「将来受け取る年金を増やしたい」「年金の受給額を増やすためにはどのような方法があるの?」とお考えの方は多いでしょう。
年金の受給額を増やすためには繰り下げ受給や65歳までの任意加入、iDeCoへの加入などの方法があります。私的年金への加入は国民年金の被保険者の種類によって加入できるものと加入できないものがあるため、注意が必要です。
本記事では国民年金の被保険者について、受給額を増やすために知っておきたい4つの方法を解説していきます。
年金を増やすためには?被保険者の種類と加入できる私的年金
日本の公的年金制度は国民皆年金であり、日本に住む20~60歳の全ての人は国民年金に加入しなければいけません。
国民年金の被保険者は第1号・第2号・第3号に分類されています。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | |
加入する制度 | 国民年金 | 国民年金・厚生年金 | 国民年金 |
対象となる方 | 自営業者・フリーランス学生農林漁業者など | 会社員公務員など | 第2号被保険者に扶養されている配偶者 |
納付方法 | 自身で納付 | 給与から天引きされる | 第2号被保険者の加入制度が負担している |
任意で加入できる私的年金制度 | 国民年金基金iDeCo国民年金の付加部分(国民年金基金に加入していない場合) | iDeCo | iDeCo |
国民年金は受給の際には「老齢基礎年金」厚生年金は「老齢厚生年金」として受け取ります。
第1号被保険者の自営業者・農林漁業者などの方は公的年金においては国民年金しか加入できず、私的年金である国民年金基金やiDeCoなどに加入することで将来の年金受給額を増やすことができます。
会社員・公務員(第2号被保険者)と第3号被保険者はiDeCo(個人型確定拠出年金)に任意で加入できます。
私的年金も年金を増やすために有効ですが、他にも年金受給額を上げられる方法があります。
年金額を増やしたい!知っておきたい4つの方法
- 繰り下げ受給
- 65歳まで任意加入
- 付加年金
- iDeCoへの加入
1.繰り下げ受給
老齢基礎・厚生年金は65歳以上に繰り下げて受け取る事で受給額を増やす事が出来ます。
繰り下げ受給の加算額は、老齢基礎・厚生年金の額(加給年金額を除く)に増額率をかけて計算します。計算式は以下の通りです。
増額率=0.7%×65歳になった月から繰り下げ申請月の前月までの月数
例えば1954年5月生まれの方が、2019年5月に65歳になり2022年10月に繰り下げ受給を申請した場合には
0.7%×40ヶ月(2019年5月~2022年9月)=28%
28%が増額されます。
老齢基礎年金・老齢厚生年金どちらか一方のみ繰り下げすることも可能で、増額は一生涯続きます。
なお、1952年4月1日以前生まれの方(または2017年3月31日以前に老齢基礎・厚生年金を受け取る権利が発生している方)は、繰り下げの上限年齢が70歳までとなりますので、増額率は最大で42%です。
老齢基礎・厚生年金は一生涯受け取れる終身年金ですので、受給開始時期を遅らせることで予想より長生きした場合に老後資金が足りなくなる「長生きリスク」に対応できます。
2.65歳まで任意加入
何らかの事情で60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない方、老齢基礎年金を満額受給できない(40年間納付していない)方は、60歳以降でも国民年金に任意加入が可能です。
任意加入するためには以下の5つの要件をみたす必要があります。
- 日本国内に住む60歳以上65歳未満である
- 老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満である
- 厚生年金保険、共済組合に加入していない
- 日本国籍を持っていない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」ではない方
加えて、年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方、外国に居住する日本人で20歳以上65歳未満の方も加入できます。
任意加入によって納付額が増え、65歳からの年金受給額を増やす事ができます。また、納めた保険料は社会保険料控除として所得から控除できます。
3.付加年金
国民年金第1号被保険者、任意加入被保険者は国民年金の定額保険料に付加保険料を上乗せして納め、受給額を増やすことができます。
付加保険料の月額は400円です。年間の付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で、2年以上受給すると支払った付加保険料以上の年金を受け取ることができます。
自営業者で国民年金基金に加入している方は、付加保険料を納めることはできません。
4.iDeCoへの加入
iDeCo(個人型確定拠出年金)は私的年金制度で、原則20歳以上65歳未満の全ての方が加入できます。自身で掛け金を設定し支払い、金融商品を選び運用します。
iDeCoは税制上優遇されているという特徴があり、掛け金は全額所得から控除可能です。
金融商品の売却で利益が出た場合、通常20.315%の税金が課されますがiDeCoは非課税で再投資ができます。
受け取る際にも、年金として受け取る方は「公的年金等控除」一時金として受給する場合は「退職所得控除」が適用されます。
掛け金の上限は被保険者の種別によって異なります。
被保険者の種別 | 掛け金の上限 |
第1号被保険者:自営業者・学生など | 月68,000円 国民年金基金・付加保険料との合算 |
第2号被保険者(勤務先に企業年金が無い) | 月23,000円 |
第2号被保険者(企業型DCのみに加入している) | 月20,000円 |
第2号被保険者(DBと企業型DCに加入している) | 月12,000円 |
第2号被保険者(DBのみに加入している) | 月12,000円 |
第2号被保険者(公務員) | 月12,000円 |
第3号被保険者:専業主婦(夫) | 月23,000円 |
企業型DCとは企業型確定拠出年金、DBとは確定給付企業年金・厚生年金基金・私立学校共済教職員共済・石炭鉱業年金基金です。
iDeCoの掛け金は家計に無理のない範囲で設定しましょう。なお、掛け金は年に1回変更する事ができます。
iDeCoは基本的に5年以上20年以下で受け取る有期年金(期間が定められた年金)ですが、SBI証券では終身年金として受け取れる商品にスイッチング(預け替え)することで一生涯年金を受け取る事が可能です。
まとめ
国民年金の被保険者の種類と加入できる私的年金、年金受給額を増やす4つの方法をお伝えしてきました。
現役世代に有効な手段はiDeCoなど私的年金への加入ですが、繰り下げ受給や65歳までの任意加入などの方法でも年金受給額を増やすことができます。
「長生きリスク」に対応するためにもこの記事を参考に私的年金への加入や4つの方法を検討し、実際の場面で活かしていきましょう。
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