地震保険の申請代行コンサルタントの利用は、違法なんだろうか?
トラブルにならない正しい申請方法が知りたい…
自然災害が年々増加傾向にある日本では、保険の請求をする方も年々増えてきており、それに比例して詐欺行為を行う悪質なコンサルタントも増加しています。
特に保険金の申請に関しては違法行為ではないですが、保険会社との契約違反に当たるため、提案された際には断るようにしてください。
万が一、申請代行したことが保険会社にバレてしまうと、保険金が支払われなかったり、保険契約の解除になりかねません。
この記事では地震保険の申請代行や、申請サポートを行っているコンサルタントの利用に関して、分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、トラブルにならない申請方法が理解できるはずです。
地震保険の申請代行は違法ではないが契約違反である
火災保険や地震保険の申請代行自体は、法律的には違法ではありません。
しかし、保険会社との契約内容では、契約者は自身で申請することが義務付けられているため、契約違反に該当します。
悪質な申請代行コンサルタントは、契約者から申請手数料を請求するのが主な目的です。
万が一、地震が発生して損害が出た場合、保険を活用して保障してもらう時は、最初に加入している保険会社に連絡するようにしてください。
“申請代行”と”申請サポート”の違い
地震保険の申請に関するコンサルタントを利用する際には、“申請代行”か”申請サポート”かのどちらであるか確認しましょう。
申請代行は、その名の通り申請自体をコンサルタント側が、契約者の代わりに申請するサービスです。
対して、申請サポートはあくまでも申請自体は契約者が行い、その他の面で申請をサポートする役割を果たしてくれます。
また、申請代行の方は、利用してしまうと契約違反なので活用しないようにしましょう。
地震保険の保険金は手数料なしで申請できる
そもそも地震保険の保険金に関しては、全て自身で行えば手数料なしで申請できます。
どうしても申請のやり方等が分からない場合は、最初に保険契約している保険会社に相談するのが得策です。
しかし、毎年多くの自然災害が起こっている中で、最初から騙す前提で申請代行サービスに関する相談をしてくる人が最近は多いです。
国民生活センターでも注意喚起されていますので、くれぐれも騙されないように注意しましょう。
悪質な地震保険の”申請代行”コンサルタントの4つの特徴
- 修理工事を行う前提で提案してくる
- 嘘の理由で保険金の請求を提案してくる
- 契約者に代わって地震保険の申請代行を行う
- 請求代行サービスに関する報酬料の事前説明がない
悪質な地震保険の申請代行コンサルタントの特徴は、大きく分けて4つあります。
世界有数の地震大国と呼ばれる日本では、毎年多くの自然災害が発生しており、弱みにつけ込んで詐欺行為を働くコンサルタントが多いです。
少しでも違和感を感じた場合は、すぐに警察もしくは国民生活センター等に相談しましょう。
修理工事を行う前提で提案してくる
支払われる保険金が確定する前に、修理工事等を行う前提で提案してくる業者には、注意が必要です。
保険金は申請を行っても、いくら支払われるという確証はありません。
万が一、保険金が受け取れない場合は、全額自己負担となってしまいます。
申請前に修理工事を行うケースは、非常にトラブルに繋がりやすいので注意しましょう。
嘘の理由で保険金の請求を提案してくる
業者から嘘の理由で、保険金の請求を行うことを提案された場合は、詐欺罪に当たりますのでやらないようにしましょう。
故意に建物等を壊したりして、地震や台風等の損害に見せかけた保険金の申請は、詐欺罪に該当し立派な犯罪になります。
契約者側が罪に問われますので、虚偽の申告は業者から提案されても、絶対にしないでください。
契約者に代わって地震保険の申請代行を行う
業者から申請代行の話を持ちかけられた時は、その時点で断るようにしましょう。
例外として委託する場合や、弁護士が代行して行う場合は別ですが、それ以外のケースで業者からの申請代行は契約違反に該当します。
また、基本的に保険請求サポート業者が、申請の代行を行うことはありません。
請求代行サービスに関する報酬料の事前説明がない
悪質な業者の中には「火災保険や地震保険等に関する請求をサポートします!」といいつつ、サポート料に関する事前説明をしない業者もいます。
事前にサービス料に関する説明を行うのは業者の義務なので、事前説明がない場合は契約しないようにしましょう。
実際に料金の事前説明をせず強引に契約させた後に、高額な手数料を請求する業者が後を経ちません。
地震保険の申請に関する実際にあったトラブル事例
地震保険等の申請に関する際に、リアルにあったトラブルの事例をご紹介します。
同じような提案を業者にされた際には、ハッキリと断るようにしましょう。
ケース①:契約時に手数料の事前説明がなかった
突然事業者が訪れ
「風水害や雪害などが原因で家屋に壊れたところはないか。損害保険で負担なく修理ができる。当社で見積もりを出し、保険適用されれば保険金が出る」
と言われたので、数年前の大雪でベランダの屋根がゆがんだことを話した。
後日その事業者の調査員が来ると言われ、申込書にサインした。
その後、契約している保険会社に問い合わせてみたら「あやしい話ではないか」と言われ、
心配になった。申込書をよく見たら「保険会社に認定された保険金額が、見積金額より大幅に減額され修理工事が困難な場合は、30%の手数料を払う」と記載されていた。
30%の手数料の話は聞いていないし、保険金額によって修理工事をするかどうかが決まるのも不審なので、この事業者への申し込みをやめたい。
(2018 年2月受付 契約当事者:70 歳代 女性 埼玉県)
出典:国民生活センター
電話勧誘販売や訪問販売で契約したサービスは、8日間以内であればクーリング・オフ制度を利用することができます。
契約内容に不備がある場合は、8日間以降でもクーリング・オフを活用できる場合があるので、迷った際には国民生活センターに相談しましょう。
ケース②:嘘の理由で保険金の申請を行う提案をされた
「保険適用で住宅修理」というチラシがポストに入っていた。
数日後、チラシの事業者が訪問してきて
「雨どいが一部破損しているので、保険を使ってすべて交換してはどうか。雪害、風水害で破損した場合は保険適用になるので費用負担なしで交換できる」
と言われた。
雨どいの破損は自然災害ではなく経年劣化だと思うし、破損は一部なのにすべて交換というのはおかしい。
そのことを事業者に伝えると「保険の申請のとき、私どもでうまくやるので大丈夫」と言われた。そのようなことをすれば保険金詐欺になるのではないか。
(2018 年6月受付 契約当事者:60 歳代 男性 神奈川県)
出典:国民生活センター
経年劣化の場合は、火災保険や地震保険の保証対象外です。
また、虚偽申告を行うと詐欺罪に該当し、最悪10年以下の懲役に罰せられる可能性があります。
そのため、業者から虚偽申告を提案された際には、必ず断るようにしてください。
地震保険の”申請サポート”を利用するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・被害の申請漏れを防ぐことができる ・保険申請に必要な書類作成を行ってもらえる | ・手数料を支払わなければならない ・悪質な業者に依頼するとトラブルになりかねない |
地震保険や火災保険の申請サポート自体は、違法でも契約違反でもありませんので、活用するメリットは大いにあるといえます。
ただし、基本的には自身で申請した方が、無駄に手数料も掛からず行えます。
とはいえ、万が一被害の申告漏れがあった場合は、保険会社側から「他の箇所も申請可能です」と教えてくれることはありません。
そのため、信頼できる申請サポートの業者やコンサルタントがいるのであれば、依頼するのも一つの手段です。
地震保険の申請を自身で行う際の7つのポイント・注意点
- 虚偽申告は行わない
- 経年劣化は対象外である
- 何度でも請求は可能である
- 鑑定人は変更と再調査が可能である
- 保険金は必ずしも修繕に活用しなくてもよい
- 地震保険は3年前の被害であれば請求可能である
- 信頼できるリフォーム会社や建設会社に依頼する
地震保険や火災保険の申請を自身で行う際には、主に7つの項目に関して注意してください。
初めて保険金の申請を行う方は、分からないことが多いと思いますので、必ず最初に保険会社に相談しましょう。
最初から業者やコンサルタントに相談してしまうと、騙されかねませんのでくれぐれも注意しましょう。
虚偽申告は行わない
虚偽の申告は絶対に行ってはいけません。
火災保険や地震保険等に関する虚偽申告は、詐欺罪に該当します。
詐欺罪は、罰金刑が存在しませんので例え未遂だったとしても、懲役刑10年以下の懲役になる可能性があります。
経年劣化は対象外である
地震保険や火災保険では経年劣化での損害は、補償の対象外です。
そもそも地震保険や火災保険は、自然災害に対する保険商品であるため、それ以外の事項に関しては補償されないように決められています。
もちろん、契約者の意図的な損害等も補償されません。
その他、以下の項目に該当する際は、補償の対象外です。
・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
・地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合
出典:地震保険制度の概要|財務省
何度でも請求は可能である
火災保険や地震保険等の損害保険は、保険期間内であれば何度でも申請が可能です。
また、何度保険金を請求しても、受け取れる保険金額が上がることもなければ、下がることもありません。
特に地震保険に関しては政府が運営に関与しているため、万が一大規模な地震が起きた場合、民間の保険会社と協力して、最高12兆円までの支払いに対応できます。
鑑定人は変更と再調査が可能である
地震保険や火災保険を保険金申請を行うと、保険金額にもよりますが基本的には鑑定人が訪れて、実際に現地調査を行います。
鑑定人は保険会社が、外部の会社に依頼して行っているものなので、契約者は鑑定人の変更や再調査が行えます。
調査結果に納得がいかない場合は、保険会社に再度問い合わせて再調査してもらいましょう。
保険金は必ずしも修繕に活用しなくてもよい
損害保険金の使い道は、契約者の自由となります。
そのため、必ずしも受け取った保険金を、修繕に活用しなくても良い訳です。
しかし、例えば前年に地震の影響で建物に損害が出たにも関わらず、保険金を修繕に当てずに放置した場合、翌年同じ損害で申請すれば大幅な減額は免れません。
保険会社側は、契約者からの申請書類を全て保管しているため、同じような内容の損害で何度も申請していたら必ずバレます。
地震保険は3年以内の被害であれば請求可能である
地震保険の時効は基本的に3年間と定められており、損害が発生してから3年以内であれば、遡って保険金の申請ができます。
とはいえ、あくまでも3年以内というのは約款上の話であり、「8年前の大震災の損害も申請できた」という事例もあります。
特に地震保険に関しては、3年の時効を過ぎても支払ってくれる可能性が高いので、該当する人は一度保険会社に相談してみましょう。
信頼できるリフォーム会社や建設会社に依頼する
建物等の修理の見積もりは、必ず信頼できる建設会社やリフォーム会社に、依頼するようにしてください。
業者の中には悪質なところもありますので、間違った業者に依頼するとトラブルの原因にもなりかねません。
また、保険代理店の中には、対応に問題があるところもあります。
そのような場合は見積もりを他で作成し直接、保険会社に請求しましょう。
まとめ
地震保険や火災保険等の、損害保険に関する保険金の申請を行う際には、基本的には自身で申請するように心がけましょう。
申請サポート業者やコンサルタントを利用してしまうと、手数料が別にかかってしまう上に、思わぬトラブルになりかねません。
また、どうしても自身で請求するのが難しい場合は、最初に加入している保険会社に相談することをおすすめします。
万が一、トラブルに遭遇した際には、国民生活センターへご相談ください。
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