2022年の公示価格は全国的に上昇。変動が大きいエリアとは?

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国土交通省が1月1日時点の地価を調査し、公表する「公示価格」は不動産取引の指標となる重要な数値です。2021年は新型コロナ感染症の影響商業地を中心に下落しましたが、2022年は全国的に上昇しました。

また、変動率の幅が最も大きかった土地は住宅地・商業地ともに北海道・北広島市でした。一体なぜでしょうか?

本記事では公示価格とは何か、2022年の公示価格、変動率の幅が大きい土地と要因などをお伝えしていきます。

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公示価格とは

不動産は「一物四価」と呼ばれ、取引価格(時価)・公示価格・相続税評価額・固定資産税評価額の4種類の価格が存在します。
不動産鑑定士による鑑定評価を加え、「一物五価」と呼ばれることもあります。

公示価格は、国土交通省・土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて、適正な地価の指標として毎年1月1日時点の一定の土地(2022年度は26,000地点で実施)の価格を3月に公示するものです。

2022年は2,348人の不動産鑑定士が全国26,000地点(うち、福島第一原子力発電所の
事故の影響による7地点で調査を休止)について選定と確認を行い、分科会といった専門家との議論を経て評価した価格で判定しています。

公示価格は土地取引の指標となる、不動産鑑定の規準となる、相続評価・固定資産税評価についての基準となることなどを目的に調査されています。

2021年の公示価格は新型コロナ感染拡大で下落しましたが、2022年は回復傾向にあります。

2022年の公示価格は全国的に上昇

2022年の公示価格を用途・地域別で見ていきましょう。

2021年(令和3年)の全用途平均・公示価格は全国で-0.5%、三大都市圏で-0.7%、地方圏では-0.3%でしたが、2022年(令和4年)は全国で0.6%(前年比+1.1%)、三大都市圏で0.7%(前年比+1.4%)、地方圏で0.5%(前年比+0.8%)と上昇しています。

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住宅地は2021年度も商業地より影響は少なかったものの、全国で-0.4%でしたが2022年には0.5%で前年比+0.9%です。

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商業地はホテルやオフィスビルなど新型コロナ感染症の影響が大きく、全国では2020年の3.1%から2021年には-0.8%と3.9%ダウンしましたが、2022年には0.4%と2021年より1.2%上昇しています。

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特に地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇率が拡大しました。

国土交通省の「令和4年地価公示の概要」では、住宅地は「景況感の改善を背景に、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、地価は上昇に転じた。」と記載されています。

商業地は「都心近郊部において、景況感の改善により、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られる」と記されている一方で、「国内外の来訪客が回復していない地域や飲食店舗等が集積する地域では、下落が継続している地域がある。また、都心中心部の一部の地域において、オフィス需要に弱い動きが見られ、下落している地域がある」と記されています。

住宅地の回復は早かったものの、商業地でインバウンド(外国人観光客)により集客していたエリアや一部の地域では下落が続いています。

2022年公示価格の変動率が高かった土地は北海道

2022年、全国における地価の変動率が大きかった土地の順位を住宅地と商業地でご紹介します。

上位10ヶ所全てが北海道という結果になりました。北海道では札幌市の地価が高騰した結果、札幌市に比べ割安で隣にある北広島市・石狩市・江別市などの人気が上がっています。

1位の北広島共栄町は26%と大幅に上昇しましたが、プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズが2023年から球場を札幌ドームから北広島市に移転すること、周辺にマンションが新築されたことから地価が上昇したとみられています。

商業地も1・2位は北広島市ですが、3~10位は福岡市が占めています。福岡市では市が展開する再開発事業プロジェクト「天神ビックバン」が行われており、4月には商業施設「ららぽーと福岡」が開店予定であることが影響したと予測されます。

住宅地・商業地共に地方四市が占める結果となりました。

他に特徴的な公示価格の変動があった要因

その他に公示価格で特徴的な変動があった要因・エリアは以下の通りです。

  • インバウンドの減少
  • 飲食店での会食の機会減少
  • 国内観光客の数が回復
  • リゾート地は高需要

1.インバウンドの減少

東京都中央区銀座地区は国内で一番地価が高いエリアで2022年は1㎡あたり5300万円ですが、地価は1.1%下落しています。

国土交通省の公表資料によると、「国内客により人流は回復傾向にあるものの、新型コロナの影響により外国人観光客関連の需要がほぼ消失し、店舗の収益性が低下しているため、地価の下落が継続している」との記載があり新型コロナの影響が続いています。

同様に北海道札幌市すすきの地区もインバウンドの減少により地価が下落しています。

2.飲食店での会食の機会減少

新型コロナ感染症拡大の影響で飲食店において会食する機会が減少したことから、宮城県仙台市青葉区国分町地区、東京都千代田区有楽町地区・中央区銀座地区、兵庫県神戸市中央区東門街地区、石川県金沢市片町地区など繁華街があるエリアでは地価が下落傾向にあります。

3.国内観光客の数が回復

東京都台東区浅草地区では、浅草駅付近で1.1%、つくばエクスプレス浅草駅エリアで1.3%地価が上昇しました。

国内観光客が回復傾向にあり需要が安定していること、新型コロナ収束後の外国人観光客
関連の需要回復に対する市場の期待感から上昇に転じたと推測されます。
静岡県熱海市は首都圏からの距離が近くインバウンドの影響が少ない、国内観光客が戻ってきたことから5.2%上昇しています。

4.リゾート地は高需要

郊外にあるリゾート地は、新型コロナ感染症による生活様式の変化により移住を目的とした需要が高まっています。

特にリゾート地として有名な長野県軽井沢町は、首都圏の高所得層を中心とする別荘地への需要と移住者による需要で、3.3%~11.2%程度地価が上昇しています。

大型商業施設に至る幹線道路沿いで店舗・ホテル等の需要が手堅い事も地価上昇の一因となっています。

2021年にエリア内で25%地価が上昇した北海道倶知安町では、別荘地の開発が一部中断しており、海外投資家の需要が減少したことから11.9%アップで上昇率は縮小しました。

まとめ

2022年の公示価格は新型コロナ感染症の影響があった2021年から上昇しました。ただ一部の地域では会食の機会減少、インバウンドの減少で地価下落が続いています。

不動産の価格は景気に変化があってから半年程度遅れて影響すると言われています。
株価の方が市況の影響を早く反映しますので、株価と共に地価の動向を注視していきましょう。

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