【FP解説】親が亡くなった時にやること、相続・税金関連の手続きを時系列で紹介

お金のはなし
この記事は約6分で読めます。
記事内にプロモーションが含まれています。

「親が亡くなったらどんな手続きをすればいい?」「相続は一体どうすれば」と心配になる方、実際の場面で戸惑ってしまう方は少なくありません。

親が亡くなった時には7日以内に死亡届・火葬許可申請書を提出、早めに遺言書の有無を確認、相続放棄をする場合には3ヶ月以内など様々な手続きや判断・決定するべき事項があります。
期限が決まっているものもありますので、迅速で的確な判断が必要となります。

ただし気持ちが混乱してしまい、「悩んでいるうちに期限を過ぎてしまった」という方も存在します。

本記事では、親が亡くなった時にやるべきこと・相続関連の手続きなどを時系列順で解説していきます。

いざという時のために今から流れを把握しておきましょう。相続の勉強をしている方にもおすすめです。

スポンサーリンク

親が亡くなってから1週間以内に行う事・手続き

親が亡くなってから1週間以内に行う事や手続きは主に以下の3つとなります。

手続き期限提出先・注意事項
死亡届・火葬許可申請書の提出 1週間以内死亡診断書又は死体検案書※と共に死亡者の亡くなった地・本籍地又は届出人の所在地にある役所に死亡届を提出します。火葬許可申請書を提出し、役所から交付された火葬許可書は葬儀社に渡します。
親の住居の電気・水道・ガスなどの解約または変更早めに親が一人暮らしの場合は解約、同居人がいる場合は名義変更の手続きを契約している電気・水道・ガス会社に申請します。
葬儀を申し込む通夜・告別式・初七日の法要早めに葬儀社に葬儀を申し込みます。なお葬儀費用は相続税から控除されます。

※親が病気で亡くなった場合、病院から死亡診断書を受け取ります。不慮の事故などで亡くなった場合は死体検案書という名称となり、病院から交付されます。
死亡診断書・検案書は保険請求などにも使いますので、必ずコピーを取っておきましょう。

親が亡くなってから2週間以内に行う事・手続き

手続き期限提出先・注意事項
健康保険証を返却早めに※健康保険組合によって期限が異なる国民健康保険は多くの場合、死亡届の提出により資格喪失となります。同じ世帯に加入者がいる場合には、加入者の保険証の変更手続きが必要となりますので、返却時に亡くなった方の保険証を持参します。葬祭費・埋葬金が支給される場合があります。
親が国家資格(医師・薬剤師・管理栄養士など)を保有していた場合早めに自治体に所定の免許の抹消申請書を提出します。
親が年金を受給していた場合早めに日本年金機構に「受給権者死亡届(報告書)」を年金証書・死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書・死体検案書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)と共に提出します。
親が世帯主の場合変更後14日以内自治体に世帯主の変更届を提出します。
介護保険資格の喪失届※主に65歳以上の方14日以内自治体に喪失届を提出します。 
遺言書の有無を確認早めに親が遺言書を作成しているかを確認します。自宅など身近な場所の他に、公証役場、法務局で保管されている場合もあります。

親が亡くなってから1ヶ月程度で行う事・手続き

手続き期限提出先・注意事項
遺言書がある場合は検認を申し立てる早めに公証役場・法務局以外で見つかった遺言書は検認を行う必要があります。検認は相続人に対し遺言の存在・内容を知らせ、遺言書の形状・訂正の状態・日付・署名など内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。親の最後の住所を管轄する家庭裁判所に検認の申し立てを行います。
四十九日法要  四十九日の法要を行う場合は、葬儀社に依頼します。

四十九日の法要以降はお彼岸や新盆が葬儀関連の行事となります。
ここからは主に相続・税金に関する手続きとなります。

親が亡くなってから3ヶ月~10ヶ月までの相続・税金関連の手続き

「限定承認・相続放棄」をする場合には親が亡くなってから3ヶ月以内に

相続開始から3ヶ月以内が相続財産の限定承認・相続放棄の期限となります。

相続が開始した時には、①親の財産を引き継ぐ単純承認、②定められた範囲内で財産を相続する限定承認、③相続を放棄する相続放棄の3つから選択することになります。

単純承認は申請を行う必要はありませんが、限定承認・相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。

限定承認は亡くなった方の債務がどの位あるか不明であり、財産が残る可能性もある際に相続人が相続によって得た財産の範囲内で債務の負担を受け継ぐ手続きです。
相続人全員で申し立て、財産は基本的に競売にかけられ処分することになりますので、選択する方は少なくなっています。

相続放棄は親の遺した財産をすべて放棄する手続きで、遺産がプラスの財産よりマイナスの財産(ローン・借金など)が多いケースで利用されます。

相続放棄・限定承認共に基本取り消しや撤回は不可能ですので、慎重に検討しましょう。なお生命保険の死亡保険金の受取人に指定されている場合には、相続を放棄しても保険金を貰うことが出来ます。

4ヶ月以内に準確定申告を

親が亡くなってから4ヶ月以内に、亡くなった年の1月1日~亡くなった日までの所得税を計算し申告(準確定申告)・納税を行います。

随時行う相続に関する手続き

遺産の分配割合や方法、相続人を決める遺産分割協議や遺産の分配など相続に関する手続きを行います。

遺言書がある場合には基本的に遺言書通りに相続を行いますが、遺産分割協議が禁止されておらず、協議で全員が合意した際には法律上は遺言書とは異なる分割も可能となります。

民法で定められた相続人である「法定相続人」、「法定相続分」も存在しますが、相続人の間で遺産分割の意見がまとまらなかった際の遺産の取り分であり、必ずしも法定通りに分割をしなければならないわけではありません。

分割の方法には相続財産をそのまま分配する現物分割、売却した後売却代金を分ける換価分割、1人の相続人が代表して財産を相続、他の相続人に代償金やモノを支払う代償(代物)分割、共有名義で持ち分割合に応じて分配する共有分割の4つがあります。

親の意思、相続人同士の関係性や状況などから総合的に判断し、全員で話し合いながら分割割合・方法を決めていきましょう。相続人が未成年者や判断能力が乏しい方(認知症・知的・精神障害など)には後見人を家庭裁判所に申し立て、選任する事になります。

遺産分割協議が終わった後には遺産分割協議書を作成しましょう。後の手続きで必要となります。

遺産は名義変更などにより分配を行い、定められた方法で相続税を計算することになります。

10ヶ月以内に相続税の計算・申告・納付

相続税は基本的に基礎控除額である「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超える際に納付の義務が生じます。

債務や葬儀費用などは控除が可能で、「みなし相続財産」と呼ばれる死亡保険金・死亡退職金も「500万円×法定相続人の数」の金額は相続税から控除できます。

相続税の計算は一度遺産総額から基礎控除額を差し引き、法定相続分で按分してから各相続人に振り分け、各々の控除額を引いた後に実際の相続分を按分、価額に従った税率をかける仕組みになっています。

配偶者は1億6千万円(又は法定相続分相当)までは税金が課されない優遇措置があり、未成年者・障害者にも控除枠があります。

まとめ

親が亡くなってからやるべきことや相続・税金などの手続きを時系列順でまとめました。

役所への必要書類の提出、葬儀の準備などやるべきことは多いですが、相続関連はお金が関係するため慎重に判断する必要があります。

この記事を参考にいざという時に的確な判断ができるよう、やるべきこと・手続きをおさえておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました