フリーランスと会社員の働き方の違いを知りたいです。
フリーランスとしての仕事の探し方や、平均年収なども合わせて教えてください。
世界的なパンデミックの影響により、各企業でリモートワークが推進され、私たちの働き方に大きな変革が起きました。
日本でもリモートワークを推進している企業が多くなり、そのままフリーランスとして独立する社員も少なくありません。
実際に日本のフリーランス人口は増加傾向にあり、2022年の段階では労働人口の約20%が、フリーランスという調査結果も出ています。
従来の会社員という働き方とは異なり、比較的に自由なイメージが強いフリーランスですが、決して誰もが理想の生活をしている訳ではありません。
この記事ではフリーランスと会社員の働き方の違いや、フリーランスとしての仕事の取り方、平均年収など初心者にも分かりやすく解説しています。
単にフリーランスといっても、その実態は人の状況によって異なります。
憧れだけでフリーランスになってしまうと、後悔しかねません。
フリーランスと会社員の働き方の違い
まずフリーランスの場合は、会社員とは異なり取引先と雇用契約を結びません。
会社員であれば、採用された会社と必ず雇用契約を結んだ後に業務を行います。
しかし、フリーランスはプロジェクトや、タスク毎に業務委託契約を結ぶのが一般的であり、契約の種類がそもそも異なります。
雇用契約ではないため、プロジェクトが終了したら契約は自動的に解除され、また新たに更新するか別の企業と契約を結ぶ訳です。
企業の就業規則に関してもフリーランスには該当されず、あくまでも業務委託契約に記された内容を、厳守する義務だけが生じます。
そのため、決まった時間に会社に出勤したり、決まった場所で業務を行ったりといった縛りがなく、いつでもどこでも仕事ができます。
フリーランスの働き方は、会社員よりも自由度が高い反面、全て自己責任となります。
対して会社員の場合は、後ろ盾となる会社があるため、仕事でトラブルが起きても上司や同僚に頼ることができます。
フリーランスという働き方
「Free(自由)」と「Lance(槍)」を掛け合わせたのがフリーランスの語源であり、もとは中世ヨーロッパの傭兵からきています。
中世のヨーロッパでは、どこにも所属していない兵隊を「自由な槍」と例えたことから、フリーランス(Free Lance)と呼ばれるようになりました。
世間のイメージ通り、自由な働き方をしている傭兵であるフリーランスは、どこにも所属せず報酬だけを目当てに戦いに参加していたようです。
語源からも昔も今もフリーランスの印象は、変わっていないことが分かります。
なぜフリーランスが増えてきているのか
日本でも年々フリーランス人口が増えている訳ですが、その背景には次のような理由が挙げられます。
- 副業を解禁する企業が増えてきた
- フリーランス向けの案件が増加している
- クラウドソーシングサイトが増加したため
- 企業側が人件費削減のため社員をフリーランス化している
- 自由度の高いフリーランスという働き方に憧れる人が多くなった
国が働き方改革を推進し各企業が副業を解禁し始めたため、元から需要の高いスキルや知識を持っていた社員は、次々に独立しました。
一部の企業では人件費削減のために、雇用契約から業務委託契約に切り替えているところもあります。
若者の間でもフリーランスという自由度の高い働き方に憧れて、大学を卒業した後は就職せずに地方で、フリーランス活動している人も珍しくありません。
特に現在の若者は仕事に対する価値観が異なり、よりライフワークバランスを重要視する傾向にあるといえます。
フリーランスはスキルなしでもなれるのか
スキルなしでもフリーランスになることはできますが、生活を続けていくのは難しいでしょう。
仮にスキルなしでフリーランスになる場合、次のような問題が生じてきます。
- 案件を獲得し難い
- 案件の単価が安くなりがち(買い叩かれる)
- 実務経験を求められる
基本的にフリーランスは即戦力として取引先に求められるため、スキルがない状態だと業務委託契約まで辿り着きません。
採用の時点でハネられるか、安い単価で買い叩かれるか、のどちらかになる可能性が高いです。
その上、実務経験がないのも致命的であり、取引先から必ず実績や経歴、保有資格などの提示が求められるでしょう。
フリーランスの仕事の探し方と平均年収
フリーランスの仕事の探し方としては、次のような項目が挙げられます。
- クラウドソーシングサイトを利用する
- SNSや個人ブログなどからの案件受注
- 勤めていた元の会社からの受注
- 知人や友人からの紹介
- 企業への直営業
一般的には人からの紹介が大半を占めており、その次に多いのがクラウドソーシングサイトなどの利用です。
またフリーランス協会の調べによると、フリーランスの平均年収は400万円~600万円未満が、22.7%と一番多い割合を占めていました。
月換算すると毎月33〜50万円、稼げている計算になります。
フリーランスの働き方のメリット・デメリット
フリーランスの働き方に関するメリットとデメリットは、次の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・自由な働き方ができる ・収入に限界がなく青天井である ・面倒な人間関係のストレスがない ・通勤などの面倒が省かれる ・休みを自分で自由に決められる ・定年退職がない上にいつまでも働ける ・自分の得意な分野を活かして働ける ・スケジュールの融通が利きやすい ・地方や海外で働くことも可能である | ・生活リズムが不安定になりがち ・収入が不安定になる ・業務に関わることは全て自分で行う必要がある ・会社員のような福利厚生や有給休暇などがない ・労働基準法の対象外である ・社会保険料の負担が大きくなる ・営業スキルがないと仕事探しが大変である ・将来性は個人の能力に依存しやすい |
各項目はあくまでも一例に過ぎませんが、一般的には明記されているような項目が、メリットやデメリットとしてよく挙げられています。
既にフリーランスとして活動されている方は、あるあるだと感じることが多いかも知れません。
しかし、会社員や公務員、アルバイトなどの働き方しか、これまでしてこなかった人からすると、最初はかなり苦労するはずです。
デメリットに挙げている項目は、独立前にしっかりと準備を行うことで対策ができます。
将来的にフリーランスを目指している方は、概要を把握した上で今の自分に何が足りないかを、正しく認識することが大切です。
フリーランスの働き方が向いている人の特徴
フリーランスの働き方が向いている人と、そうでない人の特徴をまとめてみました。
向いている人(○) | 向いていない人(×) |
---|---|
・自主性が高い ・決断力がある ・現状に満足せず自己研鑽ができる ・自己管理能力が高い ・責任を持って何事にも取り組める ・論理的思考ができる | ・一人で物事に取り組むのが苦手 ・金銭管理ができない ・専門的なスキルがない ・環境の変化が苦手 ・成長意欲があまりない ・営業やコミュニケーションが苦手 |
基本的に一人で仕事に取り組む時間が長いフリーランスは、責任を持って目の前の仕事に取り組める意思と、自己管理能力が非常に重要になります。
特に前者は、納期までに成果物を提出しなければいけなかったり、取引先への連絡が遅れたり、なかったりすることが多い人は、責任感が足りないといえます。
後者に関しても自己管理能力が低い人は、タスク管理ができなかったり、体調管理ができなかったりすと、取引先にも迷惑がかかります。
特に管理能力の欠如は、フリーランスとっては致命的だといえるでしょう。
何事も向き不向きがありますので、まずは副業などから始めてみてフリーランスとして、活動できそうか検討するのが得策です。
フリーランスの働き方に適している職業の種類4つ
フリーランスの働き方に適しているおすすめの職業を、数ある中から4つに絞ってご紹介します。
- ITエンジニア・プログラマー
- 動画編集
- Webライター
- Webデザイナー
初心者の場合は、Web系の職業を目指して企業に勤めながら、スキル習得を目指すのがおすすめです。
ITエンジニア・プログラマー
フリーランスエンジニアやプログラマーは、一般的には駐在型と請負型の2つのタイプが存在します。
駐在型はフリーランスでありながら、週数回だけ会社に出勤する義務が課せられていたり、プロジェクト単位で中・長期的に働くスタイルです。
対して請負型は短期間での契約が多く、駐在型とは異なり出社義務などは別段ありません。
平均年収に関しても、他の職業よりも水準が高くフリーランスエンジニアによっては、年収1,000万円以上も珍しくないでしょう。
ただし、スキルの習得やその後の学習なども必要になるため、一長一短でなれるような職業ではありません。
動画編集
総務省の調べによるとすでに2021年の段階で、インターネットの利用時間がテレビの視聴時間を上回っており、動画の需要も年々高まってきています。
YouTubeやTikTokなどは、老若男女どの世代でも一般的に利用されており、若者に至ってはテレビをほとんど見ていない人が多いのが現状です。
そのような動画需要の高まりから、フリーランスの動画編集者の需要も比例して高くなっており、供給側はすでに飽和状態ともいえます。
フリーランスとしての動画編集者の働き方は、比較的に自由度が高い反面、撮影から編集までの工程が長く、長時間労働になりがちです。
それほど高い動画編集スキルがなくても現在は、大変便利なツールが出回っています。
フリーランスとしての動画編集者を目指している方は、まずはツールに慣れるところから、始めてみてはいかがでしょうか。
Webライター
他の職業と比較して参入ハードルが最も低いのが、Webライターになります。
そのためフリーランスWebライターは、すでに飽和状態にあるといっても過言ではなく、会社員の副業としても多くの人が挑戦している職業の一つです。
フリーランス協会の調べによると、フリーランスWebライターとしての平均年収は、200〜300万円ほどとなっており決して高くはありません。
ただ単に「Webライティング」が得意、といったケースだと案件受注に繋がる可能性が低く、低単価で買い叩かれる可能性が高いです。
たとえば金融関連に関して有力な資格や経歴を有している人であれば、高単価な案件を受注しやすいでしょう。
このように取引先にアピールできるような専門性がないと、フリーランスWebライターとして生き残っていくのは難しいです。
Webデザイナー
フリーランスWebデザイナーとは、Webサイトの表面となるデザインを作る職業になります。
具体的にはPhotoshop・Illustratorなどのツールを活用してデザインを作成し、HTMLやCSS、JavaScriptなどでコーディングを行います。
デザイン力の他にも、コーディングに関する知識や技術なども必要となるため、独学でWebデザイナーを目指すのは非常に非効率です。
現在は、オンラインスクールなども充実しているため、まずは独学で取り組んで無理そうであれば、スクールの利用を検討するのが良いでしょう。
大手転職サイトdodaの調べによると、Webデザイナーの平均年収は300〜400万円ほど、となっています。
フリーランスになるために必要な準備事項
フリーランスになるために最低限必要な準備事項としては、次のような項目が挙げられます。
- 国民年金保険と国民健康保険の切り替え
- 開業届と青色申告承認申請書の提出
- 新規クレジットカードの作成
- クラウド会計ソフトの導入を検討する
事務的な手続きは特に忘れてはいけませんので、必ず先に押さえておきましょう。
国民年金保険と国民健康保険の切り替え
会社員からフリーランスとして独立する際には、厚生年金や健康保険の切り替え手続きが、必要になります。
- 厚生年金 → 国民年金保険
- 社会保険 → 国民健康保険
年金に関しては、最寄りの役場で簡単に国民年金保険への加入が行えるようになっており、退職した日から数えて、原則14日以内に行う必要があります。
実際に手続きを行う際には、年金手帳や退職日が分かる書類、身分証明書、印鑑などが必要です。
また健康保険に関しては、会社の健康保険から国民健康保険に切り替える必要があり、こちらも役場で簡単に行えます。
国民年金と同じく、原則14日以内に申請する必要があり、基本的には国民年金と同時に手続きを行います。
「会社の健康保険を任意継続する」という方法もあるため、どちらが良いか慎重に見極めた上で、判断するようにしましょう。
開業届と青色申告承認申請書の提出
フリーランスとして活動するのでれば、開業届の提出も忘れてはいけません。
独立してから原則1ヶ月以内に、開業届を最寄りの税務署に提出する必要があり、開業届を提出することで青色確定申告が行えます。
加えて、青色申告承認申請書の提出も必要です。
こちらは提出期限が独立してから原則2ヶ月以内となっており、基本的には開業届と合わせて最寄りの税務署に提出します。
税制優遇を受けるためには、どちらも重要な提出書類ですので、フリーランスとして独立したらすぐに提出しておきましょう。
新規クレジットカードの作成
会社員からフリーランスになると、個人の社会的な信用度が下がってしまうため、人によってはクレジットカードやローンの申請が通り難くなります。
そのため、会社員のうちに必要なクレジットカードや、ローン申請などを済ませておくのが無難です。
特に新規でローンを組む場合は、収入面を詳しく聞かれる可能性が高いため、会社という後ろ盾があるうちに申請を通しておきましょう。
クラウド会計ソフトの導入を検討する
フリーランスになると毎年税金の申請を、確定申告として自身で行うことになります。
会社員であれば、会社側が年末調整として代理で申告してくれましたが、フリーランスは自分で行わなければいけません。
「納税は国民の義務」として法律にも明記されているため、毎月の収支管理や経費換算など全て記録しておく必要があります。
一見すると面倒に思える確定申告ですが、現在は便利なクラウド会計ソフトがたくさんありますので、初心者でも簡単に行えます。
簿記に関して全く知識がない人だと「freee(フリー)」がおすすめです。
すでに簿記3級以上の知識がある人には「マネーフォワードクラウド会計ソフト」をおすすめします。
フリーランスの将来性と今後
単にフリーランスといっても千差万別であり、容易に将来性に関して語ることは難しいといえます。
たた共通していえるのは、自己投資を惜しまずに自学研鑽を続け、最低限のお金の知識を身につけておくのが継続の秘訣です。
特にお金の知識に関しては、投資や税金、保険、収支管理などの最低限の知識は、必ず押さえておくべき項目だといえます。
なぜなら、フリーランスといえどいち経営者であるため、お金に関する知識がないと、すぐに生活が成り立たなくなるからです。
長期的に生き残っていくためには、最低限のお金の知識を身につけた上で、自身の専門性を磨いていく努力が必要不可欠です。
フリーランスを目指している方は、最低でもFP3級程度の知識を身につけておきましょう。
フリーランスの働き方に関するよくあるQ&A
フリーランスの働き方に関する多くの質問や悩みの中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答をまとめてみました。
すでに独立しているフリーランスに直接、聞いてみるのも一つの方法です。
Q.フリーランスとして需要が高いスキルは何ですか?
現在、最も需要が高いスキルは、プログラミングだといえます。
経済産業省の調査によると、日本では2030年にはIT人材が約79万人不足する、という調査結果が出ています。
AIなどの新しいテクノロジーが多くの仕事を奪う、などのニュースがたまに流れていますが、実際にAIを操作しているのはエンジニアやプログラマーです。
そのため、フリーランスのスキルの中でも「プログラミング」の需要は、今後も上がり続けると予想できます。
Q.アルバイトとフリーランスの違いは何ですか?
アルバイトとフリーランスの違いは、次のとおりです。
項目 | アルバイト | フリーランス |
---|---|---|
契約 | 雇用契約 | 業務委託契約 |
報酬 | 時給制 | 案件毎に報酬が支払われる |
働く場所 | 特定の場所に駐在して働く | 在宅で行える |
働く時間 | シフト制 | 自由 |
責任の所在 | 雇用主が責任を持つ | 自己責任 |
それぞれの項目別にみると、アルバイトとフリーランスでは全く異なる働き方であることが、理解しやすいはずです。
Q.会社員とフリーランスだとどちらの働き方がいいですか?
どちらの働き方が適しているかは、本人の性格や状況にもよるため、一概にはっきりとはいえません。
双方、全く異なる働き方であるのは明白です。
現時点で会社員の方は、いきなりフリーランスに挑戦するのではなく、まずは副業から小さく始めてみてはいかがでしょうか。
副業の延長線上にフリーランスという働き方があるため、副業の時点で合わないと感じる人は、本業にコミットした方が良いでしょう。
Q.男性と女性だとどちらの方がフリーランスの割合が多いですか?
フリーランス協会の調べによると、男性が46.3%、女性は53.6%という調査結果が出ています。
ここ数年男女ともに、同じ割合を推移しています。
Q.フリーランスの仕事上のトラブル相談先はどこになるのでしょうか?
フリーランスの仕事上のトラブル相談先としては「フリーランス・トラブル110番」がおすすめです。
厚生労働省が業務を委託しているサービスの一つであり、公式サイトでも詳細が明記されています。
弁護士が無料で相談に乗ってくれるため、フリーランスの方は利用しない手はないでしょう。
まとめ
フリーランスと会社員の働き方の違いに関して、わかりやすく解説しました。
双方、契約形態の時点で全く異なる条件ある上に、働く場所や時間などに関しても、フリーランスと会社員では全く異なります。
一見するとフリーランスの方が自由度が高いように思えますが、会社員とは異なり労働基準法の対象外である上に、すべて自己責任です。
会社員は、勤めている会社が後ろ盾となり責任をとってくれる他、法律的にも守られている存在です。
どちらの働き方が向いているかは、慎重に考えた上で判断しましょう。
時代や状況に合わせた働き方を、賢く選択してください。
働き方に関するご相談は、こちらからどうぞ。
コメント