公務員でも仮想通貨の取引はやっていいの?
仮想通貨は副業に該当しない?
仮想通貨は株式取引やFXなどと同じく、資産運用に該当するため副業にはなりません。
そのため、副業が禁止されている会社員や公務員であっても、仮想通貨の取引自体は自由に行えます。
ただし、公務中に仮想通貨の取引を行ったりすると、懲戒処分になる可能性があるので注意が必要です。
この記事では公務員が仮想通貨を行う際の注意点や、実際に起きた事件やトラブル等に関して分かりやすく解説しています。
公務員の方ですでに仮想通貨の取引を行っている人は、税金面に関しても十分把握しておきましょう。
その上で、確定申告の必要がある人は、しっかりと行うようにしてください。
公務員が仮想通貨で稼ぐと副業になるのか
公務員は法律で副業が禁止されており、隠れて副業を行った事実が発覚してしまうと、懲戒処分の対象となります。
根拠となる法律は、国家公務員法第103条・104条と地方公務員法第38条です。
ただし、株式取引やFX等の資産運用に関しては、公務員であっても行えます。
仮想通貨に関しても資産運用に該当するため、仮に取引で稼いだとしても副業には該当せず、職場にバレたとしても基本的には問題ありません。
仮想通貨は副業には該当しませんが、実際に投資を行う際には程度をわきまえて、取り組む必要があります。
間違っても公務中に仮想通貨の取引を、行わないようにしましょう。
マイニングの場合は副業とみなされる可能性がある
マイニング(採掘)とは、仮想通貨における承認作業であり、マイニング作業者のことをマイナー(発掘者)と呼びます。
マイニングに成功するとその報酬として、仮想通貨が支払われるようになっており、報酬目当てで参入する企業や個人が非常に多いです。
ただマインングは設備投資を行った上で取り組むものですので、資産運用ではなく副業とみなされる確率が高いです。
公務員であれば手を出さないほうが、得策だといえます。
海外では公務員の仮想通貨取引は禁止されているところも
日本の公務員はまだそれ程、仮想通貨に関して厳しく取り扱ってはいません。
しかし、諸外国では自国の公務員に対して、厳しい規制をかけている国もあります。
国名 | 詳細 |
アメリカ | マイアミ市をはじめとした一部のエリアで、 公務員に対して仮想通貨で給与支払いを試験的に行っている。 |
ウクライナ | 国の情勢の不安定さから、 公務員が積極的に仮想通貨を保有している。 |
ロシア | デジタル資産関連法に基づき、 公務員の仮想通貨の保有を全面的に禁止。 |
ブラジル | 公務員に対してビットコインでの給与支払いを検討中。 |
韓国 | 全面的に公務員の仮想通貨取引を禁止する法案を固めている。 |
各国の規制に関しては、仮想通貨の市場にも大きな影響を与えており、規制が発表された直後は大きな暴落も起こっています。
仮想通貨をはじめとした新しい技術に対する各国の法律に関しては、今後もまた改正される可能性が高いです。
公務員が仮想通貨で利益を出した際の税金
公務員や会社員の方で、仮想通貨で年間20万円以上の利益が出た場合、確定申告が必要です。
年末調整とは別に個人で行う必要があるため、確定申告のやり方に関しては、十分把握しておきましょう。
また、仮想通貨で出した利益に関しては、一般的に雑所得に分類されます。
最大税率は所得税と住民税合わせて55%とかなり高いので、予想に反して大きく利益が出た人は一度、税理士等に相談しましょう。
仮想通貨の税金に関する計算は、取引回数が多い人だと複雑になってしまうため、一度税理士に相談するのも一つの手です。
仮想通貨で利益を出した際の確定申告のやり方
仮想通貨で年間利益が20万円以上ある人は、以下のステップで確定申告を行います。
- 取引所から”年間取引報告書”を取得する
- 仮想通貨(暗号資産)の計算書を作成する
- 確定申告書を作成する
- 納税額がある人は税金を支払う
現在はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使って、確定申告書の作成から提出までワンストップで行えます。
またスマホからでも確定申告ができますので、それ程難しいことではありません。
ただし、はじめて確定申告を行う際には、十分に調べた上で慎重に行うようにしましょう。
確定申告を行ったら職場にバレるのか
公務員が確定申告を行った場合、住民税をきっかけに職場にバレる可能性が高いです。
住民税はそもそも前年の所得に応じて計算されるため、確定申告で課税所得が増えた方は、住民税の納税額も増えてしまいます。
また住民税の管理や計算は、各都道府県や市町村の役場等で行われているため、確定申告を行った公務員はバレやすいです。
最低限の対策としては、仮想通貨を理由に行った確定申告に関して発生する住民税については、本業とは別に納めるようにしましょう。
具体的には確定申告を行う際に、住民税を本業とは別に納付する項目があるので、チェックを忘れないことです。
公務員が仮想通貨で起こした過去のトラブル・事件
仮想通貨に関する詐欺や犯罪はとても多く、公務員も例外ではありません。
ある程度どんな事例があるのか事前に把握しておくことで、トラブル対策にもなります。
ご紹介している事例を、反面教師として捉えてみてください。
仮想通貨を理由に本業を失っては本末転倒ですので、くれぐれも怪しい話には乗らないようにしましょう。
万が一、仮想通貨に関連するトラブルに巻き込まれた際には、金融庁が紹介している相談窓口へお問い合わせください。
ビットコイン500万円分詐欺被害
滋賀県警草津署は9日、滋賀県草津市内の地方公務員の男性(30)が、会員制交流サイト(SNS)で知り合った人物から計500万円分の仮想通貨「ビットコイン」をだまし取られたと発表した。多額詐欺事件として捜査している。
出典:京都新聞から一部抜粋
上記は2022年2月9日に起きた、公務員を対象とした詐欺事件です。
500万円分の仮想通貨というとかなりの金額ですので、盗まれた公務員は資産の大半を失った可能性があります。
インターネット上には同じような交流サイトがいくつも存在しますが、怪しい話にはくれぐれも乗らないようにしましょう。
消防士が仮想通貨投資勧誘で紹介料受領
仮想通貨を用いた投資事業に消防士らを勧誘して紹介料を受け取ったとして、徳島県の名西消防組合、鳴門市両消防本部の20代の消防士3人が昨年、口頭注意処分を受けていたことが両本部などの取材で分かった。
紹介料の受け取りは、地方公務員法が禁止する営利行為に該当する可能性がある。
出典:徳島新聞から一部抜粋
消防士内でも仮想通貨に関する取引を行っている人が、最近は増えてきています。
勧誘して紹介料をもらう行為は副業に該当する可能性が高いため、くれぐれも同じようなことはやらないようにしましょう。
仮に副業判定された場合は、懲戒処分の対象となりますので本業にかなり影響が出てしまいます。
警察庁キャリア職員が勤務中の取引で懲戒処分
動画の内容は、仮想通貨の取引ではなく株式取引になりますが、仮想通貨であったとしても同じように公務中に行うと懲戒処分の対象です。
国家公務員法には、”職務に専念する義務(国公法第 101 条)“が記載されており、公務中に他のことをやってしまうと厳しく罰せられます。
会社員よりも公務員は服務規律が厳しいので、間違っても公務中に仮想通貨の取引は、行わないようにしましょう。
公務員が仮想通貨を行う際の注意点4つ
公務員が仮想通貨の取引を行う際に、注意すべき点として4つご紹介します。
- 職務専念義務を守る
- 家族の名義ではやらない
- 借金をして信用を失わない
- 利益が出たら確定申告を行う
公務員は最低限のルールを守った上で、仮想通貨の取引を行う必要があります。
資産運用の一環として取り組む分には良いですが、間違っても借金や確定申告をしないなどと、いったことがないように注意しましょう。
取り上げている項目は最低限、公務員が守るべき内容です。
現時点で守れていない項目がある方は、早急に是正するようにしましょう。
職務専念義務を守る
投資した仮想通貨の価格が気になってしまい、公務中にも取引を行ったり、何度もスマホでチャートを確認するのは厳禁です。
人によっては自身の許容限度額を超えて投資を行ってしまい、気づいたら投資ではなく投棄になってしまっている人も少なくありません。
「四六時中、チャートが気になってしょうがない…」という方は、投資額を減らして気にならない程度に行うようにしましょう。
家族の名義ではやらない
仮想通貨の取引を行っていることが職場にバレないようにと、家族の名義で取引を行っている人も中にはいます。
仮想通貨への投資自体は、公務員であっても問題なく行えますので、実際にやる際には家族名義で隠れてやらないようにしましょう。
万が一、家族名義で仮想通貨の取引を行って、その後何かしらのトラブルになった場合、家族も巻き込むことになりかねません。
借金をして信用を失わない
仮想通貨をはじめとした投資は、余剰資金で行うのが一般的ですが、中には一攫千金を狙って借金をしてまで投資する人もいます。
万が一、借金をしてまで仮想通貨へ投資した後に価格が急落し、全額借金として残ってしまった場合、仕事に悪影響がでかねません。
国家公務員法には、”信用失墜行為の禁止(国公法第 99 条)“が設けられており、地方公務員も同様に信用に関わるような行動は慎む必要があります。
仮想通貨で作った借金が噂となり、マイナスのイメージがついてしまうと、職場にも居づらくなるのでくれぐれも注意しましょう。
利益が出たら確定申告を行う
公務員の人が仮想通貨の取引で、年間20万円以上の利益が出た場合は確定申告が必要です。
中には(やらなくてもバレないだろう…)と考えている人もいますが、無申告が税務署に摘発されると、別途ペナルティが課せられます。
- 過少申告加算税:金額を少なく申請していた場合に課せられる
- 無申告加算税:確定申告しなかった場合に課せられる
- 遅延税:納税が期限内に行われなかった場合に課せられる
- 重加算税:悪質な脱税行為を働いた際に課せられる
脱税は犯罪ですので万が一、職場にバレてしまうと問題になる可能性が高いです。
正しい手順で確定申告を行えば問題ありませんので、故意に無申告などせずに必要性がある人は、必ず行うようにしましょう。
まとめ
公務員であっても、仮想通貨の取引自体は資産運用に該当するため、問題なく行えると解説してきました。
ただし、副業は法律で禁止されていますので、マイニングを行った場合には懲戒処分の対象になる可能性があります。
また仮想通貨で年間の利益が20万円以上出た場合には、必ず確定申告を行いましょう。
投資は自己責任で行うものですので、不安な方は自身でも十分に調べた上で、取り組むようにしてください。
現時点で、仮想通貨への投資を検討されている公務員の方は、まずは余剰資金で少額から行うようにしましょう。
間違っても一攫千金を狙って、”投資”が”投機”にならないようにくれぐれも注意してください。
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