを実現するために必要な資金は、次の通りです。
年代 | 必要資金(目安) |
---|---|
30代 | 約1億9,900万円 |
40代 | 約1億6,700万円 |
50代 | 約1億2,800万円 |
前提条件として、男女共に平均寿命「男性:81.64歳」「女性:87.74歳」で算出しています。
各数値はあくまでも目安であり、年代や家族構成、個人のライフスタイルによっても必要な資金額は、大きく異なります。
30代で早期リタイアを目指すためには、最低でも約2億円必要である事実からも、実現はそう簡単ではないでしょう。
各数値は、生命保険文化センターと厚生労働省、総務省のデータを元に算出しています。
30代で早期リタイアする場合
結婚や出産などの大きなライフイベントが多い30代ですが、早期リタイアするために約2億円の資金が必要になります。
30代は他の年代と比較して何かとお金がかかる年代であり、その後の人生を大きく左右するライフイベントも多く発生しやすい年代です。
早期リタイアに必要な金額が、他の年代よりもかなり多いことからも、30代で実現するのはかなり難しいといえます。
仮に30代で早期リタイアする場合、厚生年金からの年金支給額が減額してしまう点も、考慮すべきでしょう。
40代で早期リタイアする場合
40代で早期リタイアするためには、約1.7億円の資金が必要です。
40代になると子供の教育費が大きな負担となる上に、仕事でも重役を任される人が多くなります。
住宅購入なども40代で検討する人が多く、老後資金に関しても40代から準備していく必要があるでしょう。
また加齢により怪我や病気などのリスクも高まるため、定期的な健康診断も欠かせません。
独身であればまだお金や心に余裕がありますが、既婚者の場合は早期リタイアのハードルは、非常に高いといえます。
50代で早期リタイアする場合
50代で早期リタイアを実現するためには、約1.3億円の資金が必要になります。
50代になると子供が成人して教育費の負担がなくなる反面、親の介護や相続などの新しい問題が発生します。
親の介護に関しては、親自身がしっかりと準備している場合は問題ありません。
しかし何も準備がない場合は、金銭的に余裕がないケースが大半ですので、介護に対するサポートが必要になるでしょう。
老後資金に関しては、子供の独立をきっかけに取り組む人が多く、iDeCoやNISA制度を活用して積極的に資産形成を始めるチャンスです。
早期リタイア後に必要な費用(コスト)4項目
早期リタイア後に必要となる費用項目としては、主に4つ挙げられます。
- 生活費(食費・水道光熱費・家賃など)
- 税金(住民税など)
- 各種保険料(年金や健康保険料など)
- 娯楽費(趣味や旅行など)
変動費と固定費に分けてそれぞれどの程度の支出になるのか、一度計算してみましょう。
生活費(家賃・食費・水道光熱費など)
総務省の資料によると平均的な1ヶ月間の生活費は、15万5,561円という調査結果が出ています。
早期リタイア後にかかる生活費は、どこに住むかによって大きく異なります。
比較的に安く生活できる地方で生活すれば、早期リタイアに必要な資金もそれほど高くないでしょう。
しかし、利便性や仕事、医療面などを考慮して、早期リタイア後は都市部に住むという人も、少なくありません。
どちらにせよ早期リタイア後の生活費は、非常に重要な項目です。
生活費がどの程度かかるのか、先にしっかりと詳細を把握すべきでしょう。
税金(住民税など)
早期リタイア後は、あなた自身で税金を納める必要性が出てきます。
主な税金項目としては、持ち家がある場合は固定資産税、住民税、消費税、所得税などが挙げられます。
早期リタイア後もアルバイトやパートとして会社で働く人は、会社側が代行して納税してくれるでしょう。
フリーランス(個人事業主)として独立をされる場合は、個人で確定申告を行い所得税を納める必要があります。
どちらにせよ税金の仕組みに関しては、基礎だけでも押さえておく必要があるでしょう。
税金の仕組みや確定申告等に関して学びたい方は、簿記3級の取得を目指してみるのも一つの方法です。
各種保険料(年金や健康保険など)
会社に勤めている間は、会社側が健康保険料や厚生年金保険料をまとめて給料から天引きした上で、支払いを行なっています。
早期リタイア後は、国民健康保険に加入すると共に、自身で保険料を納める必要があります。
国民健康保険料に関しては、本人の所得と住んでいる地域によって決められています。
また年金に関しては、会社を退職し厚生年金が外れたことで、国民年金のみを自身で納めなければいけません。
年金制度の仕組みは、3階建ての構造になっており、1階が国民年金、2階が厚生年金、3階が個人拠出年金や等になっています。
各種保険料に関しては、早期リタイア後も継続して支払う必要がありますので、必ず詳細を把握しておきましょう。
娯楽費(趣味や旅行など)
早期リタイア後は、多くの人が趣味や旅行等により多くのお金をかけるようになります。
経済的に自立した状態であったとしても、保有している資産には限りがあります。
そのため程度を考えずに、趣味や旅行にお金を費やす訳にはいきません。
平均的には支出の10%が娯楽費を占めている人が多く、仮に毎月20万円の収入がある人である場合、2万円が娯楽費となります。
早期リタイア後に趣味や旅行等を行う計画がある人は、予算をしっかりと決めた上で実行するようにしましょう。
早期リタイアを実現するため必要な3つの力
早期リタイアを実現させるためには、次の3つの力が必要になります。
- 稼ぐ力
- 貯める力
- 増やす力
どれかひとつでも欠けている人は、早期リタイアの実現は難しいでしょう。
稼ぐ力
稼ぐ力とは、具体的には本人の収入や年収を指します。
早期リタイアを実現させるためには、当然ながらある程度の収入が必要不可欠です。
年収300万円の人よりも年収1,000万円の人の方が、早く早期リタイアできる可能性が高いのは、誰が考えても明確でしょう。
稼ぐ力を上げるためには、収入を上げるための行動が必要になります。
具体的には、資格取得や副業、転職、スキルアップなどが挙げられるでしょう。
貯める力
貯める力とは、本人の貯蓄率を指します。
貯蓄率は家族構成や本人のライフスタイルによって異なりますが、最低でも月収の10%は毎月貯蓄するのが理想といえます。
仮に手取り月収が35万円である場合、毎月3.5万円は貯蓄(もしくは積立投資)に回すことになります。
加えて、貯める力をより高めるためにも、生活を最適化したミニマムライフを送ることや、節約・節税などを心がけるなども挙げられます。
いくら稼ぐ力が大きい人でも、その分消費が多いと意味がありません。
増やす力
増やす力とは、ここでは投資を指します。
日本にはタンス預金として、総額約50兆円が眠っているというニュースが、一時期話題となりました。
超低金利時代と呼ばれる現代社会においては、銀行預金として保有していてもお金は増えません。
日本政府は「貯蓄から投資へ」という意識改革を国民に対して促すために、NISA制度やiDeCo等の利用を呼びかけています。
早期リタイアを実現させるためには、投資は欠かせない要素ですので、まだ取り組んでいない人は前向きに検討しましょう。
早期リタイアするメリット3つ
早期リタイアする具体的なメリットを、大きく分けて3つご紹介します。
- 自由な時間を確保できる
- 仕事のストレスからの解放
- やりたいことに専念できる
何よりも仕事のストレスから解放されるのが、早期リタイアに憧れる大きな理由ではないでしょうか。
自由な時間を確保できる
多忙な現代人にとっては、自分の時間がより多く確保できる点は大きなメリットでしょう。
(時間があれば〇〇したい…)と思っている人は、早期リタイアすることで理想を現実へと、叶えられるかも知れません。
「Time is Money(時は金なり)」という言葉があるように、お金と同様に時間も人生においては、非常に大切なものです。
仕事のストレスからの解放
早期リタイアの最大のメリットといっても過言ではないのが、労働からの解放です。
現在、生活のために働いているという人は、かなり多いでしょう。
仕事が与えるストレスは、とても大きいと誰もが感じているはずです。
早期リタイアできれば、労働から解放されストレスのない生活が手に入ります。
早期リタイア後も仕事がしたいという方は、好きな相手とだけ仕事を行うことも可能です。
やりたいことに専念できる
早期リタイアできれば、生活のために仕事を行わなないで済むため、本当の意味であなたが心からやりたいことに挑戦できます。
例えば旅行が好きな人であれば、365日旅行を楽しむことも可能です。
登山が好きな方であれば、平日・休日に関係なくいつでも山へ登ることができます。
既婚者であれば家族で、海外移住や地方移住なども検討できるでしょう。
会社に縛られず経済的な自立を果たせれば、人生の選択肢も大きく広がる訳です。
早期リタイアするデメリット3つ
早期リタイアするデメリットとしては、次のような項目が挙げられます。
- 資産を上手く切り崩せずストレスになりやすい
- やることがなくなり孤独感を感じやすい
- 社会的な信用度が下がる
早期リタイアに憧れる人は非常に多いですが、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。
資産を上手く切り崩せずストレスになりやすい
早期リタイア後の悩みとして一番多いのが、貯金が減っていくことに対する不安です。
早期リタイアした方にとっては、「資産額=安心の量」といっても過言ではありません。
資産を切り崩す方法としては、投資の世界では4%ルールが基本です。
具体的には、毎年資産の4%を切り崩しながら生活することで、元本は減らないという考え方です。
しかし、現実はそれほど簡単ではなく、実際に早期リタイアしても資産を切り崩す行為には、かなり不安を感じる人が多いです。
やることがなくなり孤独感を感じやすい
これまで多忙だった生活から解放されて、いきなりやることがなくなり、虚無感に襲われる人も珍しくありません。
早期リタイアした直後は、自由に趣味や娯楽を楽しむといった人も多いですが、その後社会との繋がりを求めて復職する人もいます。
仕事を通して社会と繋がっている実感を得たい、と考える人は珍しくありません。
実は、孤独感なども相まって早期リタイア後も、働いている人が大半なのです。
社会的な信用度が下がる
実際に会社に属していない状態であるため、社会的な信用度は下がってしまいます。
具体的には、クレジットカード審査が通らなかったり、マンションの賃貸契約などを行う時に不都合が生じる可能性があります。
会社という大きな看板がなくなる訳ですから、早期リタイアした後は、あなた自身で信用を作っていく必要があるでしょう。
具体的な方法としては、マイクロ法人を設立するのも一つの手段です。
早期リタイアで後悔しないためにやるべき3つのリスト
早期リタイア後に後悔や失敗を行わないためにも、次の3つの項目を必ず押さえておきましょう。
- 早期リタイア後のライフプランを事前に決める
- 早期リタイア後に必要な収支を計算する
- 会社から退職金がいくらもらえるか調べる
早期リタイア後の生活をより充実させるためにも、計画性を持って臨みましょう。
早期リタイア後のライフプランを事前に決める
早期リタイア後のライフプラン(人生設計)は、事前にある程度決めておくと良いでしょう。
その後のライフプランは、早期リタイアを実現させるためのモチベーションにも繋がります。
例えば早期リタイア後は、地方移住や海外移住を行なったり、趣味を活かして起業やフリーランスとして活動するもありです。
もちろん、早期リタイア後にある程度自由を満喫してから、再就職するのも一つの選択肢だといえます。
早期リタイア後の人生をより充実したものにするためにも、ライフプランを計画し明確な目的や目標を持つようにしましょう。
早期リタイア後に必要な収支を計算する
早期リタイアをより早く実現させるためにも、現時点でどの程度の生活費がかかりそうかシミュレーションしておきましょう。
収支をしっかりと把握することで、より明確に早期リタイア後の生活に必要な資金が、分かるようになります。
早期リタイア後に必要となる経費は、家族構成やライフスタイルによって大きく異なるため、事前に計算しておくのが無難です。
最近は早期リタイアした人たちも、積極的にブログやYouTube等で情報発信されていますので、ぜひとも参考にしてみてください。
会社から退職金がいくらもらえるか調べる
会社から得られる退職金も早期リタイアには、欠かせないお金です。
実際に早期退職した際に、いくら退職金がもらえるのかを事前にしっかりと把握しておきましょう。
具体的な金額に関しては、会社や個人の状況によって大きく異なるため、直接経理や会計係に聞いてみると良いでしょう。
ある程度の金額が分かっていないと、早期リタイアのタイミングが図れません。
30代の早期リタイアに関するよくあるQ&A
30代の早期リタイアに関する多くの質問や悩みの中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答を分かりやすくまとめました。
気になる点は、積極的に自身でも調べるようにしましょう。
Q.会社員と公務員だと、どちらが早く早期リタイアを実現できますか?
結論からいうと会社員の方が、早期リタイアできる可能性が高いです。
現時点で公務員は、法的に副業が禁止されており、本業以外の収入源を得るのが難しい状況にあります。
その点、会社員であれば就業規則に副業禁止が定められていない限り、自由に副業が行えます。
早期リタイアを実現させるためには、今よりも収入を増やす必要があるため、圧倒的に公務員の方が不利だといえるでしょう。
Q.FIREや億り人は一過性のブームなのでしょうか?
FIREという考え方は、アメリカから日本へと浸透してきた考え方であり、最近は特に話題に上がっているテーマでもあります。
世界的にみても日本人は働き過ぎだといわれていますが、多忙な日本人だからこそより大きな反響があったのは事実です。
また仮想通貨ブームにより、運よく早期リタイアを実現した人たちを億り人といいますが、こちらは完全に一過性のブームだといえます。
Q.早期リタイアに向けて何か行動している人は多いのでしょうか?
早期リタイアに向けて何かしら行動している人は、意外に多いです。
いきなり大きな変化を起こすことはできませんので、まずは節約や節税などの身近なところから着手するのが良いでしょう。
会社員であれば、小さく副業を始めてみるのもおすすめです。
その他、つみたてNISAやiDeCo等を活用して、資産運用を始めるのも早期リタイアに向けた小さな一歩だといえます。
Q.30代で2,000万円あれば早期リタイアできますか?
30代で2,000万円だと早期リタイアは、正直難しいでしょう。
独身者でも最低2億円ほどは、確保しておきたいところです。
とはいえ、家族構成やあなたのライフスタイルによって、必要な資金額は異なります。
2,000万円でも問題ないか、ご自身で一度シミュレーションしてみると良いでしょう。
Q.早期リタイア後は、どのような生活をされている人が多いですか?
最初の数ヶ月間は自由を満喫する人が大半ですが、その後は復職している方も意外に多いです。
個人で何か新しいビジネスを始めたりする方も多く、第二の人生としてお金ではなく社会貢献を目的に活動されている方もいます。
ただし、中にはインフレや円安の影響を受けて、途中で資金が足りなくなったり、人生の目標を見失ってしまう人もいます。
まとめ
早期リタイアは、誰もが憧れる自由なライフスタイルを、実現するための一つの手段に過ぎません。
目的や目標によっては早期リタイアを実現しなくても、達成できる可能性はいくらでも考えられます。
それでも早期リタイアを実現させたい方は、3つの力(稼ぐ力・貯める力・増やす力)を高めながら、資産を増やす努力が必要です。
早期リタイアまでの道のりは険しいかも知れませんが、まずはあなたができることから始めてみてはいかがでしょうか。
ライフプランニングでお悩みの方は、お気軽にFPへご連絡ください。
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