自己都合退職と会社都合退職の違いとは?失業手当の給付・異議申し立て方法を解説

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失業手当(雇用保険の基本手当)は年齢や雇用保険の加入期間だけではなく、離職理由によっても給付の条件・日数が異なります。

退職理由は大きく分けて自己都合退職と会社都合退職があります。
自己都合退職では2ヶ月の待機期間の後に失業手当が給付されますが、会社都合退職は待機期間が7日になる可能性があります。
給付日数も自己都合退職より長くなることがあります。

本記事では、自己都合退職と会社都合退職とは何か、失業手当の違い、離職理由の知り方や異議申し立てについて解説していきます。

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自己都合退職と会社都合退職とは

退職には大きく分けて「自己都合退職」と「会社都合退職」があります。

自己都合退職とは引っ越し・介護・結婚など自身のライフスタイルの変化による退職や、キャリアアップや希望する職種へ転職するケースを指します。

一方で会社都合退職とは、会社の倒産・解雇・人員整理(リストラ)・事業所の法令違反などによる退職を指します。賃金未払いや会社からの退職勧奨(退職を勧められる)、会社内の立場を利用したいじめや嫌がらせ(パワハラ)、性的な嫌がらせ(セクハラ)も含まれます。

解雇は30日前に予告すべき

解雇に関しては、会社が自由に行えるわけではありません。労働契約法では客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできないという規定があります。

労働契約法第 16 条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

厚生労働省の「知って役立つ労働法」によると、主に以下の場合は解雇が明示的に禁止されています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000171203.pdf

会社は、就業規則に解雇事由を記載しておく必要がありますので、解雇を告知されたときにはまず就業規則をチェックしましょう。

企業側は合理的な理由があっても、解雇を行う際に少なくとも30日前に解雇の予告をしなければいけません。予告をしないときには、30日分以上の平均賃金(=解雇予告手当)を支払う必要があります。

自己都合退職と会社都合退職の失業手当の違い

在職中に雇用保険に加入していたかたは、一定の要件を満たすと失業手当(雇用保険の基本手当など)を受給できます。

まずは雇用保険の基本手当を受給できる条件を見ていきましょう。

  1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
  2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
    ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

厚生労働省「ハローワークインターネットサービス 基本手当について」より

特定受給資格者とは会社都合で退職した人を指し、自己都合退職より待機期間が短いというメリットがあります。雇用保険の被保険者期間が1年未満でも受給でき、受給期間が通常より長いこともあります。

<通常の離職による基本手当の所定給付日数>

<特定受給資格者・特定理由離職者の基本手当の所定給付日数>

https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/content/contents/tori_kyufukikan_tansyuku021001.pdf

※2025年3月31日まで
厚生労働省「ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数」より

上記の他にも、自己都合退職は退職してから基本手当をもらうまで2カ月間の待機期間がありますが会社都合退職では7日間となる可能性があります。

特定受給資格者の要件は以下の通りです。

1.「倒産」等による離職理由
●倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)
●事業所で大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたことによる離職
●事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職
●事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)
●事業所の移転により通勤することが困難となった
2.「解雇」等による離職
●解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)
●労働契約の締結で明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した
●賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が期日までに支払われなかったため
●賃金が以前に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した(賃金低下の事実について予見し得なかった場合に限られる)
●離職の直前6か月間のうちに①連続する3か月で45時間、②1か月で100時間、③連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均し、1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職
●事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職
●事業主が法令に違反し、妊娠中・出産後の労働者・子の養育・家族の介護を行う労働者を就業させ、雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限した
●妊娠したこと、出産したこと、妊娠・出産制度の利用の申し出又は利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した
●事業主が労働者の職種転換などにあたり、職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した
●期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至ったケースで労働契約が更新されないこととなったことにより離職した
●期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示されたにもかかわらず契約が更新されないこととなったことにより離職した
●上司・同僚などから故意の排斥・著しい冷遇・嫌がらせを受けたことによって離職した
●事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、必要な措置を講じなかったことにより離職した
●事業主が職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等など関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、必要な措置を講じなかったことにより離職した
●事業主から直接・間接的に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した(「早期退職優遇制度」により離職した場合を除く)
●使用者の責めに帰すべき事由による休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した
●事業所の業務が法令に違反したため離職した

厚生労働省「ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」より

特定理由離職者は体力不足、心身障害、父母の看護・介護・死亡、結婚・出産・事業所の移転などにより通勤不可能または困難となったことにより離職した人などが該当します。

自己都合退職と会社都合退職、どうすればわかる?

退職後、自己都合退職か会社都合退職かを把握するためには離職票の「離職理由欄」を確認しましょう。離職理由が「労働者の判断によるもの」などになっている場合には自己都合退職とみなされる可能性が高いです。

本当に自己都合退職である場合は問題ありませんが、セウハラ・パワハラなどがあり退職した、事業所の移転により退職を余儀なくされたケースなどでは特定受給資格者・特定理由離職者となる可能性があります。

自己都合退職でもハローワークに相談を

本来の退職理由が上記の特定受給資格者・特定理由離職者に当てはまる場合には「離職票2⑦」に本来の離職理由を、「離職票2⑰」に必要事項を記入しハローワークに異議申し立てが可能です。

ハローワーク(公共職業安定所)では、離職票で事業主が主張する離職理由と離職者が離職票②で示す離職理由を把握し、事実確認を行った上で判断します。判定の際には証拠となる資料が必要となることがあります。

まとめ

自己都合退職と会社都合退職の失業手当、本来の理由は会社都合にも関わらず自己都合にされたときの対処法を解説しました。

筆者も会社都合退職を経験しましたが、待機期間は7日で給付日数は180日でした。一人暮らしのため、すぐ失業手当が給付されることが非常に有難く、経済的に余裕がある状況で転職活動ができました。
この記事で自己都合退職と会社都合退職について知り、役立てていきましょう。

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