海外保険はクレジットカード付帯で十分では?
クレジットカード付帯の海外保険を利用するデメリットは?
海外では国内とは異なり、一般的に掛かった医療費に対して保険が適応されません。
あらかじめ海外保険に加入していた人は、後日支払った医療費のうちの何割かが戻ってきますが、基本的に無保険だと全額負担です。
ただし、クレジットカード付帯の海外保険が利用できる方は、渡航日から90日以内であれば海外保険が適応されます。
適応条件はカードによって異なりますが、民間の海外保険に加入する手間と保険料がかからない点が、大きなメリットでしょう。
本記事ではクレジットカード付帯の海外保険に関して、初心者の方にも分かりやすく解説しています。
クレジットカード付帯の海外保険では、一般的にコロナ治療費は適応されません。
海外旅行保険はクレジットカード付帯の保険で十分なのか
海外旅行保険はクレジットカード付帯の保険で十分かどうかは、ご自身に必要な補償内容や保険の適応期間によって異なります。
本来、クレジットカード付帯の海外保険は、渡航日から90日以内という制限が設けあり、カードのランクによって補償内容が異なります。
そのため、クレジットカードのランクが低い方は、特に補償項目別の補償額をしっかりと確認する必要があるでしょう。
足りない補償内容や期間に関しては別途、企業が提供している海外保険への加入を検討すべきです。
補償内容と期間の詳細を確認した上で、判断しましょう。
自動付帯と利用付帯の違い
クレジットカード付帯の海外保険には、適応条件がカードによって設けられています。
適応条件には2つの種類があり、自動付帯と利用付帯によって異なります。
自動付帯とは、その名の通り何もしなくても自動的にクレジットカード付帯の海外保険が、適応される仕組みです。
自動付帯の場合は、主にカードランクがゴールドやブラックなどの上位ランクであるケースが一般的です。
対して利用付帯の場合は、一定の条件を満たさないとクレジットカード付帯の海外保険が、適応されません。
例えば楽天カードの場合、適応条件は利用付帯となっており、出国前に1円以上の決済を行う必要があります。
国内決済はあくまでも旅行工程の一部でなければいけないため、旅行に全く関係のない決済は適応外になります。
クレジットカード付帯の海外保険は90日以上は適応外
クレジットカード付帯の海外保険は、一般的に渡航日から数えて90日までとなっており、90日以上は海外保険の適応外になります。
(海外旅行保険は、クレジットカード付帯の保険で十分だ)と考えている方は、旅行期間が90日以内であるかどうかが判断基準です。
仮に1年間の海外留学を検討されている方は、クレジットカード付帯の海外保険だけだと不十分です。
クレジットカード付帯の海外保険は、あくまでも短期間の海外旅行を想定してある保険なので、その点を考慮しておきましょう。
クレジットカード付帯の海外保険の家族同伴の適応条件
クレジットカード付帯の海外保険は、基本的に本人のみを対象とした保険です。
ただカードによっては家族カードが作れるカード会社もある他、家族特約が設けられている場合もあります。
家族カードの定義は、生計を共にしている家族、配偶者、18歳以上の人が対象です。
18歳未満の子供は対象外となるため、家族カードを作成する際にはカード会社に確かめた上で、実行するようにしましょう。
また家族特約は、18歳未満の子供や同棲中のパートナー等もカード会社によっては、対象となる場合があります。
ただし、本人よりも補償額が低めに設定してあるケースが多いため、補償内容と共に事前確認が必要です。
クレジットカード付帯の海外保険を利用するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・面倒な手続きが不要 ・保険料がかからない ・日本語でサポートしてくれる | ・補償金額が少ない ・一般的に90日以内までしか適応されない ・カードのランクによって補償内容が異なる ・コロナ治療には対応してない |
クレジットカード付帯の海外保険の一番のメリットは、保険料がかからないことでしょう。
保険会社とは異なり加入手続きが必要ないため、自動付帯や利用付帯などの適応条件だけ気をつけていれば問題ありません。
海外から問い合わせする際にも、日本語でサポートしてくれるため非常に便利です。
対してデメリットとしては、保証期間が90日までと決まっているため、海外に90日以上長期滞在する人は別途他の海外保険に加入する必要性があります。
また最近は、コロナ治療に対する保険に加入する義務なども入国審査でチェックされるため、クレジットカード付帯の海外保険では不十分です。
クレジットカード付帯の海外保険だけでは、海外へ行くのは難しいです。
クレジットカード付帯の海外保険の主な6つの補償項目
補償項目 | 補償内容 |
傷害治療費 | 旅行中に怪我を負った際に、病院で治療や診察を受けた |
疾病治療費 | 旅行中に病気を発病した際に、病院で治療や診察を受けた |
携行品損害 | 旅行中に持ち物を盗まれたり、故障したりした |
賠償責任 | 旅行中に他人を怪我させたり、物を壊したりした |
救援者費 | 旅行中に入院し、家族が現地まで駆けつけた |
死亡・後遺障害 | 旅行中に事故に遭遇し死亡、または後遺障害が残った |
補償項目はあくまでも一般的なものであり、必ずしも全てのクレジットカード付帯の海外保険に含まれているものではありません。
利用される際には、渡航前に必ずご自身が利用しているクレジットカードを確認するようにしましょう。
補償項目と補償金額の2つを確認しておこう!
傷害治療費
クレジットカード付帯の海外保険で特に利用頻度が高いのが、傷害治療費です。
現地で突発的に発熱したり、事故で怪我をした際に現地の病院で診察や治療などを受けると、負担した医療費が補償されます。
実際に治療を受けた際には、診断書や領収書等は必ず保管して持ち帰るようにしましょう。
また病院までの交通費に関しても、カード会社によっては領収書があれば補償されます。
疾病治療費
東南アジア諸国などでは、よく旅行者が現地の水が原因で下痢になり、病院へ行くことがあります。
食中毒や感染症などはよくある話であり、病院へ行って治療や診察などを受けると疾病治療費に該当し、補償が受けられます。
また時間差で帰国した後に発症した場合も、疾病治療費の対象です。
携行品損害
海外では日本とは異なり、先進国であってもスリや窃盗などの軽犯罪が非常に多いです。
仮に貴重品がスリや窃盗などによって、盗まれたり破損されたりした場合、携行品損害に該当し補償されます。
盗まれた場合は時価によって価格判定され、破損した場合は修繕費として補償される仕組みです。
カード会社によっては、数千円程度の自己負担が設けてあったり、年間の補償限度額が設けてあったりしますので、事前に確認しておきましょう。
賠償責任
賠償責任とは、旅行中に他人に危害を加えたり、モノを破損した際に補償される項目です。
例えば海外ホテルの客室に誤って穴を開けてしまった際などに、適応されます。
万が一には弁護士費用なども補償されるため、クレジットカード付帯の海外保険を利用される方は、補償項目をしっかりと確認しておきましょう。
救援者費
救援者費とは、旅行中に本人が遭難や入院、死亡した場合、現地まで家族が駆けつけてくる際にかかる費用を指します。
具体的には交通費や滞在費、探索費用などが挙げられます。
死亡・後遺障害
死亡・後遺障害とは、旅行中に事故に遭遇したことで死亡、もしくは後遺障害が残ってしまった場合に適応される補償です。
「事故後180日以内まで補償」など後日発覚した場合でも、適応されるようになっています。
事故後の補償期間に関しては、カード会社によって異なるため各自確認してください。
クレジットカード付帯の海外保険を利用する際の注意点
クレジットカード付帯の海外保険を利用する際の注意点としては、主に5つ挙げられます。
- 海外保険の適応条件を満たさないと適応されない
- 補償金額が低めの設定になっている
- カードの紛失・盗難における対処法を知っておく
- 家族も適応されるか事前に確認する
- 複数の海外保険があっても補償額が増えない項目がある
ご自身のクレジットカードは大丈夫か、項目ごとに確認しましょう。
海外保険の適応条件を満たさないと適応されない
クレジットカード付帯の海外保険は、適応条件が満たされないと補償されません。
そのため、ご自身が必要な補償に関してどのような適応条件が設けてあるか、事前に確認した上で利用を検討すべきです。
詳細を把握せずに(クレジットカード付帯の海外保険があるから安心だ)と、過信している人は要注意です。
実際に現地で高額な治療費を請求された後に「海外保険が利用できなかった…」と、ならないでいいようにしましょう。
補償金額が低めの設定になっている
クレジットカード付帯の海外保険は、保険会社が提供している海外保険よりも、低めの補償額の設定になっています。
「付帯」とあるようにあくまでも、クレジットカードについている海外保険はオプションであり、メインとなるサービスではありません。
カードのランクによっては、高額補償されているケースもありますが、ご自身が必要とする補償額にとどいているかは必ず事前確認しておきましょう。
カードの紛失・盗難における対処法を知っておく
海外旅行中にクレジットカードを財布ごと盗まれた場合、直ぐにクレジットカード会社に連絡する必要があります。
カード会社ごとに緊急対応窓口が設けてあるため、海外で盗難やスリ等に遭遇した際には、直ぐに連絡するようにしましょう。
万が一、不正利用された場合は、登録している暗証番号が利用された場合を除き、全額補償されます。
スキミング(カード偽造)された場合も補償対象となりますが、詳しくは利用されているカード会社の公式サイトで各自ご確認ください。
家族も適応されるか事前に確認する
本人だけではなく家族の海外保険まで、クレジットカード付帯の保険で済ませようと考えている方は、必ず事前確認を行ってください。
クレジットカード付帯の海外保険には、家族特約が設けられている場合があります。
家族特約が設定してあるカードであれば、追加の手続き等は必要ありません。
家族特約がない場合は、家族カードを別途作成する必要があるでしょう。
複数の海外保険があっても補償額が増えない項目がある
クレジットカード付帯の海外保険は、補償項目によって金額を合算することができます。
補償額が一つのクレジットカードでは足りないと感じている方は、複数のクレジットカード付帯の海外保険でカバーするのも一つの方法です。
ただし、「死亡・後遺障害」の補償項目に関しては、加入されている海外保険の中でも補償金額が、最高額の海外保険しか適応されません。
クレジットカード付帯の海外保険に関するよくあるQ&A
クレジットカード付帯の海外保険に関する多くの質問や悩み等の中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答をわかりやすくまとめてみました。
実際の利用時の流れに関しても、しっかりと把握しておきましょう。
Q.クレジットカード付帯の海外保険の利用方法は?
クレジットカード付帯の海外保険を利用する際には、主に6ステップです。
- サポートディスクに連絡する
- 医療機関で治療を受ける
- 必要書類を医療機関から受け取る
- 帰国後、再度サポートディスクに連絡して必要書類を取り寄せる
- 受け取った書類に必要事項を記載後、必要書類を添付して郵送する
- 後日、問題がなければ指定口座に入金される
海外でトラブルが生じた場合は、最初に補償項目に該当するかサポートディスクに確認しましょう。
補償項目が把握できている方は直接、医療機関へ行かれても良いでしょう。
「キャッシュレス診療サービス」が設定されているクレジットカードを利用されている方は、現地の提携している医療機関を確かめる必要があります。
診療を受けた後は、必ず受け取った診断書や領収書などは、保管しておきましょう。
帰国後に、再度サポートディスクに連絡して申請に必要な書類を送ってもらい、必要事項の記入と必要書類を添付して郵送します。
書類に問題がなければ後日、指定口座に補償額が入金されるでしょう。
また注意点としては、基本的にどのクレジットカード会社も、トラブルがあった日から30日以内に連絡する必要があります。
Q.クレジットカードは複数持った方がよいですか?
海外保険の補償額が足りないと感じている方は、クレジットカードを複数所持するのは良い方法です。
ただし、90日以上の長期滞在である方は、クレジットカード付帯の海外保険ではカバーできませんので、その点だけ注意してください。
Q.1年間適応できるクレジットカード付帯の海外保険はありませんか?
一般的にどのクレジットカード付帯の海外保険も、補償期間は渡航日から数えて90日までです。
90日以上の海外保険が必要な方は、保険会社の保険商品を別途利用しましょう。
Q.クレジットカード付帯の海外保険と、その他の保険は併用できますか?
併用は可能ですが「死亡・後遺障害」の補償項目に関しては、補償額は合算されません。
加入されている海外保険の中でも、一番補償額が高い保険が適応されます。
Q.コロナ治療に適応したクレジットカード付帯の海外保険はありますか?
クレジットカードによっては適応される海外保険もあるようですが、設定されている補償額が少ない傾向にあります。
コロナ禍になり諸外国では入国時の条件として、コロナ治療に対する補償額の上限を定めている国が意外に多いです。
例えばタイへの入国条件にはコロナ治療に対する補償額として、最低でも1万ドル以上の海外保険に加入していないと入国できません。(2022年5月時点)
クレジットカード付帯の海外保険だのみで海外へ行かれる際には、必ず補償額に達しているか事前確認しておきましょう。
まとめ
以前と比較してコロナ禍になり、クレジットカード付帯の海外保険だけで海外旅行や留学を行うのは、難しくなりました。
特にコロナ医療費に対応してないクレジットカードが多いため、海外へ行く際には別途、海外保険に加入する必要性が高いです。
渡航先によって入国に必要な手続きや証明書等が異なりますので、必ず各人で公式サイトを確認した上で判断するようにしてください。
最新情報に関しては「外務省 海外安全ホームページ」から、ご確認いただけます。
現状を考えるとクレジットカード付帯の海外保険だけでは、正直不十分です。
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