フリーランス保護新法とは?個人や中小企業に及ぼす影響を解説

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フリーランス保護新法とは一体どんな法律ですか?

フリーランスの労働環境に具体的にどのような影響がありますか?

フリーランス保護新法とは、その名の通りフリーランスの保護を目的とした、政府が新しく定めようとしている制度になります。

大手クラウドソーシングサイト「ランサーズ」の調べによると、日本のフリーランス人口は全体の約22.8%を占めています。

今後もフリーランス人口は増えると予想されており、フリーランスの就業環境の改善が叫ばれている中、保護新法の設立が急がれている状況です。

この記事ではフリーランス保護新法に関する詳細や、具体的に保護新法がどのような影響を及ぼすのかに関して、分かりやすく解説しています。

最後まで読んでいただくことで、フリーランス保護新法に関して、体系的に理解できるはずです。

担当FP

フリーランスの就業環境の改善を図るための制度が、フリーランス保護新法です。

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フリーランス保護新法とは

フリーランス保護新法とは、フリーランスの事業者としての権利や立場を、保護するために定められ新しい制度です。

政府は、多くのフリーランスから集めた意見を元にした資料(パブリックコメント)を公表しており、すでに現状の課題が明らかになっています。

制度の詳細に関しては「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(案)」から誰でも確認可能です。

すでにフリーランス保護新法は、2022年秋頃の臨時国会中にも成立すると予想されています。

担当FP

フリーランス保護新法が無事に成立されれば、今よりもかなりフリーランスの方は、働きやすくなるでしょう。

フリーランスにおける現状の課題

フリーランスにおける現状の課題としては、大きく分けて3つ挙げられます。

  • 取引先とトラブルになるケースが増えている
  • 一つの取引先に依存しやすい傾向にある
  • 下請法の対象外となる場合が多い
担当FP

就業環境に関しては、会社員や公務員などのような働き方とは異なり、かなり不利な立場に立たされているのが現在のフリーランスです。

取引先とトラブルになるケースが増えている

出典:フリーランス協会

フリーランス協会の調べるによると、実際に取引先とトラブルになったフリーランスの割合は、全体の約4割を占めています。

報酬の未払いや不公平な取引条件など、さまざまなトラブルを抱えているフリーランスが多い反面、セーフティーネットは何もない状態です。

泣き寝入りするフリーランスもかなり多いため、就業環境の改善が直近の課題として大きく取り上げられています。

一つの取引先に依存しやすい傾向にある

フリーランスの大半が一つの取引先に依存している状態であり、常に収入が途絶えるリスクにさらされています。

突然の案件停止なども日常茶飯事であるため、その都度に不当な扱いを受けている、といっても過言ではないでしょう。

特定の取引先への依存は、フリーランスの収入が不安定であるといわれる原因にもなっているため、正当な契約条件の定義が必要不可欠です。

また、急な不景気などにも弱い立場にあるフリーランスは、〇〇ショックなどの突発的な経済不況にも影響されやすいです。

実際にフリーランスの多くが、コロナショックにより収入を大きく減らしています。

下請法の対象外となる場合が多い

下請法とは、発注者と受注者の間の取引を、フェアにするために定められた法律です。

フリーランスのような業務委託契約を通じて、発注元となるクライアントから案件を受注する受注者側を守るための法律、といっても過言ではありません。

不当な契約を結ばないためにも下請法を適応させるべきですが、実際には資本金1,000万円超の法人クライアントと取引する場合のみしか適応されません。

大半のフリーランスが、資本金1,000万円以下のクライアントと取引を行なっている状態であるため、下請法はないも同然の法律といえるでしょう。

フリーランス保護新法によるフリーランスへの影響

出典:フリーランス協会

フリーランス保護新法が成立すれば、取引における業務委託契約が必須となり、その内容に関しても双方中立な内容を定める必要性が出てきます。

これまではフリーランスの就業環境には、明確なルールがなかったといっても過言ではなく、さまざまなトラブルが相次いでいました。

トラブルが起きた際に、相談できる窓口なども特に定められていなかったため、フリーランスの多くは個人で解決する必要がありました。

しかし、フリーランス保護新法が立案されたことにより、今後は大きく就業環境が良い方向へと変化していくことが期待できます。

担当FP

フリーランスにおける業務トラブル対策は着実に進んではいるものの、ライフリスク対策に関しては、まだまだ課題が多いのが現状です。

フリーランス保護新法による中小企業への影響

フリーランス保護新法が中小企業に及ぼす影響としては、次のような項目が挙げられます。

  • 契約書や募集内容を明確に作る必要がある
  • フリーランスの就業環境を意識して、体制整備を改める
  • フリーランス保護新法を厳守していることを明言する
担当FP

フリーランスへ業務委託している中小企業は、義務や禁止事項等を正しく守らないと、行政から指導や勧告などを受ける恐れがあります。

契約書や募集内容を明確に作る必要がある

フリーランス保護新法が成立すれば、クライアントは業務委託契約を定める義務が生じます。

発注者によっては、契約を交わさずに取引を行なっているケースもあります。

しかし、今後は取引契約が義務化され、電磁的記録(または書面)の提供を行わなければいけません。

万が一、取引契約を中途解約する際には、契約期間満了日の30日前までに予告する必要があります。

その他にも、募集内容を提示する際には、明確に条件明示を行い正しい情報をフリーランスに伝える義務が課せられます。

報酬の支払いに関しては、成果物が納品完了された日から数えて、60日以内に支払わなければいけません。

フリーランスの就業環境を意識して、体制整備を改める

フリーランスと取引を行う際には、企業側は就業環境の整備の一環として、ハラスメント対策や出産・育児・介護との両立への配慮を行う必要があります。

例えばフリーランスから育児休暇を取りたいといった申し出があった場合、企業側はその際にどのような対応を行うのか、明確に契約書に提示しておくべきでしょう。

就業環境が正しく整備されれば、よりフリーランスも働きやすくなり、企業の業績アップに貢献してくれるはずです。

フリーランス保護新法を厳守していることを明言する

フリーランス保護新法を厳守していることを社内はもちろん、社外に対しても発信する必要があります。

制度が成立すれば、当然ながらフリーランス側は保護新法を厳守している企業であるか、必ず契約前に確認するはずです。

逆に明言していなければ、フリーランス人材の確保が難しくなる可能性もあります。

また、制度を厳守していることを発信することで、企業の信頼性アップにも繋がるはずです。

フリーランスの保護に関するよくあるQ&A

フリーランスの保護に関する多くの悩みや質問の中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ分かりやすくまとめてみました。

担当FP

知ることでトラブルを未然に防げる可能性が高くなりますので、フリーランスの方は積極的に自ら情報を取りにいく姿勢が大切です。

Q.フリーランスは生活保護制度を使えますか?

生活保護制度は、フリーランスであっても利用できます。

受給条件は、世帯全体の収入が13万円以下(年収156万円以下)であることが条件です。

フリーランスとして働いていても、月の収入が最低生活費である13万円以下であれば、生活保護制度の対象となります。

Q.フリーランス保護新法はいつからはじまりますか?

フリーランス保護新法が成立するのは、2022年秋頃を予定されています。

最新情報に関しては厚生労働省の公式サイトにて、ご確認いただけます。

Q.フリーランス保護新法の保護対象は、具体的にどんな人ですか?

厚生労働省が公開しているガイドライン(案)によると、フリーランスの定義に関しては以下のように明記されています。

「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインに
おける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、
自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すこととする。

出典:厚生労働省

Q.フリーランスの方は、個人情報の保護規定はどうされていますか?

フリーランスであっても情報漏洩リスクは、必ず配慮しておく必要があります。

本人に悪意がなくても、不本意に情報漏洩が起きてしまうケースも挙げられます。

例えばカフェやレストランで作業している時に、パソコンを開きっぱなしでトイレに立つなどの行為や、SNSへの投稿などに関しては十分な注意が必要です。

特に取引先が重要な情報を扱っている企業である場合、フリーランスにもより厳しい情報管理が求められるでしょう。

Q.フリーランスにも独占禁止法は関係ありますか?

独占禁止法は、フリーランスにも関係のある法律の一つです。

例えば内閣官房が公開しているガイドラインには、中小企業に対して次のように注意喚起されています。

出典:内閣官房

フリーランスが普段感じている違和感は、もしかすると独占禁止法や下請法上では、問題のある事項かも知れません。

気になることがあるフリーランスの方は、厚生労働省が正式に委託している「フリーランス・トラブル110番」へご相談ください。

まとめ

フリーランス保護新法とは、フリーランス(個人事業主)の立場や権利を、保護するための制度として解説しました。

将来的にフリーランス人口は、右肩上がりに増え続けると予想されており、今後ますます就業環境の改善が積極的に行われていくでしょう。

フリーランスの出産や育児、介護などといったライフリスク対策に関しても、早急に対応しなければいけない課題の一つです。

今後フリーランスの方は、制度を十分理解した上で業務にあたるようにしましょう。

担当FP

フリーランスという働き方を選択している人は、自分が置かれている立場を理解した上で、リスクに備える必要があります。

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