公務員が仮想通貨投資を行うのは、違法ですか?
公務員の仮想通貨取引きは、副業に該当するのでしょうか?
仮想通貨は2008年10月にサトシ・ナカモトという人物が、ビットコインに関連する論文をネット上で公開したことがきっかけで作られました。
当初は1ビットコイン1万円にも満たない価格でしたが、現在は1ビットコイン500〜700万円の価格推移に達しています。(2021年12月時点)
仮想通貨ブームにより世間では「億り人」が続出したことにより、公務員でも仮想通貨に興味を示す人が非常に多くなりました。
しかし、公務員は副業が法律で禁止されており、仮想通貨も副業に該当するのではないかと不安に感じている人が多いです。
この記事では公務員の仮想通貨投資が違法でない理由と、実際に投資を行う際の注意点等を分かりやすくまとめています。
最後まで読んでいただくことで、公務員の仮想通貨投資に関して正しく理解することができるでしょう。
公務員は副業に関しては禁止されていますが、資産運用や投資等に関しては法律で禁止されていません。
公務員が仮想通貨投資を行うことは副業に該当しない
公務員の仮想通貨投資は副業に該当しないため、仮想通貨で資産運用を行う事自体は、違法ではありません。
仮に公務員の投資行為が禁止されているのであれば、「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」等も投資に該当しますので、制度を利用することができなくなります。
また、投資行為を行う際には公務員として「職務専念義務」「守秘義務」「信頼失墜行為の禁止」をしっかりと厳守しましょう。
実際に株式投資にハマり過ぎて、職場でもスマホでこっそりとトレードしていたのがバレてしまい、懲戒処分になった事例があります。
公務員の投資行為が許可されているからといって、本業に悪影響が出るようなことをしてはいけません。
国家公務員の副業に関する法律(国家公務員法|第103条・104条)
以下は、国家公務員の副業禁止に関する法律文章を、一部抜粋したものになります。
第103条(私企業からの隔離)
国家公務員法 第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。第104条(他の事業又は事務の関与制限)
出典:e-Gov国家公務員法より
国家公務員法 第百四条 職員が報酬を得て、(中略)その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
副業に関しては国家公務員法により禁止されており、万が一副業に該当する行為を行う際には、上司の許可が必要になります。
地方公務員の副業に関する法律(地方公務員法|第38条)
以下は、地方公務員法から副業に関する文章を、一部抜粋したものです。
第38条(営利企業への従事等の制限)
出典:e-Gov地方公務員法より
地方公務員法 第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、(中略)自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。(中略)
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。
地方公務員も国家公務員と同じく、副業行為は法律により禁止されています。
仮に副業行為を行う際には、こちらも国家公務員と同様に上司の許可が必要です。
公務員は確定申告を行うことで仮想通貨投資が職場にバレるのか!?
公務員の仮想通貨投資が法律的には禁止されていなくても、職場にバレたくない人は意外に多いです。
基本的に仮想通貨投資で得られた売却益は雑所得となり、年間所得が20万円を超えた場合は、公務員でも確定申告が必要になります。
確定申告により前年の所得が高くなると、納める住民税が高くなってしまいます。
住民税は「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法から選択して納めるようになっており、公務員は基本的に「特別徴収」により給料からの天引きです。
確定申告時に住民税の納税方法を特別徴収にしておくと、前年の住民税の納税額の違いから、職場にバレる可能性が出てきます。
そのため、できるだけ職場にバレたくない人は、確定申告時に住民税の納税方法を「普通徴収」にしておきましょう。
そうすることで、仮想通貨投資で得られた所得に対する住民税分は、ご自宅に「納税通知書」が届くようになり、給与にかかる住民税には影響しません。
普通徴収を選択することで、100%職場にバレない訳ではありませんが、周りにできるだけ知られたくないという人は必ず行っておきましょう。
いくら違法ではないといっても、職場には仮想通貨投資をよく思っていない人もいるかも知れません。
公務員が仮想通貨投資を行うメリット・デメリット
仮想通貨は取引所によっては、500円から投資をはじめることができます。
少額から誰でも取引が可能であるため、参入ハードルとしてはかなり低いでしょう。
逆にデメリットとしては、ボラティリティが大きいことがよく挙げられます。チャートが気になり過ぎて、実務に集中できない人も非常に多いです。
そのため、仮想通貨投資のメリット・デメリットを十分に把握した上で、実際に投資をはじめるべきか判断することが大切です。
ただ単に「流行っているから」という理由だけではじめてしまうと、思わぬ損失やトラブルを呼び込む原因になってしまいます。
公務員が仮想通貨投資を行うメリット
仮想通貨投資を行うメリットは、主に2つ挙げられます。
- 少額から投資できる
- 場所や時間に関係なくいつでも取引可能である
特に少額から誰でもはじめられるのは、大きなメリットでしょう。
最初は月数千円から積立投資を行い、ある程度仮想通貨投資に慣れてきたら積立額を増やすのもありです。
ドルコスト平均法で長期・分散・積立投資を行うことができれば、価格変動リスクを最小限に抑えてストレスなく投資が行えます。
逆に短期投資や一括投資を行ってしまうと、実務に集中できなくなりますのでおすすめしません。
公務員が仮想通貨投資を行うデメリット
仮想通貨投資の主なデメリットは、3つ挙げられます。
- 価格変動が大きい
- 決済手段としては適していない
- 国や地域は価値の保証をしてくれない
仮想通貨はFX以上に価格変動が非常に激しいため、短期投資や一括投資等を行ってしまうと、チャートが気になり過ぎて本業に専念できなくなる恐れがあります。
前提条件として公務員は「業務専念義務」があるため、仮想通貨にはまり過ぎてはいけません。
投資におけるリスク許容度は、人によって違いがあります。
公務員の場合、iDeCoやつみたてNISA同様に一度設定したら後は、ほったらかしでも大丈夫な資産運用が適しています。
四六時中チャートが気になってしまっては本末転倒なので、少しでも不安な方はまずは仮想通貨に関してしっかりと勉強した上で、投資を行うのが賢明だといえます。
公務員が仮想通貨投資を行う際の3つの注意点
公務員が仮想通貨投資を行う際には、以下の点には特に気をつけるようにしましょう。
- 借金等を行い信用を失わない
- 公務中に仮想通貨投資を行わない
- 年間所得が20万円を超えたら確定申告を行う
公務員という職業上、「職務専念義務」「守秘義務」「信頼失墜行為の禁止」は投資を行う際には必ず守らなければいけません。
公務員は社会的信頼性が高い職業の一つに数えられますが、その分世間からの目も厳しいため、万が一トラブルを起こしてしまい懲戒処分となると立場が危うくなります。
投資関連で不祥事を起こしてしまい、本職を失っては意味がありませんので、3つの注意点をしっかりと理解した上で行うようにしましょう。
特に所帯持ちの方は、万が一のリスクも考えた上で仮想通貨投資を行うか、慎重に判断しましょう。
借金等を行い信用を失わない
公務員という職業は、一般的な民間企業とは異なり人間関係が狭くなりがちです。
そのため、万が一借金等で問題を抱えてしまうと、法律的には問題なくても職場ですぐに噂になってしまい、個人の信用に傷がついてしまいます。
職場での信用損失は業務に大きく影響を与えてしまう上に、住んでいるエリアでも近隣住人に知られてしまう可能性もあります。
一度噂になってしまうと職場にいるだけで過度にストレスを感じてしまい、最悪の場合、精神的に業務が継続できず依願退職する羽目になるかも知れません。
公務中に仮想通貨投資を行わない
過去に公務中にポイ活をしていた職員が摘発されて、懲戒処分になった事例があります。
副業に限らず投資でも公務中に行っていることがバレてしまうと、例外なく懲戒処分の対象です。
公務員は「職務専念義務」が法律で明記されているため、たとえ投資行為であったとしても公務中に行うと違法行為に該当します。
【地方公務員の場合】
(職務に専念する義務) 第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び 職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべ き責を有する職務にのみ従事しなければならない。
出典:e-Gov地方公務員法より
【国家公務員の場合】
国公法には、国家公務員の服務の根本基準として、 ① 国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務すること ② 職務の遂行に当たっては、全力を挙げて専念しなければならないこと が定められています。
出典:人事院|義務違反防止ハンドブックより
年間所得が20万円を超えたら確定申告を行う
公務員に限らず会社員であっても、本業以外の年間所得が20万円以上ある場合は、必ず確定申告が必要になります。
基本的に公務員は年末調整が行われるため、確定申告は必要ありませんが、投資等での年間所得が20万円を超えた場合は行わなければいけません。
仮に確定申告せずにいると税務署から通知がきて、無申告加算税や延滞税等の対象となる可能性があります。
最悪の場合、職場にも税務署から連絡がくるため、必ず確定申告の必要性がある人は行うようにしましょう。
公務員の仮想通貨投資でよくあるQ&A
公務員の仮想通貨投資に関する質問や悩み等の中でも、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答をわかりやすくまとめています。
該当する質問内容で悩んでいる方は、回答を参考にしてみてください。また仮想通貨投資は、あくまでも余剰資金で行うようしましょう。
基本的に老後資金のために資産運用をはじめるのであれば、iDeCoとつみたてNISAだけでも十分補えます。
無理にリスクを取るよりも、無難な方法で投資を行う方が精神的にも将来的にも安心です。
Q.公務員が仮想通貨のマイニングで得た利益は、資産運用とみなされますか?
結論からいうと仮想通貨の売買益は投資に該当しますが、マイニングは業務になるため副業に該当し違反行為となります。
マイニング(mining)とは、日本語で「採掘」という意味であり、簡単にいうと「取引を承認する作業」を指します。
マイニング作業を行うことで報酬としてビットコインが支払われることから、多くの企業(マイナー企業)がビットコインのマイニング事業に参入している状況です。
仮想通貨が今ほど世間に知られる前は、個人のパソコンでもマイニング作業ができましたが、今はマイニング工場と呼ばれる程の大規模な設備がないと厳しいでしょう。
Q.公務員が仮想通貨を稼げるゲームを行うのは、副業に該当しますか?
仮想通貨自体での資産運用は、投資行為なので副業には該当しませんが、「ゲームで稼ぐ」のは「動画編集で稼ぐ」と同じ行為なので副業に該当し違法行為です。
最近は「NFTゲーム」と呼ばれる、仮想通貨関連のゲームが数多くリリースされています。
NFT(Non-Fungible Token)とは、日本語で「非代替性トークン」と呼ばれており、ブロックチェーン上に記録される代替え不可能なデータ単位のことを指します。
ネット上では「NFTアート」等の投機目的での売買等も行われていますが、投機性が高く専門的な知識が必要なことから、基本的に公務員にはおすすめしません。
Q.妻や兄弟の名義で仮想通貨投資を行えば、職場にバレないでしょうか?
万が一トラブルになった際に、ご自身の妻や兄弟まで責任を問われる可能性があるため、名義を借りてまで仮想通貨投資を行うのはおすすめしません。
確かに名義を借りることで、職場にはバレにくくなるかも知れませんが、万が一を考えた際のリスクが大き過ぎます。
そもそも投資は、何のために行うのかを今一度考えた上で、仮想通貨投資をやるべきか判断した方が良いでしょう。
Q.STEPNをはじめとしたMtoE等は副業に該当しますか?
STEPNをはじめとしたMtoE(Move to Earn)やPtoE(Play to Earn)は、仮想通貨投資とは異なり投資や資産運用ではないため、副業とみなされる可能性が高いです。
人によっては消費者金融から借り入れてまで、ブロックチェーンゲームであるSTEPNをプレーしている方がいますが、投機性が高いためおすすめしません。
まとめ
公務員の仮想通貨投資は副業には該当せず、違法ではないと解説してきました。
投資はあくまでも自己責任であり、目的を持って取り組むことが大切です。
もしあなたが「流行っているから」「儲かりそうだから」といった理由だけで仮想通貨投資を行うのであれば、辞めた方が良いでしょう。
資産運用の手段をお探しであれば、iDeCoやつみたてNISA等の制度がよっぽど優れているからに他なりません。
また、実際に仮想通貨投資を行うのであれば、3つの注意点は必ず厳守するようにしてください。
- 借金等を行い信用を失わない
- 公務中に仮想通貨投資を行わない
- 年間所得が20万円を超えたら確定申告を行う
投資はあくまでも手段の一つであり、目的が明確でないとただのギャンブルになりかねません。
そのため、ご自身でもしっかりと調べて正しく理解した上で、最終的に取り組むべきか判断しましょう。
投資はあくまでも自己責任であることを忘れてはいけません。
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