相続と生前贈与はどちらがお得?メリットや選び方を解説

2023-3-14-06ライフプランニング
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自分が亡くなった後のことを考えた際に、相続と生前贈与のどちらを選べば家族への税金の負担が減らせるのか疑問に感じていませんか。

財産が相続税の基礎控除内に収まる人は「相続」、相続税がかかる可能性がある人は「生前贈与」を活用するとよいでしょう。

これらの方法は、大きな節税効果が見込める一方で、誤った方法を取り入れてしまうと税金の負担が増えてしまう可能性があります。

そこで今回は、相続と生前贈与の違いやメリット・デメリットを詳しく紹介します。

それぞれの方法が向いている人も紹介するので、これから終活の準備を考えている人もぜひ参考にしてください。

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相続と生前贈与の違い

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自分が亡くなった後に家族へ財産を家族に遺す主な手段は、下表のように相続と生前贈与があります。

財産を渡す時期渡せる相手課税される税金
相続死後法定相続人相続税※
生前贈与生前自由に選択できる贈与税※
※相続税・贈与税は基礎控除を超える場合のみ

法定相続人とは、配偶者や子どもなどの亡くなった被相続人と関係がある人で、民法で規定されています。

まずは相続と生前贈与について詳しく見ていきましょう。

相続とは

相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人が受け継ぐことを指します。

たとえば、被相続人が所有していた不動産を法定相続人の妻が受け継ぐ状況が該当します。

相続の対象者は法定相続人のみですが、遺言書で指定すれば法定相続人以外の親族や知人に譲ることも可能です。

相続財産としては、土地や不動産、預貯金、自動車などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどのマイナスの財産も含みます。

マイナス財産を相続したくない場合は、相続放棄を選択するのも手段の一つです。

相続放棄とは、被相続人が所有していたマイナスだけでなくプラスの財産も一切相続しないことをいいます。

生前贈与とは

生前贈与とは、亡くなる前に財産を贈与することをいいます

たとえば、生きているうちに所有しているマンションを子どもに譲ったり、現金を渡したりすることなどが挙げられます。

贈与税の課税方法には、暦年課税(れきねんかぜい)と相続時精算制度の2種類があり、財産を受け取る際に選択します。

暦年課税とは、1月から12月までの1年間で受け取った金額が110万円を超えた部分に課税される制度です。

相続時精算課税制度は、60歳以上の祖父母や両親が18歳以上の子や孫に財産を贈与した場合に、累計2,500万円までの贈与が非課税となる制度です。

ただし、贈与した財産は相続税の課税対象となるため、相続税がかかります。

なお、相続時精算課税制度を利用するには申請が必要となり、申請しなければ自動的に暦年課税を選択したと見なされるので注意しましょう。

相続のメリット・デメリット

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基礎控除額が大きい相続ですが、適切な準備をしていなければ思わぬトラブルが起きてしまうケースもあります。

ここでは、相続のメリットとデメリットを解説します。

相続のメリット

相続を選択するメリットは、基礎控除額が大きいことです。

基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

たとえば、法定相続人が3人の場合は、以下のように計算します。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

この場合では、相続財産が4800万円を超えるまで相続税がかかりません。

また、一定要件を満たした不動産を所有している場合は、「小規模宅地等の特例」として相続税の評価額を軽減できる可能性があります。

なお、全ての不動産が対象となるわけではなく、適用条件を満たさなければなりません。

居住用・事業用など土地の利用目的によって適用される条件は異なるため、小規模宅地等の特例の利用を考えているときは、税理士に相談することをおすすめします。

参考:小規模宅地等の特例|国税庁

相続のデメリット

相続人が多い相続では、遺産分割で揉めやすく、親族関係が悪化するケースがあります。

このようなトラブルを回避するには、どの資産を誰に受け継ぐかを指定できる「遺言書」が有効です。

基本的に遺言書を利用しない相続では、一部の資産だけを選んで受け継ぐことはできません。

特定の財産だけを譲りたい場合や、法定相続人以外にも遺産を渡したい場合は、遺言書を活用しましょう。

生前贈与のメリット・デメリット

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特定の財産だけを引き継げる生前贈与ですが、やり方を間違えると贈与そのものが否認される可能性があります。

ここでは、生前贈与のメリット・デメリットを解説します。

生前贈与のメリット

生前贈与を選択するメリットは、相続税の軽減につながる可能性があることです。

財産の一部を相続前に贈与すると、相続税の対象となる資産を減らせます。

相続時精算課税制度を利用すれば、2500万円までの贈与が非課税となりますが、相続税が課税されるため注意が必要です。

なお、令和5年度税制改正大綱に「2024年1月以降の年110万円までの贈与に贈与税・相続税がかからない」と記載されているので、生前贈与がよりスムーズに進むでしょう。

加えて、生前贈与には特定の財産だけを引き継ぐことができるメリットもあります。

遺言書を活用していない相続では、特定の人物に財産を引き継ぐことができないので、法定相続人以外に財産を残したい人にもおすすめです。

また、婚姻期間が20年以上の夫婦は、居住用不動産またはその購入資金として贈与した2,000万円までを非課税で受け取れる特例があります。

生前贈与のデメリット

生前贈与のデメリットは、死亡前3年以内の贈与は相続税の対象となることです。

なお、2024年1月からは相続税の対象となる期間が死亡前7年以内に延長されることが税制改正大綱で定められました。

また、贈与そのものが否定されて課税対象となる可能性がある点にも注意が必要です。

たとえば、現金手渡しなどの記録が残らない贈与や、名義預金は否認されるケースがあります。

贈与そのものが否認されないためにも、贈与後でも確認できる銀行振込などを活用するように意識しましょう。

相続がおすすめの人

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相続がおすすめの人は、財産が基礎控除内に収まり相続税がかからない人です。

そもそも相続税がかからない人は、生前贈与しても節税になりません。

ただし、「配偶者の税額の軽減」や「小規模宅地等の特例」によって相続税がかからない場合は、相続税申告が必要になるので注意しましょう。

配偶者の税額の控除とは、遺産分割によって取得した遺産額が、1億6千万円あるいは配偶者の法定相続分相当額のどちらか大きい金額までは、相続税がかからない制度です。

また、相続税申告後に証券や現金が見つかることもあるため、所有している財産をエンディングノートに記載するなどの準備を進めておくとよいでしょう

生前贈与がおすすめの人

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生前贈与が向いている人は、相続税を課税されるほどの財産がある人などです。

生前贈与を利用すると、相続税の評価額が減少し、配偶者や子どもなどの相続人にかかる税金の負担を減らせます。

また、不動産の評価額は贈与したときの価格となるため、今後価格が高騰する可能性があるのであれば、生前贈与を利用するのもよいでしょう。

また、相続人などの親族関係が複雑な人は、生前贈与の利用がおすすめです。

前妻の子どもや孫の代まで相続が及んだり、相続人が10人を超えたりする場合は、遺産分割で揉めてしまうことも考えられるので、生前贈与の活用を検討してみましょう。

ただし、相続人が受け取るべき財産まで贈与してしまうと、遺留分侵害額請求などのトラブルに発展するケースがあります。

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限補償されている遺産の割合です。

この遺留分を侵害してしまうと、法定相続人が本来受け取れるはずだった金額を生前贈与を受けた人に請求されることとなります。

遺留分侵害額請求から調停や起訴に発展するケースもあるので、大きなトラブルにならないよう、親族と十分に話し合ったうえで生前贈与することが大切です。

相続と生前贈与は自分にあった方法を選ぼう

被相続人の遺産を相続人に受け継ぐことを「相続」、生きている間に財産を贈与することを「生前贈与」と呼びます。

相続は資産が相続税の基礎控除内に収まり、相続人の間で揉めることが少ないと考えられる人におすすめです。

生前贈与は相続税の課税されるほどの財産があり、相続人の関係が複雑な人に向いているでしょう。

資産額や親族関係によって適切な方法が異なるので、相続と生前贈与のどちらがいいのか迷っている方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。

お悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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