公務員はAI代替によりリストラされる？将来性は明るいのか10年後を予想【やばい】

業務に対するAI技術の導入は既に行われている状況ですが、まだその殆どが検証実験段階であり、いきなり代替するという事態はあり得ません。

その上、公務員は身分が法に守られている存在であるため、仮にAIへの代替が大幅に進んだとしても、いきなり大量リストラされることはないでしょう。

ただし、将来的には事務的な業務は全てAIに代替される可能性が高く、決して軽視できる問題ではないといえます。

現状は、財政面的にAIに対する予算が立て難い上に、マンパワーで業務遂行した方が割安という事実からも、AI導入に対する意向は否定的な自治体が多いです。

この記事では、AIが及ぼす公務員業務への影響やその将来性に関して、分かりやすく解説しています。

AIによる公務員の代替がもたらすメリット（ミクロ視点）

AIによる公務員の代替は、次のようなメリットをもたらすことが期待されます。

業務処理時間の短縮が期待できる（単純な事務作業等の代替）

公務員が日々行っている業務の多くは、単純で繰り返し行うことが多いものです。単純作業は、既にAIによって自動化が可能です。

たとえば、申請書の処理やファイルの整理、データ入力などは、AIによって自動的に処理できます。

単純作業がAIにより遂行される代わりに、公務員はより高度な業務に専念でき、業務処理時間の短縮が期待できます。

業務上のミスが失くなる（作業の品質向上）

公務員が日々行っている業務には、人間のミスがつきものです。

たとえば、データ入力時の入力ミスや、書類の紛失、手書きの文字の読み取りミスなどが挙げられます。

ヒューマンエラーは、業務の品質を低下させるだけでなく、大きな問題を引き起こす場合もあります。

AIは、正確で一貫性のある処理を行うことができるため、業務上のミスが失くなることにより、作業の品質向上が期待できるでしょう。

結果的に公共部門における信頼性が高まり、市民の信頼も向上することが期待されます。

また、公務員は人間であり、疲れやミスの発生が避けられないため、業務にかかる時間が不安定です。

対して、AIによる業務処理は24時間体制で行われるため、公務員の業務に関する時間的な制約が少なくなり、公共部門のサービス提供の効率化が行えます。

AIによる公務員の代替がもたらすデメリット（ミクロ視点）

AIによる公務員の代替がもたらすデメリットとしては、次のような項目が挙げられます。

公務員（人）が行っていたサービスや対応の質が低下する

公務員が行っている福祉関連の業務において、AIによる業務処理が導入された場合を考えてみましょう。

公務員は、福祉に関する知識や経験を基に、利用者のニーズや問題点を把握し、適切なサポートを提供しています。

AIによる業務処理では、人とのコミュニケーションによる情報の収集や、問題解決ができません。

そのため、AIによる福祉関連の業務処理では、利用者のニーズ細かなニュアンスや個別の状況に対応することができず、利用者の問題解決に繋がらない可能性が出てきます。

高齢者や障害者等に対する対応などが、良い例でしょう。

また、AIによる業務処理では、公務員が行っていた業務に関する知識や経験が不要となるため、公務員自身がスキルアップできなくなる可能性もあります。

公務員が業務に携わることで培った知識や経験は、自身の成長やキャリアアップに役立つだけではなく、公共サービスの質を高めることにも繋がります。

AIの故障やエラーによる問題が発生する

業務の大半をAIに代替した場合、システムが動かなくなると業務自体がストップしてしまい、復旧するまでサービス提供ができません。

場合によっては、AIによる業務処理におけるエラーや故障によって、人命や財産を危険に晒す可能性があります。

実際に米国のオレゴン州では、AIが導入された州の医療保険交付システムにおいて、複数のエラーが発生し、約4万人の利用者が保険の適用を受けられませんでした。

事件の原因は、AIが処理したデータの入力エラーや、プログラムの不具合による問題であるという見解です。

他にもAIによる自動運転車の事故や、AIによる自動翻訳システムの誤訳なども多数報告されています。

AIによる公務員の代替によって生じる3つの社会問題（マクロ視点）

公務員の代替にAIが利用されることで、効率化やコスト削減といったメリットが得られる反面、社会問題も生じる可能性があります。

ここでは、そのうち3つの問題について考えてみましょう。

デジタル格差問題｜AIの導入により待遇の格差が拡大する可能性がある

デジタル格差問題とは、簡単に説明するとAIが導入されたとしても、扱える人材がいないという問題を指しています。

AI技術を扱える人材とそうでない人材の間に人材価値の格差が起きてしまい、待遇や給料面にも格差問題が広がるでしょう。

特に高齢者やデジタル技術に疎い人たちがいる地域や部署では、AIによる代替によって待遇格差が拡大する可能性があります。

急激な変化はないにしても、人事評価の見直しや技術者の育成など、各自治体で積極的に行われるはずです。

雇用問題｜AIが本格的に導入されると公務員の募集人数が減る

AIの導入によって、公務員の業務が自動化されることで、その分の人員が必要なくなる可能性が想定されます。

公務員は法的に身分が保証されているため、突然リストラに遭う可能性はありませんが、人件費削減のために検討する地方自治体も出てくるかも知れません。

また、AIによる代替が進めば、今後の公務員の募集人数も減少する可能性があります。

長期的な視点で見ると、AIの進化や普及が進めば、公務員の雇用に関する社会問題も生じることが予想されます。

プライバシー問題｜情報が漏洩する可能性がある

公務員が扱うデータには、個人情報などのプライバシーに関する情報が含まれる場合があります。

AIによる代替によって、これらのデータを扱う人員が減少することで、情報漏洩や不正アクセスなどの問題が生じる可能性があるでしょう。

また、AIによって自動化された業務においても、セキュリティ対策が不十分であった場合、外部からの攻撃や情報漏えいなどのリスクがあることも指摘されています。

AIで代替できない公務員の4つの業務

AI技術の進化により、従来は人間が行っていた業務の多くが、AIによって代替されつつあります。

しかし、AIで代替できない公務員の業務も存在します。その中でも特に代替が難しい業務に関しては、次の通りです。

コミュニケーション能力等のソフトスキルが必要な業務

公務員には、相手の立場や状況を考慮し、正確かつ適切な情報提供や説明を行うコミュニケーション能力が求められます。

市民や企業などとの交渉や調整を行う業務も多く、その際にも高いコミュニケーション能力が必要です。

ソフトスキルが必要な業務は、AIによる代替は困難であり、人間による対応が必要不可欠です。

意思決定における判断力や判断基準の設定業務

公務員には、法律や規則に基づき、様々な事象に対して適切な判断を行う業務があります。

たとえば、許認可の審査や予算の配分などが挙げられるでしょう。

AIによる代替も可能な場合もありますが、AIは人間と同じような判断力を持っている訳ではないため、最終的な判断は人間によるものが求められます。

複雑な業務や創造性を要する業務

AIは、ある程度の決まった規則やパターンに従った業務を効率的に処理すことが得意ですが、複雑な問題や創造性を要する業務には向いていません。

たとえば、政策の立案や研究開発などは、人間の創造性やアイデアが必要とされる業務であり、AIによる代替は困難だといえます。

緊急事態や災害時の対応業務

緊急事態や災害時の対応業務などを、AIで代替するのは難しいです。

たとえば、地震や台風などの災害が発生した場合、公務員は現場に急行し、迅速かつ正確な情報収集や適切な対応を行う必要があります。

緊急時の業務は、人間の判断力や決断力が必要であり、AIに完全に代替するのは困難でしょう。

AIによる公務員の代替によって求められる4つのスキル

AIによる公務員の代替によって求められる4つのスキルについては、次の通りです。

AIやIT技術に関する基礎知識

AIを導入するためには、公務員であっても基本的な知識が必要不可欠です。

具体的には、AIの種類やアルゴリズム、機械学習、データ解析の方法などの知識が必要であり、基礎知識がないとAIツールが扱えません。

加えて、クラウドやネットワークなどのIT技術についても、理解しておく必要があります。

現在は、書籍やYouTube講義動画などを活用して無料学習することもできますので、興味がある方は有識者の書籍から学ぶことをおすすめします。

データ解析能力（AIに適したデータの収集や処理など）

AIを活用するためには、大量のデータを収集し、処理する必要があります。

実際にAIが導入されると、公務員にはAIに適したデータの収集や処理、分析が求められるようになるでしょう。

また、ビッグデータを活用するためのデータマイニングの技術も必要です。

データマイニングとは、簡単に説明すると大量のデータから知識を見出す作業を指します。

クリエイティビティ能力（新規事業を企画するなど）

AIによる自動化が進んでいく中で、公務員にはクリエイティブなアイデアや発想力が求められます。

具体的には、新しいビジネスモデルや政策の提案、問題解決などを行う能力が必要です。

普段から新しい情報や知識等に敏感になり、常にアンテナを張っておくように心がけましょう。

ソフトスキル（コミュニケーション能力、問題解決能力、協調性など）

AIによる自動化が進むことで、公務員に求められる能力はソフトスキルにシフトしていきます。

AIによる自動化によっても解決できない問題や、クレーム対応など、人間力が求められる場面も多々あるでしょう。

そのため、コミュニケーション能力、問題解決能力、協調性などのソフトスキルが重視される訳です。

AIによる公務員の代替が進む中でのキャリアアップの2つの方法

AIによる公務員の代替が進む中でのキャリアアップの2つの方法としては、次の通りです。

資格取得や副業などを通してスキルアップに励む

一つ目の方法としては、資格取得や副業などを通してスキルアップに励むことです。

公務員は、多様な業務に従事するため、幅広いスキルが求められます。

AIによる代替が進んでいる業務では、AIに関する知識やデータ解析能力が求められる場合が多く、公務員自身もAIやIT技術に関する基礎知識を身につける必要があります。

そのためには、資格取得や副業を通じて、必要なスキルを身につけるのがおすすめです。

たとえば、IT関連の資格である「情報処理技術者試験」や「ITパスポート」などの取得が挙げられます。

また、副業としてAIに関連する業務に携わることで、AIの実務知識を身に付けられるでしょう。

民間企業へ転職して時代の変化に対応する

民間企業への転職も選択肢の一つです。

民間企業では、AIやIT技術の活用が進んでおり、新しい分野でのキャリアアップが可能です。

公務員にはない高い報酬やボーナス制度、キャリアアップの機会があるのも魅力の一つでしょう。

しかしながら、公務員から民間企業への転職は、一般的には困難を伴う場合が多いです。

実際に転職活動を行う際には、公務員の経験やスキルが民間企業でどのように評価されるのか、応募時に面接官が求めるスキルや経験との適合性などに注意しましょう。

公務員におけるAIの活用事例3選【2023年最新版】

地方自治体によっては、AIの導入が本格的に行われているところもあり、結果が既にある程度でているところも珍しくありません。

ここでは、代表的な3つのAIの導入事例に関して、それぞれ分かりやすくご紹介します。

問合せ支援サービスシステム（川崎市）

川崎市では、市民からの問い合わせに対応するため、AIを活用した「AIチャットbot」の導入を行っています。

市民からの問い合わせには、市役所の担当者が対応していますが、特に非常勤や契約社員の方が担当する場合があり、適切な回答ができないことが問題となっていました。

そこで、市役所による市民サービスの向上と業務効率化を目的に、AIチャットbotを導入しました。

システムでは、市民からの問い合わせ内容を解析し、最適な回答をAIが提供します。

導入後は、市民の問い合わせに迅速かつ正確に回答できるようになり、市役所の業務負荷も軽減されました。

道路舗装損傷の自動抽出システム（千葉市）

千葉市では、道路の舗装損傷箇所の抽出をAIによって自動化することで、道路の保全管理の効率化を図っています。

これまで舗装損傷の点検は、専門家が現地調査を行い、手作業で箇所を特定していました。

しかし、AIを活用することで、舗装損傷の箇所を自動的に抽出することが可能となりました。

システムでは、走行中の車両から取得した映像データをAIが解析し、舗装損傷箇所を自動的に抽出します。

導入後は、従来の手作業に比べて、約1/10の時間で舗装損傷箇所の特定が可能になりました。

AIによる自動抽出により、従来の点検方法よりも高精度な舗装損傷箇所の特定が可能になり、道路の保全管理の効率化にもつながっています。

保育所入所選考支援システム（さいたま市）

さいたま市の保育所入所選考支援システムは、保育所の入所申込に対して、必要情報を入力することで、入所申込者の評価を自動的に行うシステムです。

システムが評価する項目は、母子家庭であるか、障がいのある子どもであるか、保育希望時間帯等です。

システムは、入所申込者に評価結果を通知し、保育所にも結果を提供します。

導入後は、システムによって公平な入所評価が可能になり、申込者の不安感の軽減や申込者全員の情報提供等がスムーズに行えるようになりました。

公務員の将来性は明るいのか10年後を予想【未来の展望】

公務員の将来性については、様々な要因が絡み合って複雑な問題となります。

しかし、政府の方針や社会情勢を鑑みると、10年後の公務員の需要は比較的高いと予想されます。

ただし、公務員も常に変化に対応できるよう、スキルアップや業務の見直しなどに積極的に取り組む必要があるでしょう。

人口減少による採用枠の拡大

日本では、人口減少に伴い、労働力不足や高齢化社会などの問題が深刻化している状況です。

そのため、公務員採用枠の拡大が求められるようになってきています。

具体的には、国や自治体での医療・介護サービスの充実や、防災・減災対策の強化、社会保障制度の改善など、公務員の業務には多岐にわたる重要な役割があります。

そのため、人口減少によって公務員の需要が、増加する可能性が高いです。

人口減少によって競争率が低下することで、公務員採用のハードルが下がる可能性も考えられるでしょう。

一方で採用枠の拡大によって、適切な採用基準が確保されることも重要です。

人口減少による公務員採用枠の拡大は、現状の問題解決には必要な取り組みです。

しかし、公務員の職務内容が変化することや、財政的な課題にも対応することが求められるため、今後も継続的な検討が必要となります。

AIなどの技術革新による業務の自動化

最近では、AIやロボティクスなどの技術革新が進展し、業務の自動化が進んでいます。

公務員の場合も、入力作業や書類整理、データ解析など、ルーチンワークや単純作業の自動化が可能となっています。

また、AIを活用することで、重要な情報の分析や予測が可能となるでしょう。

たとえば、自然災害発生時において、避難所の最適配置や避難ルートの提供などにAIを活用することで、迅速かつ正確な対応ができるようになります。

一方で、AIによる自動化に伴い、公務員の業務内容が変化することも考えられるでしょう。

公務員は、業務の自動化によって失われるルーチンワークや単純作業の代わりに、より高度な業務や判断が必要な業務に取り組むことが求められます。

そのため、公務員自身のスキルアップやキャリアアップの取り組みが必要となるでしょう。

社会的ニーズの変化による業務の多様化

近年、社会のニーズが多様化してきています。

たとえば、高齢者の介護や障がい者の支援など、社会福祉に関連する業務が増加しています。

加えて、地域防災や環境保全など、緊急性の高い業務にも公務員は対応する必要があるでしょう。

このような現状から今後、公務員の職務内容は多様化していくことが予想されます。

公務員は、社会のニーズに合わせて、適切な対応を行うためのスキルや専門知識を必要とするでしょう。

業務の多様化に伴い、公務員自身の職務遂行能力の向上や、新たな業務に取り組むための教育・研修が必要となります。

公務員のAI代替に関するよくあるQ&A

公務員のAI代替に関する多くの質問や悩み等中から、特に注目度の高い内容だけを厳選し、それぞれ質問形式でまとめてみました。

Q.今後AIに奪われない仕事は何ですか？

今後AIに奪われない仕事には、次のような特徴があると考えられます。

AIの技術が進化し続ける現代においても、常に新しいスキルや知識を習得し、自己成長することが求められるでしょう。

Q.AIは公務員の現場にどの程度の期間で導入できますか？

AIを公務員の現場に導入する期間は、導入するシステムの種類や規模、既存のシステムとの互換性などによって異なります。

具体的には、次のような要因が影響を与えます。

AIを導入する際には、技術的な側面だけでなく、法的・倫理的な問題も考慮する必要があります。

Q.市役所で働いている地方公務員の将来やばいのでしょうか？

市役所で働いている地方公務員の将来がやばいとは、一概には言い切れません。

AIやロボット技術の進化が進めば、一部の業務が自動化され、業務内容や求められるスキルが変化する可能性があることは事実です。

しかし、市役所で働く地方公務員は、社会インフラの維持や社会福祉など、地域社会の重要な役割を果たしているため、完全にAIによる代替が可能な業務は限られています。

公務員は政府の役割や責務を担う存在であり、政策の立案や施策の実行などの業務は、AIに代替されることはないと考えられるでしょう。

Q.AIが発達すると必ずしも公務員が安泰であるとは限りませんか？

確かに、AIの発達によって公務員の業務内容が変化する可能性があるため、必ずしも公務員が安泰であるとは限りません。

たとえば、AIによって自動化される業務が増え、公務員の需要が減少する可能性があります。

AIを活用した業務が増えることによって、公務員に求められるスキルが変化することも考えられるでしょう。

しかしながら、公務員が持つ重要な役割は、社会インフラの維持や安全保障、福祉など、政府の役割や責務を担うことであり、AIが完全に代替することは難しいとされています。

地域社会の中で、公務員は住民とのコミュニケーションや地域問題の解決に携わることが多く、これらの業務においては、AIが完全に代替することはできません。

Q.AIにより公務員の業務上のミスや誤りを減らすことができますか？

AIを活用することで、公務員の業務上のミスや誤りを減らすことができる場合があります。

たとえば、入力ミスによるデータの誤りや、手書きの書類の読み取りミスなどは、AIを使うことで自動化が可能です。

また、AIを活用することで、公務員がミスを犯しやすい業務を自動化することができ、公務員がより高度な業務に集中することができます。

ただし、AIを活用することで完全にミスや誤りをなくすことはできません。

AIには、学習データやアルゴリズムの誤りが含まれる可能性があり、AI自体にバグがある場合もあります。

まとめ

AIの導入により、公務員の仕事には大なり小なり影響がある訳ですが、いきなり大量リストラ等に遭う可能性は考えられません。

なぜなら、公務員は法律に身分が保証されている存在であり、会社員のように業績によって仕事や給料に影響が出るということがないからです。

業務内容に対象の影響はあったとしても、3〜5年後にいきなり大きな変化が訪れる、という可能性は極めて低いでしょう。

公務員のルールや規定を決めているのも公務員ですので、自分の仕事がなくなるような行為をする、というのは考え難いです。