公務員は失業保険を受け取れないって本当なの?
受け取れない具体的な理由が知りたい!
一般的な会社員であれば雇用保険に加入しているため、退職後には最寄りのハローワークで申請を行えば、失業保険(失業手当)を一定期間受け取れます。
しかし、公務員は雇用保険法の適用対象外となっており、退職後に失業手当を受け取ることはできません。
そもそも公務員は、一般的な会社員とは異なり失業のリスクが低く、安定した職業であることが大きな要因として挙げられます。
総務省の調べによると地方公務員の離職率は全体の約1%、国家公務員の場合は約5%程です。
会社員と比べて非常に離職率が低く、安定した職業であることから、退職する人は少ないのが現状です。
この記事では、公務員が失業保険を受け取れない理由について分かりやすく解説すると共に、失業保険の代わりとなる退職手当に関しても説明しています。
公務員は自己都合退職や懲戒解雇などのよっぽどの理由がない限り、途中で失業することはありません。
失業保険(失業手当)とは失業者が職に就くまでの支えになる制度
失業保険(失業手当)とは、正式には雇用保険と呼ばれる保険制度であり、特定の要件を満たした際に雇用保険から受け取れる失業手当を指します。
「雇用保険制度」自体は、厚生労働省が運営している保険制度であり、その目的は「労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のため」と定められています。
また、失業保険が受け取れる条件としては、主に2つです。
①失業(離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること。)していること。
②離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること。
※ただし、解雇・倒産等により離職した方(特定受給資格者)又は期間の定めのある労働契約の期間が満了し、
かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した方等(特定理由離職者)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
出典:ハローワークインターネットサービスより
上記の条件を満たしている人であれば、最寄りのハローワークで手続きを行い、申請が通れば失業保険を受け取れます。
ただし、申請後にすぐに失業保険がもらえる訳ではなく、申請を行った日から7日間は待機期間があるため、離職理由に関わらず期間中は失業保険を受け取れません。
会社の倒産や解雇などの理由により離職してしまった方や、正当な理由がある離職だと判断された方は、待機期間後に失業保険が支給されます。
ただ実際に銀行口座に振り込まれるのは、申請を行ってから約1ヶ月後なので注意が必要です。
また、自己都合退職などの理由により離職された方は、待機期間に加えて更に2ヶ月間の給付制限が設けられています。
失業保険がもらえる期間に関しては、離職理由や被保険者だった期間、年齢等によって変わります。
失業保険の詳しい申請方法や、貰える金額等に関しては、「ハローワークインターネットサービス」からご確認いただけます。
公務員は雇用保険法の適応外であるため失業保険がもらえない
公務員が失業保険を受け取れない理由は、雇用保険法の適用対象外となっているためです。
根拠となる法律の文章は、以下の通りです。
国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、
離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、
求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
出典:雇用保険法 第6条 適用除外より
ただし、公務員の方でも雇用保険法の適用事務所(日本郵政株式会社、国立大学法人等)に勤務していた人は、退職後に申請を行えば失業保険が受給可能です。
該当する方が実際に受給する際には、年金と失業給付との給付調整が行われる場合があります。
公務員は会社員と比べて失業リスクが低いため、雇用保険法の対象外となっています。
雇用保険がない代わりに、公務員は退職手当が用意されているので、退職をお考えの方は退職手当を考慮しておきましょう。
公務員は失業保険の代わりに退職手当が受け取れる
公務員は失業保険は受け取れませんが、代わりに退職手当が支給されます。
退職手当とは、地方自治体法(地方公務員の場合)と国家公務員退職手当法(第10条)により、定められている公務員のための制度です。
国家公務員、地方公務員どちらにも退職手当制度が設けてあり、支給要件を満たすことで退職時に受け取ることができます。
支給要件に関しては国家公務員、地方公務員変わらずほとんど同じ内容となっています。
実際に受け取れる金額は、個々の状況によって異なる上に、計算式が複雑なため所轄の担当者に直接聞いてみるのが得策です。
参考サイト
- 地方公務員の退職手当制度について|総務省(地方公務員の場合)
- 失業者の退職手当の支給要件及び支給額算定基準|内閣官房(国家公務員の場合)
公務員の退職手当に関する支給要件
公務員の退職手当に関する支給要件は、主に4つ挙げられます。
- 原則として、勤続期間が12月以上で退職した職員であること。
- 退職手当の額が、雇用保険法の失業等給付相当額に満たないこと。
- 原則として、退職の日の翌日から起算して1年の期間内に失業していること。
- 待期日数を超えて失業していること。
参考:内閣官房
たとえ失業者であっても、全ての条件を満たしていないと退職手当を受け取ることはできません。
公務員の退職手当の計算方法
退職手当額は、勤続年数、退職時の年齢等によって金額が異なります。
具体的な計算式は、以下の通りです。
退職手当額 = 基本額 + 調整額
●基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
●調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額
「退職理由別・勤続年数別支給率」に関しては、その名の通り退職理由等によって数値が異なります。
その他、「調整額」の計算のやり方に関しては、「退職手当制度の概要|人事院」をご参考にしてください。
公務員の退職手当に関する受け取り手続きの流れ
- 退職者本人が職場の担当窓口へ「失業者の退職手当受給資格証」の交付を申請する
- 職場の担当窓口から送付されたの「失業者の退職手当受給資格証」をハローワークに提示し、求職活動を開始する
- 失業していた期間について、ハローワークで失業の認定を受ける
- 失業の認定を受けた期間について、失業者の退職手当給付申請書等を福利課に提出する
- 失業者の退職手当が支給される
参考:失業者の退職手当について
実際に職場で申請を行う際には、給与額調書、退職手当支給通知書の写し、交付申請書などの書類が必要になります。
必要書類に関しては、ご自身の勤め先で再度確認するようにしてください。
基本的に受給期間は、原則退職した日の翌日から数えて、1年間(手続きを行える期間)となっています。
ただし、受給期間の間に妊娠や出産、病気や怪我等の理由により、30日以上業務が行えない場合は、申請により受給期間の延長が可能です。
延長期間は、通常期間と合わせて最長で4年間です。
公務員が失業した場合の対処法とアドバイス
公務員が失業した場合、一般の労働者とは異なる点がいくつかあります。
公務員は失業保険の対象外となるため、新たな仕事に就くまでの間の経済的支援は限られます。
しかし、様々な生活補助手段が存在しますので、適切な計画と行動によって再就職を目指すことが可能です。
公務員が失業した場合の生活補助手段
公務員が失業した場合、退職手当が支給されるのが一般的です。
この手当は公務員の職務期間や役職などによって変わりますが、生活費の一部として計画的に使うことが重要です。
また、地方公共団体や関連機関では、再就職支援の制度を設けている場合もあります。
これらの制度を活用して、新たな職を見つけるためのスキルアップやネットワーキングの機会を得ることができます。
公務員が再就職をするためのアドバイス
再就職を考える際には、自身のスキルや経験を再評価し、それが民間の職場でどのように活用できるかを考えることが重要です。
公務員としての経験は、組織運営、プロジェクト管理、法規制の理解など、多くのスキルを提供してくれます。
これらのスキルは、民間企業でも非常に価値があります。
また、新たな職種や業界に転職することを考えている場合、必要なスキルを身につけるための教育やトレーニングの機会を探すことも大切です。
そして、再就職活動では、自身の経験とスキル、そしてそれらが求められる新たな職場でどのように活かせるかを明確に伝えることが必要です。
まとめ
公務員は雇用保険法の適用対象外となっており、退職後に失業手当を受け取ることはできません。
その代わりに退職手当を受け取れますので、気になる方は一度お勤め先の担当窓口で、直接話を聞いてみると良いでしょう。
また、就職支援窓口などもお勤め先によっては設けてありますので、積極的に活用するようにしてください。
公務員の退職で迷われている方は、一度ライフプランニングの専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのも一つの手段です。
無料相談を受け付けているFPも非常に多いので、まずは気軽に利用してみてください。
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