生命保険の給付金・保険金に税金がかかる?税金の種類や計算方法を解説

2023-6-26リスクと保険
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生命保険から受け取った給付金や保険金に、税金がかかる可能性があることをご存知でしょうか。

場合によっては、手取りが想像以上に少なく、医療費や生活費が不足することもあるかもしれません。

将来、どのくらいの給付金・保険金が受け取れるかを把握するためには、税金の種類や計算方法を知っておくことが大切です。

そこで今回は、税金がかからないケースと税金がかかるケースを解説します。

税金の種類や計算方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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税金がかからない生命保険の給付金・保険金

2023-6-26

病気やけがによって支払われる給付金・保険金は、非課税になります。

たとえば、不慮の事故や病気により受け取れる入院給付金には税金がかかりません。

その他にも、以下のような給付金・保険金は非課税です。

  • 手術給付金
  • 通院給付金
  • 先進医療給付金
  • がん診断給付金
  • 高度障害保険金(給付金)
  • 就業不能保険金・年金
  • 特定疾病(三大疾病)保険金
  • 介護保険金
  • リビング・ニーズ特約保険金 など

ただし、生前に受け取った給付金・保険金を被保険者が使い切れずに亡くなった場合、残った分は相続財産として相続税の課税対象となってしまう可能性があります。

税金がかかる生命保険の給付金・保険金

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税金がかかる生命保険の給付金・保険金には、以下のようなものが挙げられます。

死亡保険金被保険者が亡くなったときに受取人
に支給される保険金
満期保険金被保険者が生存している間に満期を
迎えることで支給される保険金
解約返戻金契約の途中で解約したときに、契約
者に払い戻されるお金
個人年金保険金一定の年齢まで積み立て、年金形式
で受け取るお金
その他のお祝い金
など
保険期間中に一定の期間ごとに受け
取れる給付金
※健康祝い金・生存祝い金 など

保険にかかる税金の種類

2023-6-26

死亡保険金や満期保険金を受け取る場合、その保険金にかかる税金は、契約内容によって以下の3パターンに分けられます。

  • 相続税
  • 所得税・住民税
  • 贈与税

具体的には、以下のように保険金・給付金の種類や、契約者と被保険者、受取人の関係性の違いによって、税金の種類が異なります。

契約者
(保険料
の負担者)
被保険者受取人税金の種類
死亡保険金相続税
所得税
住民税
贈与税
満期保険金夫もしくは
妻や子
所得税
住民税
夫もしくは
妻や子
贈与税
年金夫もしくは
妻や子
所得税
住民税
夫もしくは
妻や子
贈与税
(受け取る権利
の発生時)
所得税・住民税
(2年目以降の
受取時)

税金の種類別に「どのようなケースが当てはまるのか」「納税額をどのように算出するのか」を詳しく見ていきましょう。

相続税

相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同一人物で、受取人だけが異なる契約内容の死亡保険金を受け取る場合です。

夫婦に置き換えると、契約者と被保険者が夫、受取人が妻の場合、妻が受け取った死亡保険金には相続税がかかります。

なお、死亡保険金の受取人が相続人である場合は、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が以下の非課税限度額を超えなければ課税されません。

非課税限度額=500万円×法定相続人

法定相続人とは、民法で定められた被相続人から財産を相続できる人で、一般的に配偶者や血族などが該当します。

非課税限度額を超えても、超過分とその他の相続財産の合計が、以下の基礎控除の範囲内に収まっている場合は税金がかかりません。

基礎控除額=3,000万円+法定相続人×600万円

たとえば、契約者である夫が妻と子ども2人を遺して亡くなり、妻が1,600万円の死亡保険金を受け取ったときの相続税の計算方法を見ていきましょう。

法定相続人は妻と子ども2人の3人で、死亡保険金以外の相続財産が預金・不動産を合わせて1,000万円あるとします。

まずは、死亡保険金の非課税限度額を算出します。

500万円×3人=1,500万円

妻が受け取った死亡保険金の1,600万円から1,500万円を差し引くと、残りは100万円となります。

この100万円とその他の相続財産1,000万円を合計しても、以下の相続税の基礎控除額に収まっているため、今回のケースでは相続税がかからないことがわかります。

3,000万円+3人×600万円=4,800万円

所得税・住民税

契約者本人が死亡保険金や満期保険金、個人年金保険を受け取った場合は、所得税と住民税が課せられます。

契約者と受取人が異なる個人年金保険金の場合は、年金を受け取れる権利の発生時には贈与税が課税されるため、所得税・住民税がかかるのは2年目以降の受取時です。

夫婦に置き換えると、以下のような契約内容の場合に、所得税と住民税が課税対象となります。

保険金の種類契約者
(保険料
の負担者)
被保険者受取人
死亡保険金
満期保険金夫もしくは
妻や子
年金夫もしくは
妻や子
年金
(2年目以降
の受取時)
夫もしくは
妻や子

税金の計算方法は、保険金を一時金で受け取る場合と年金形式で受け取る場合で異なります。

一時金として受け取った場合は、一時所得として扱われ、給与所得などの他の所得と合算した課税所得に税率をかける「総合課税」で税金を算出するのが原則です。

一時所得は、以下のように求めます。

一時所得=(収入金額-収入を得るための支出金額-最高50万円の特別控除)

たとえば、今まで支払った保険料の合計が270万円、満期保険金が300万円の場合は以下のように計算します。

300万円-270万円-50万円=-20万円(※)

※他に一時所得に該当するものがないとする

今回のケースのように、受け取った保険金と支払った保険料の差額が50万円を超えない場合は、課税対象とはなりません。

50万円を超えた場合は、算出した一時所得の2分の1を給与所得などと合算して税額を求めます。

なお、保険期間5年以下の一時払養老保険といった一部の商品は、一時金で受け取った場合でも、総合課税方式をとらず、保険金の20.315%が源泉徴収されます。

次に保険金を年金形式で受け取った場合を見ていきましょう。

年金形式で受け取った保険金は、雑所得として扱われ、以下の式から算出された所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。

(年金額-その年金を受け取るために払い込んだ保険料または掛金の額)×10.21%

ただし、年金額から保険料や掛金を差し引いた残額が25万円未満の場合は、課税対象にはなりません。

贈与税

死亡保険金の場合は、契約者・被保険者・受取人がすべて一致しない契約内容のときに、贈与税の対象となります。

満期保険金や解約返戻金の場合は、契約者と受取人が異なる場合に、贈与税がかかります。

保険金の種類契約者(保険料
の負担者)
被保険者受取人
死亡保険金
満期保険金夫もしくは
妻や子
妻や子
年金
(受け取る権
利の発生時)
夫もしくは
妻や子

贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)の間に贈与された財産の合計額が課税対象となり、年間110万円の基礎控除があります。

贈与税の計算方法は以下の通りです。

(課税価格-基礎控除110万円)×税率-控除額

贈与税の税率には、一般贈与財産用と特例贈与財産用の2種類があります。

父母や祖父母などの直系尊属から18歳以上の人への贈与税の計算時には特例贈与財産用、該当しないケースでは一般贈与財産用の税率を使います。

<一般贈与財産用>

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

<特例贈与財産用>

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

仮に契約者を夫、被保険者を妻としている生命保険で、1,600万円の満期保険金を子が受け取った場合、贈与税は以下のように計算します。

(1,600万円-110万円)×40%-190万円=406万円

このケースでは、直系尊属からの贈与になるため、特例贈与財産用の税率と控除額を使います。

保険金にも税金がかかることを認識しておこう

生命保険の給付金・保険金は税金がかかるケースもあるため、課税対象となる契約内容かを事前に確認しておくことが大切です。

生命保険の給付金・保険にかかる税金の計算方法や、どのような保険で備えればいいのかがわからない方は、税理士やファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。

お悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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