仕事を辞めたいと感じています。
辞めるリスクは具体的に何が挙げられますか?
勤めている会社を辞めたくなる気持ちは、誰しもが必ず一度は抱く悩みといっても過言ではないでしょう。
辞めたくなる理由は人によってさまざまですが、辞めたい気持ちだけが先行してしまい、勢いで退職するのはリスクが非常に高いです。
会社を辞める際には、必ず事前準備が必要となりますので、勢いだけで行動しないように注意してください。
この記事では会社を辞めようかと悩んでいる人のために、辞めた際のリスクや辞めるべきかの判断基準に関して、分かりやすく解説しています。
会社を辞めるのであれば、その後のキャリアプランを十分考えた上で、行動に移しましょう。
会社員を辞める5つのリスク
会社を辞めるリスクとしては、大きく分けて次の5つが挙げられます。
- 転職後に後悔する
- 安定した収入がなくなる
- 社会保険料の負担割合が増える
- 就職してすぐに辞めると辞め癖がつく
- スキル不足や印象悪化を招く恐れがある
特に安定志向の人や、既に何度も転職を繰り返している人は、リスクの度合いが高い傾向にあります。あなたの性格も含めて会社を辞めるべきか考慮しましょう。
転職後に後悔する
現在、勤めている会社で何かしらの問題を抱えている場合、転職したからといって必ずしも抱えている問題が解決されるとは限りません。
万が一、転職先でまた同じような問題を抱えてしまう恐れもある他、以前よりも仕事がキツく感じたりするかも知れません。
その上、あなたの理想通りに良い会社に就職できるとは限りませんので、その点を十分考慮した上で辞めるか判断すべきでしょう。
安定した収入がなくなる
勤めている会社を辞めるということは、一時的ではあるものの安定した収入を失うこと繋がります。
雇用が安定しないと当然収入も安定しないため、人によってはフリーター(またはニート)のような生活になる可能性もあります。
その上、会社員を辞めたことで社会的な信用度が下がり、新しくローンを組んだりクレジットカードを作ったりする際に、不都合が生じる可能性が出てくるでしょう。
社会保険料の負担割合が増える
会社を辞めた後にすぐ再就職できる方は良いですが、再就職までの期間が空いてしまうと、社会保険の切り替えが必要になってきます。
国民健康保険や国民年金保険への切り替えに関しては、最寄りの役所で簡単に行えます。
詳細に関して事前に調べた上で、必要な手続きを行いましょう。
また健康保険(社保)であれば、会社側が保険料の50%を負担してくれましたが、国民健康保険(国保)になると全額負担となります。
そのほか、住民税の支払い義務なども人によっては生じてきますので、会社を辞める前に十分な知識が必要です。
就職してすぐに辞めると辞め癖がつく
「石の上にも三年」ということわざがあるように、3年とはいわずとも1年ほどは辞めずに現在の会社で、実績やスキルを身につけた方が良いです。
よほどブラックな企業に勤めている場合は別ですが、業務が多少キツくても人間関係が良好であるのであれば続ける価値は大いにあります。
仮に就職してからすぐに辞めてしまうと、最悪の場合辞め癖がついてしまうほか、転職活動での印象も悪くなりかねません。
また、会社をすぐに辞めてしまうと失業保険の受け取り条件を満たせずに、制度を利用できない可能性も出てきます。
スキル不足や印象悪化を招く恐れがある
道半ばで会社を辞めてしまうと、人によっては必要なスキルや知識が身に付かず、次の転職先でも苦労を強いられる可能性が出てきます。
その人の辞め方にもよりますが、仮に勤めている会社を逃げるように辞めてしまうと、再就職先の面接試験で退職理由を説明し難くなるでしょう。
当然、前の会社の情報は転職先の会社も調べますので、人事調査で悪い噂が伝わってしまうと採用結果にも影響が出てきます。
必ずしも誰もが納得するような辞め方をする必要はありませんが、次のことを考えて最低限の必要な準備は行っておくべきです。
仕事員を辞めたい人によくある理由
会社を辞めたいと考えている人によくある理由としては、次のような項目が挙げられます。
- 給与や待遇に対する不満
- 仕事にやりがいを感じない
- 職場の人間関係の悪化
- 労働時間や休暇制度に対する不満
- 起業・独立する
実際に大手転職エージェント会社であるdodaが調査したところ、コロナ禍での転職理由で一番多いのは「給与が低い・昇給が見込めない」という内容でした。
調査の結果、20代から40代まで同じような理由で会社を辞めている人たちが、かなり多いようです。
今よりも給料を上げるためには、より給料の高い会社へと転職するのも一つの方法です。
給与や待遇に対する不満
給与や待遇に対して不満がある人は、すぐに勤めている会社を辞めるのではなく、一度会社と交渉するのも一つの方法です。
もちろん、転職して今よりも高い給料が見込める会社で働くのもありですが、まずは交渉してみて上がる余地がないか確認しましょう。
また、現会社でのあなたの待遇が悪いと感じている場合も、上司や人事に相談して解決手段を模索するなど、一度行動してみるのが得策です。
仕事にやりがいを感じない
仕事内容に不満がある場合は、社内で他の部署に移動できないか交渉するのもありです。
業務内容が変わればやりがいを感じるかも知れません。
また今の会社でキャリアアップが望めそうにない場合は、副業を始めてみるなどして自身で新しいスキルの習得や、実績を作るなどを行うと良いでしょう。
いきなり勤めている会社を辞めるのは勿体無いので、会社の仕事は適度にこなしつつ副業に集中して取り組むことで、新しい未来が開けるかも知れません。
職場の人間関係の悪化
職場の人間関係に問題がある場合は、信頼できる上司や同僚に相談した上で解決策を模索しましょう。
既に精神的に追い込まれている状態の人は、早々に会社を辞めることをおすすめします。
職場の人間関係が悪いと四六時中ストレスを感じてしまいますので、人によっては業務に集中できません。
業務に集中できないと当然ミスが出てしまい、それまで良かった人間関係まで悪くなってしまいかねません。
悪循環に陥る前に解決策を模索し、行動に移しましょう。
労働時間や休暇制度に対する不満
長時間労働やパワハラ、セクハラなどがあるブラック企業に勤めている場合は、第三者に相談した上ですぐに辞めることをおすすめします。
度々ニュースなどでも取り上げられるサービス残業や、パワハラなどに関しては、これから先も無くなることはないでしょう。
政府を中心に働き方改革が進められてはいますが、改善されているのは一部の企業だけであり、大半がブラック企業ままです。
また休暇制度や福利厚生に対する不満がある場合は、上司や人事と交渉した上で納得いかなければ、転職を検討してみてください。
起業・独立する
会社を辞める人の中には、起業や独立を理由に退職する人も中にはいます。
起業や独立する場合は、現会社をそのまま取引先として扱う人も多く、フリーランスとして独立した後も業務委託契約を結ぶという方法が取れます。
また将来的に独立を検討されている方は、現会社に勤めている間に必要なスキルや知識の習得など、事前準備をしっかりと行っておきましょう。
独立すると全てあなた自身で行う必要があるため、会社で培った人脈も非常に大切になってきます。
仕事員を辞めるべきかの判断基準【簡単3ステップ】
会社員を辞めるべきか悩んでいる人は、次の3つのステップを踏まえた上で一度冷静になって現状を把握し、本当に辞めるべきか判断しましょう。
- 現状を整理し把握する
- 辞めた場合と辞めない場合のメリット・デメリットを比較する
- 辞めて転職した後に問題が解決しそうか検討する
あなたがなぜ会社員を辞めたいのか現状を冷静に把握し、その理由に関して深掘りした上で解決策を考えましょう。
Step1.現状を整理し把握する
まずはいきなり会社員を辞めようとするのではなく、なぜ辞めたいのかを紙にざっくりと書き出してみてください。
たとえば次のような感じです。
- 上司が嫌な人だから
- 職場の人間関係がうまくいっていないから
- 給料が低いから
- 将来的なキャリアップが見込めそうにないから
- 副業が会社の規則により禁止されているから…etc.
現在抱えている悩みを紙に書き出すことで、自分自身が何に対して悩んでいるのかを、客観的にみることができます。
ここでのポイントは、現状を整理して客観的に観察し、改めてなぜ辞めたいのかを具体的に把握することです。
Step2.辞めた場合と辞めない場合のメリット・デメリットを比較する
次に実際に会社員を辞めた場合と、辞めない場合のあなたにとってのメリット・デメリットを、具体的に書き出してみましょう。
たとえば次のような感じです。
辞めた場合 | 辞めない場合 | |
---|---|---|
メリット | ・嫌な上司の顔をみなくて済む ・仕事のストレスが減る ・自分の時間が確保できる | ・安定した収入を確保できる ・スキルアップが望める ・人脈をより広げられる |
デメリット | ・収入が無くなる ・転職活動を行うのが面倒 ・一時的に無職になってしまう | ・自由な時間がない ・収入が少ない ・嫌な上司と仕事しなければらない |
上記はあくまでも一つの例に過ぎません。
一般的なメリット・デメリットを参考にするのもありですが、実際は同じ項目でも人によって感じ方が異なるため、必ずご自身で書き出してみてください。
ここでのポイントは、辞めた場合と辞めない場合どちらがあなたにとってメリットがあるか、客観的にみて把握することです。
もちろん、メリットだけではなくデメリットも双方十分に比較した上で、最終的に辞めるべきか判断する必要があります。
Step3.辞めて転職した後に問題が解決しそうか検討する
Step1〜2まで取り組んだ方は、書き出した内容をもとに改めて現在あなた自身が抱えている問題が、転職すことで解決できるか考えましょう。
人によっては会社員を辞める選択肢以外にも、解決策が見つかるかも知れません。
たとえば給料が低いことに関して強い不満を抱えている人であれば、会社側と直接交渉して上げられる可能性がある他、副業に取り組むのもありでしょう。
そのほか、人間関係に関して問題を抱えている人であれば、配属先の移動を希望してみたり、赴任先を変更してもらうなども考えられます。
最初から「会社員を辞める」という選択肢を取るのではなく、問題を俯瞰的にみて他の解決策がないか、冷静になって考えることが大切です。
勢いで辞めてしまうと取り返しがつかない事態になりかねませんので、くれぐれも注意しましょう。
会社員を辞める前にやっておくべきこと【リスクへの備え】
会社を辞める前に最低限行っておくべき項目としては、次のような内容が挙げられます。
- 役立つ資格やスキルを身につける
- 次の転職先を決めておく
- 生活防衛費を確保しておく
- キャリアプランを立てる
- 第三者に相談して意見を仰ぐ
会社員を辞める前にしっかりと準備を行っておきましょう。
役立つ資格やスキルを身につける
会社員を辞めても潰しが効くように、転職活動や次の仕事で有利になるような資格やスキルを身につけておきましょう。
特に会社員は公務員とは異なり副業が法律で禁止されていませんので、スキルアップに繋がるような副業に取り組むことをおすすめします。
たとえば本業でWeb関係の仕事を行なわれている方であれば、副業でも同じ領域で横展開することでより多くのスキルを獲得できます。
もちろん副収入にもつながりますので、一石二鳥です。副業が軌道に乗れば独立や、ヘットハンティングなども考えられます。
次の転職先を決めておく
現会社を辞める前に、次の目星をしっかりとつけておきましょう。
転職エージェントサイトを利用して市場価値を測ってもらい、現段階であなた自身がどのような会社であれば転職可能であるか、事前に相談してみてください。
転職エージェントへの相談自体は、無料で行えますので利用しない手はありません。
次の転職先がある程度決まっている人とそうでない人では、辞める際のストレス度合いが異なります。
生活防衛費を確保しておく
会社員を辞める前に退職後の生活を支えるための生活防衛費を、最低でも半年から1年分は確保しておきましょう。
仮に次の転職先が決まっていたとしても、途中で採用不可になる可能性も考えられます。
何が起きても対応できるように、ある程度は生活できるほどの貯蓄が必要不可欠です。
また実際に会社員を辞める際には、ボーナスを受け取ってから辞めるなど、タイミングをしっかりと見定めた上で実行しましょう。
キャリアプランを立てる
キャリアプランとは、あなたの仕事や人生に関する行動計画書のようなものです。
キャリアプランをしっかりと立てることで、将来から逆算して最適な行動選択ができるようになります。
実際にキャリアプランを立てる際には、できるだけ具体的な数値まで落とし込み、将来的にどうなっていたいのか明確にすることが大切です。
第三者に相談して意見を仰ぐ
会社員を辞める前に一度、第三者に相談してみましょう。
一人で思い悩んでいては主観的になりすぎる可能性があるため、第三者に直接相談することで客観的な意見をしてもらうことが大切です。
信頼できる友人や知人、同僚などに相談してみると良いです。
万が一、相談できる相手がいない場合は、専門家であるFPに相談するのも一つの方法でしょう。
会社員を辞めた後の主な3つの選択肢
会社員を辞めた後の選択肢としては、主に3つの項目に分けられます。
- キャリアアップする
- キャリアチェンジする
- フリーランス(個人事業主)として独立する
あなたのキャリアプランに適した選択を行いましょう。
キャリアアップする
キャリアアップとは、より高いスキルや知識の習得を求めて、他の企業へ転職することを指します。
業界や業種は変えずに今よりも上のポジションで働ける企業へ転職することで、より大きな経験や知識を得られる訳です。
その上、キャリアアップがうまく行けば経歴も強化される上に、収入や待遇面でも今よりも好条件で働けるでしょう。
キャリアチェンジする
キャリアチェンジとは、これまで経験したことない業界や業種へ転職することを指します。
今の業界や業務内容などが自分に合わないなと感じている方は、思い切ってキャリアチェンジするのも一つの方法です。
全くの未経験で他の業界に飛び込む訳ですから、多少なりとも緊張はするでしょう。
しかしながら、今の会社で培った経験が全く次に活かされない、ということはありません。
フリーランス(個人事業主)として独立する
会社員を辞めて独立するのも一つの選択肢です。
他の選択肢とは異なり実現のハードルは高いですが、しっかりと準備を行っていれば決して無理な選択肢ではありません。
今の会社に在籍しているうちに、副業を通して「自分で稼ぐ体験」を行っておきましょう。
もちろん、確定申告や税金などに関するお金の知識も必要になります。
将来的に独立を検討されている方は、キャリアプランを立てた上で計画的に実行するのが賢明です。
会社員を辞めることに関するよくあるQ&A
会社員を辞めることに関して、同じような悩みを抱えている人の意見を参考にし、質問形式で内容を分かりやすくまとめました。
多くの人が同じような悩みを抱えていますので、他の人の意見を参考にするのも、解決策を導き出すきっかけになります。
Q.仕事辞めたいという考えはただの甘えでしょうか?
会社を辞めたいという気持ちは、ただの甘えではありません。
何事にも原因があるように、必ずあなたが抱いている気持ちにも原因が存在します。
「ただの甘え」で片付けずに、なぜ辞めたいと思っているのかもう少し深く考えた上で、解決策を探すようにしましょう。
個人で考えても解決策が浮かばない場合は、第三者に相談してください。
Q.現会社を辞めるタイミングはいつが良いですか?
会社を辞めるベストなタイミングは、人によって異なります。
「次のボーナスを受け取ってから辞める」「準備が100%できてから辞める」「耐えれそうにないのですぐに辞める」などさまざまです。
理想は計画的に準備を行ってから辞めることですが、既に精神的に追い込まれている方は、早期に辞めた方が良いかも知れません。
あなたの置かれている状況を一度整理した上で、ベストのタイミングを見極めましょう。
Q.貯金ができていない状態で会社を辞めるのはリスクが高いですか?
結論からいうと、貯金があまりない状態で辞めるのはリスクが高いです。
最低でも半年もしくは1年間を無職で過ごしても大丈夫なように、生活防衛費を十分蓄えた上で辞めるのが理想的です。
貯金が全くない状態だと内心(早く次の就職先を探さなくては…)と焦りが生まれてしまい、正しい判断ができない可能性があります。
逆に貯金に余裕があると(それほど慌てて転職活動を行わなくても大丈夫!)と、心に余裕が生まれます。
心の余裕のなさは転職活動では命取りになる可能性が高いのため、くれぐれも貯金をしっかりと行った上で、今の会社を辞めるようにしましょう。
Q.就職して1年ほどで会社を辞める人は多いのでしょうか?
次のグラフは、厚生労働省が発表している「学歴別就職後3年以内離職率の推移」を表したものです。
学歴が上がるにつれて就職して1年以内で辞める割合は、低くなっているのが見て分かります。
ブラック企業だったり、身体的な問題だったりといったイレギュラーな問題を抱えている人は、積極的に辞める方向で考えた方が良いでしょう。
そうでない場合は、最低でも1年間は就職した会社でスキルや知識を養うべきです。
ただ単純に「仕事が嫌で辞めたい」と思っている方は、そのままだと理由が曖昧ですのでもう少し深掘りして、なぜ辞めたいのか一度考えてください。
Q.会社を辞めることを親に話すべきでしょうか?
会社を辞めることを報告するという意味では、一度親に話しておくのも悪くありません。
ただ、会社を辞めるかどうか悩んでいる段階で親に連絡をし、親の言い分をそのまま聞き入れて辞める、というのはおすすめしません。
なぜなら、その後あなたが転職で失敗し後悔した場合、高い確率で親のせいにしてしまうからです。
親に話すのであれば許可は必要ありませんが、親の意見を仰ぐ程度にとどめるのが無難です。
あくまでもあなたの人生ですので、最終的な決断はあなた自身で行いましょう。
まとめ
会社員を辞める5つのリスクに関して、分かりやすく解説しました。
- 転職後に後悔する
- 安定した収入がなくなる
- 社会保険料の負担割合が増える
- 就職してすぐに辞めると辞め癖がつく
- スキル不足や印象悪化を招く恐れがある
人間関係や金銭面、健康面などさまざまな理由により「辞める」という選択肢をとる人が多いですが、実際に辞める際には十分な準備が必要です。
辞めるリスクをできるだけ抑えるためにも、必要な準備を正しく行い、できるだけ辞めた後に後悔しないで良いように努めましょう。
キャリアプランでお悩みの方は、お気軽にFPへご相談ください。
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