地震保険がおりないケースは、あるのでしょうか?
過去に地震保険がおりなかったケースについて、詳しく知りたいです。
地震保険では、全ての損害が必ず補償されるという訳ではありません。
実際に保険金が支払われには、保険会社が依頼した外部の調査員によって現地調査が行われた後に、被害レベルが判定されます。
程度の低い損害に関しては、必ずしも調査員が出向くことはありません。
基本的に地震の影響で損害を受けた場合は、一度保険会社に相談してみるのが得策です。
個人で判断してしまうと、保険金が受け取れるのに申請せずに、損してしまうという場合もあるからです。
この記事では地震保険がおりないケースに関して、初心者にも分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、正しい知識を身につけ、地震保険での失敗を回避することができるはずです。
個人で判断せずに気になる場合は一度、保険会社に問い合わせましょう。
地震保険がおりない4つのケース
・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
・地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合
出典:財務省|地震保険制度の概要
地震保険がおりないケースは、大きく分けて4つ挙げられます。
中でも、多いのが地震が発生してから10日以上経過した後に、諦めて申請せずに保険金がおりなかったケースです。
大規模な地震が発生するとなかなか保険会社に連絡するのは難しいため、地震保険には申請に対する時効が、3年間と定められています。
万が一、地震が発生して3年以内に申請ができなかったとしても、保険会社によっては容認して保険金がおりる場合が多いです。
地震保険では全ての損害が補償される訳ではありませんが、地震で損害が出た事実があるのであれば、保険金がおりる確率は0ではありません。
虚偽の申請はもちろんダメですが、地震による損害が事実であるのであれば、諦めずに一度保険会社に相談してみることをおすすめします。
地震保険の補償範囲と建物・家財別の限度額
地震保険はそれ単体で加入することはできないようになっており、必ず加入する際には火災保険とセットで契約しなければいけません。
また、地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で定めることができます。
保険金額の上限としては、建物で5,000万円、家財で1,000万円までが限度額です。
被害レベルの基準は大きく分けて4つ
建物の損害区分 | 基準 |
全損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合 |
大半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合 |
中半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合 |
一部損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合 |
表は、建物の損壊レベル別の基準を表したものです。
損壊のレベルに関しては、調査員が現地調査したのちに判断されます。
損壊の程度により支払い保険金額が異なる
建物の損害区分 | 保険金支払額の割合 |
全損 | 地震保険金額の100% |
大半損 | 地震保険金額の60% |
中半損 | 地震保険金額の30% |
一部損 | 地震保険金額の5% |
実際に地震保険を利用した場合の、損害に対しての補償される保険金額の割合は、損害区分によってそれぞれ異なります。
最大100%補償されますが、時価額が限度となります。
地震保険がおりなかった過去事例
地震保険は基本的に自身で保険金の申請を行うように、契約で義務付けられています。
代行申請する場合は、法律的には問題ありませんが、保険会社側との契約違反となりますので注意しましょう。
実際に業者やコンサルタント等を活用して、代行申請を行うような詐欺事件も多発しています。
初めて申請される方で申請方法がわからない場合は、最初に保険会社に相談するようにして下さい。
万が一、申請代行サービスを活用して保険会社に保険金の請求を行なった場合は、保険金が減額される、契約自体が破棄されるといったことにもなりかねません。
※ 参考:国民生活センター資料
地震保険の保険金が多く出た過去事例【請求のコツ】
地震保険では家財に関してもその損害の程度により、保険金が受け取れる仕組みです。
調査員の家財に対する鑑定方法は、至ってシンプルであり、損害を”受けている”か”いないか”の2択に分かれます。
損害を受けている場合は、建物と同じく損壊レベルの区分によって、受け取れる保険金額が異なります。
例えば皿が10枚割れても30枚割れても、点数は同じです。
しかし、他のテレビや電話、洗濯機などさまざまな家財に被害が出ている場合は、個々に判定し保険金が支払われます。
より多くの異なる項目の家財に損害が出ている場合は、それだけ受け取れる保険金も多くなる訳です。
火災保険や地震保険だけでは補えないケース
自然災害等に関する建物や家財の損害に対しては、ある程度は火災保険や地震保険等で補うことができます。
しかし、住宅ローンがまだ残っている状態で被災した場合、建物が全壊してしまって保険金が満額支払われたとしても、住宅ローンだけが残るケースも少なくありません。
その上、また住宅ローンを活用して再建した場合は、二重で住宅ローンを抱えてしまいかねません。
最近では、住宅ローンの団体信用生命保険に”自然災害補償”の特約が付けられるタイプが、多くなってきています。
- 三井住友銀行:自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン
- みずほ銀行:自然災害支援ローン
- りそな銀行:自然災害サポートオプション など
住宅ローンを既に活用している方は、火災や地震保険だけではなく、住宅ローン自体に対しても保険をかけておく必要があるでしょう。
個人の状況によって必要な保険が異なりますので、自身での判断が難しい場合は、FPにお気軽にご相談ください。
地震保険がおりないトラブルに関するよくあるQ&A
地震保険がおりないトラブルに関連する多くの質問や悩み等の中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答をまとめてみました。
該当する内容で気になる質問がある場合は、是非とも参考にしてみて下さい。
地震保険に関して気になる点がある場合は、最初に利用している保険会社に直接、問い合わせてみてください。
Q.地震保険の調査員が訪問される際には、どこまで見られる?
地震保険を活用した際に調査員が派遣された場合は、見ないで欲しい箇所を予め指定しておくことで、調査エリアを限定できます。
建物が対象の場合で、見られたくない家財やその他のものがある場合は、先に片付けておくなどして対策を取りましょう。
逆に、家財などで見て欲しいものは、調査員が見やすいように出しておきましょう。
Q.地震保険は建物や家財の修理費を出すものなの?
地震保険はあくまでも修理費を出す保険ではなく、損害の程度に応じて保険金を支払うというものなので、実際にはいくらになるか分かりません。
憶測だけで先に修理を始めるのではなく、調査員がきてからある程度おりるであろう保険金額を、確かめる必要があります。
保険金の請求と損害の修理に関しては、同時に進めるのではなく、先にどのくらい保険金がおりるのかを確かめた方が得策です。
Q.地震保険は最長5年契約ですが、6年目以降は自動更新ですか?
基本的には火災保険を解約しない限り、地震保険も自動更新されます。
地震保険が満期を迎える1ヶ月前に、停止の連絡を保険会社にしない限り、自動更新になるケースが多いです。
ただし、火災保険が満期を迎えてしまうと、地震保険も同時に満期となり更新されません。
地震保険が自動更新されるか不安な方は、直接保険会社に問い合わせてみましょう。
Q.地震保険がおりる条件はありますか?
地震保険がおりる大前提として、地震による損害であることが挙げられます。
地震保険はその名の通り地震に対する保険なので、それ以外の原因で損害が出たものに対しては、適応対象外です。
地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による建物や家財の損害
出典:財務省|地震保険制度の概要
詳しくは、”財務省|地震保険制度の概要“をご確認ください。
Q.保険屋がしつこく地震保険への加入を進めてきます…
あまりにもしつこく勧誘される場合は、警察もしくは国民生活センターに相談して下さい。
地震保険は確かに重要な保険の一つですが、必ずしも全員が加入しなければいけない保険ではありません。
個々に状況は異なるため、必要かどうかわからない場合は、直接保険会社もしくは専門家であるFP等に相談しましょう。
まとめ
地震保険がおりない主なケースとして、4つご紹介しました。
・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
・地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合
出典:財務省|地震保険制度の概要
中でも虚偽申告は、保険金詐欺罪に該当するため、第三者の業者やコンサルタントに勧誘されたとしても、必ず断るようにして下さい。
地震保険で代行申請を行うと契約違反になるため、必ずご自身で保険金の請求を行うようにしましょう。
日本は地震大国ですので、万が一に備えて地震保険の内容を正しく理解しておくべきです。
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