終活はいつから始めるべきなのだろうか…
終活では具体的にどんなことをやればいいの?
“終活”とは、一般的に新卒学生が行う就活とは異なり、自身の人生の終わりに向けた活動のことを意味します。
自身が死んだ後に残された遺族に迷惑をかけないためにも、生前に身辺整理を行なったり、相続のために遺言書を作成したりするのが終活です。
最近は40代50代と、比較的若い世代から終活を行う人も増えてきており、終活に関して多くの注目が集まっています。
この記事では、終活を始める時期や具体的なやり方等に関して、はじめての方にも分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、終活に関して正しく理解するとともに、実践することで残された家族に対しての負担を軽減できるでしょう。
終活は一種のブーム的な側面もありますが、遺言書などは相続の際にはとても重要になりますので、一概に一過性のブームとは言い切れません。
終活とは”人生の終わりに向けた活動”である
“終活”と聞くと「死に関して考えるとどうしても気分が落ち込む…」と考える人も中にはいますが、終活は何も死だけに関して考えることではありません。
例えば老後生活の最終的なゴールを、自身の死だとしましょう。
終活の一環としてゴールまでの生活を充実させるために、”どのような生活を送るか“を考えることも立派な終活です。
加えて、終活は何も自分だけのためではなく、残される家族の遺産相続に関する対策としても有効的です。
終活は自身の死と向き合い、それまでの生活を充実させるための活動という認識を持っておくと、ポジティブに取り組めそうですね。
終活を行う2つのメリット
終活を行うメリットは、大きく分けて2つ挙げられます。
- 老後生活が前向きになり、残された時間が充実したものになる
- 遺産相続のトラブル回避ができる
中でも遺産相続に関するトラブルは他人事ではありませんので、必ず遺言書の作成は生前に行なっておきましょう。
「自分の死後のことは関係ない」と、考えている人もたまにいます。
遺産相続が家族間で問題になり、結果的に家族がバラバラになってしまったケースもあります。
終活を行うべき3つの理由
終活はなぜ行うべきなのか、と疑問に感じている人も多いと思います。
終活を行うべき理由は、大きく分けて3つあります。
- 自分のため
- 家族のため
- 終活を行うデメリットはないから
終活を行う一番の理由は、自分自身の残りの人生をより充実したものにするため、といっても過言ではありません。
年齢を重ねるにつれて生活の充実度が下がる傾向がある人は、一度終活の一環として「死ぬまでにやりたいことリスト」などを、作成するのも一つの手です。
終活は、自分自身のために取り組むべきものであり、決して他の誰かのために行う活動ではありません。
終活を行うことで、結果的に残される家族のためにもなります。
自分のため
終活を行うことでこれからの人生の課題が明確化され、生前に課題を解決しておくことで、その後の生活を不安なく過ごせるようになります。
例えば生前に自身が入るお墓を確保しておけば、「自分が死んだ後はどうなるんだろう…」といった不安が軽減されるはずです。
また終活を行うことで、残りの人生を悔い無く生きようとする気持ちが芽生え、その後の人生がより充実したものになるでしょう。
家族のため
終活を行うことで、自身が死んだ後に残された家族が、困らないような対策を打つことができます。
例えば遺産相続に関しては、生前に遺言書を作成しておくことで、トラブルなく行えるでしょう。
また葬儀やお墓等に関しても、生前にある程度どのようにするかを家族間で話し合っておく、もしくは書類として保存しておくとスムーズに進行できます。
終活を行うデメリットはないから
終活を行うメリットはあっても、デメリットはありません。
最低限の終活を本人が行っておけば、残された家族への負担は軽減される上に、本人に対してもプラスの影響を与えます。
逆に何も終活を行っていないと、後々残された家族間でトラブルになる可能性が高くなります。
終活はいつからはじめるべき!?【調査結果】
終活は一般的には60〜70代ではじめる人が多く、20代や30代の若い年代ではじめる人は、稀だといえます。
終活を始めるタイミングは人それぞれであり、いつからはじめた方が良いといった決まりはありません。
そのため、終活をはじめようと思い立った時が、はじめるタイミングだともいえます。
終活を始めるタイミングとしては、定年退職を迎えた時や大病を患った時、配偶者等の身近な親族が亡くなった時などが挙げあれます。
定年退職を迎えたとき
厚生労働省の発表によると、2025年4月から65歳定年制が全ての企業で義務化される予定です。
65歳で定年を迎えた後にそれまで忙しかった生活から解放され、時間に余裕が生まれます。
時間に余裕が生まれたことで、老後生活を充実させるためにも、終活に取り組む人は意外に多いです。
定年退職は人生の大きな節目ともいえるため、終活をいつからはじめるか迷っている方は、定年退職のタイミングではじめてみると良いでしょう。
自身が大病を患ったとき
大怪我を負ったり、大病を患ったりすると極端に人間は弱気になります。
いつ死ぬか分からないからこそ、大病や怪我等を負った際に終活を検討するのも、一つのタイミングだといえます。
万が一、自分自身が大病を患った場合や、家族が大きな怪我や病気にかかった場合など、さまざまなケースを事前に想定して対策を練っておきましょう。
配偶者等の身近な親族が亡くなったとき
配偶者が亡くなった際には、自分自身が死後の対処を行うことになります。
死後の手続きの大変さを実際に体験してみることで、その後残された家族のことを考えて、終活をはじめる人も非常に多いです。
また身近な知人や友人が亡くなった際にも、死を意識して終活をはじめるタイミングとなりやすいです。
【やることリスト】終活の具体的なやり方・方法
終活としてやることは、大きく分けて4つ挙げられます。
- エンディングノートを作る
- 葬儀やお墓の準備等を行う
- 財産等の生前整理を行う
- 遺言書を作成しておく
終活と聞いても、具体的に何をどのように取り組めば良いのか、ハッキリとは把握できていない人も多いです。
事前にやることを明確にすることで、自分がいつまでに何を行えば良いのかが把握できます。
終活は難しいものではありませんので、個人で分からない場合は専門家であるFP等に、気軽に相談してみましょう。
エンディングノートを作る
“エンディングノート”とは、万が一に備えて自分自身の情報や想い等を書き留めておくためのものです。
文房具店やAmazon等のネット通販でも、気軽に購入できます。
エンディングノートに書く内容は、主に自分史や財産一覧、葬儀やお墓の希望、大切な人へのメッセージなどが挙げられます。
死後のことだけではなく生前時の判断能力の低下により、個人で対処できない場合の家族の対応なども、記載しておくと良いでしょう。
書き方に関しては、決まった形式等はありません。
また法的な強制力はありませんので、遺言を記載する場合はエンディングノートとは別に、遺言書を作成することをおすすめします。
葬儀やお墓の準備等を行う
葬儀やお墓に関する費用や手続きの手間を考えると、生前にある程度は決めておいた方が、残された家族もスムーズに対応しやすいです。
例えばお墓を承継するのか、もしくは改装して新しいお墓を作るのかなど、事前に決めておいた方が家族への負担軽減にも繋がります。
特にお墓に関しては自分だけの問題ではないため、生前から家族としっかり話し合っておくことが大切です。
また葬儀にかかる費用も馬鹿になりませんので、費用相場の200万円前後は確保しておきたいところでしょう。
財産等の生前整理を行う
“生前整理”とは、生きているうちに身辺や財産等の整理を行うことを指します。
特に財産に関しては、生前贈与を行うことで相続税の節税効果が得られると共に、相続争いを避ける対策にもなるでしょう。
また銀行が提供している”資産承継信託”を活用することで、「自分の将来に必要なお金」と「家族に残すお金」を分けて管理できます。
仮に自身が認知症などにかかり判断能力が低下したとしても、”資産承継信託”を活用することで家族が代理で、お金を引き出せます。
遺言書を作成しておく
残された家族が相続争いを起こさないようするためにも、生前に遺言書を作成しておくのは効果的な手段です。
遺言書には、主に3つの種類があります。
種類 | メリット | デメリット |
自筆証書遺言 | ・費用や手間がかからない ・法務局での預かりが可能 | ・無効になりやすい ・争いの原因になりやすい ・紛失の恐れがある ・発見されない可能性がある ・隠蔽や破棄されリスクがある ・法務局に預けていない場合は検認が必要 |
公正証書遺言 | ・公証人が関与するため無効になりにくい ・公証役場で原本を保管できる ・紛失や隠蔽されにくい ・検認が不要 ・文字を書けなくても作成可能 | ・費用と手間がかかる ・公証人が2人必要 |
秘密証書遺言 | ・他の人に内容を知られない ・文字を書けなくても作成可能 | ・紛失や隠匿のリスクがある ・無効になりやすい ・検認が必要である ・公証人が2人必要 ・費用と手間がかかる |
遺言書を作成する際にはできるだけ「公正証書遺言」を活用しましょう。
他の形式で遺言書を作成することもできますが、一番確実に遺言書を残せるのは公正証書遺言だからです。
また個人で作成するのが難しい場合は、一度専門家(FPや弁護士、税理士等)に相談しましょう。
終活をはじめる際の2つの注意点
終活をはじめる際の主な注意点としては、2つ挙げられます。
- 生前贈与や相続等に関しては専門家に一度相談する
- ネット契約やクレジットカード等も整理しておく
特に贈与や相続に関しては、法律的や税金等の難しい問題が絡んできますので、個人で判断するのが難しいです。
そのため、一度税理士やFP等の専門家に相談してみることをおすすめします。
終活は一人で行うものではありませんので、必ず家族も交えて進めていきましょう。
特に葬儀やお墓、遺言書などは生前に決めておいても、残された家族に上手く伝わらなければ意味がありません。
生前贈与や相続等に関しては専門家に一度相談する
葬儀形式や供養のやり方などは、必ず家族と相談してから決めましょう。
また生前贈与や相続等に関しても、一度家族間で話し合いを行った上で、専門家にも相談するのが得策です。
贈与や相続等に関しては、法律に明るくないと判断難しい側面があるため、後々のことを考えると専門家に相談した方が賢明だといえます。
ネット契約やクレジットカード等も整理しておく
現在、使っているインターネットサービスやクレジットカード等も終活の一環として生前に整理しておきましょう。
例えばAmazonプライムやNetflix等の契約を行なっていることも、細かくエンディングノートに記載しておくと、家族が対処しやすいです。
またクレジットカードは、残された家族が解約しようとするとかなり手間がかかります。
生前にある程度使わないクレジットカードは解約しておき、最低でも2〜3枚程度に絞っておくと、家族の負担を軽減できます。
終活に関するよくあるQ&A
終活に関する多くの質問や悩み等の中から、特に多かった内容だけに絞って、分かりやすく回答をまとめてみました。
掲載している内容で気になる質問がある方は、参考にしてみてください。
また取り上げていない内容で悩んでいる方は、一度FPに相談してみると良いでしょう。
終活に関する相談はFPでも取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
気軽な相談は無料で対応しているので、基本的にはお金の心配は入りません。
Q.遺品整理には具体的にいくらかかりますか?
遺品整理の相場は、大体20万円前後です。
遺品整理には手間と費用がかかりますが、業者に依頼することで効率的に終わらせることができます。
また無料相談や即日対応している業者もあるので、気になる方は一度問い合わせてみると良いでしょう。
Q.20代の”おひとりさま”での終活は、何を行えばよいでしょうか?
正直、20代から終活を行うのは早すぎます。
確かに20代で終活を行う人も稀にいますが、人生本人が考えている以上に何が起こるか分かりません。
終活を行うことも大事ですが、それよりももっと他に夢中になれるものを見つけてみては、いかがでしょうか。
終活自体は60代70代からでも、決して遅くはありません。
Q.終活は誰に相談するのがよいのでしょうか?
終活に関する相談は、その内容によって相談先が異なります。
- 介護関係の相談:市役所の介護保険課など
- 贈与や相続に関する相談:FP、税理士
- 年金に関する相談:社会保険労務士
- お墓や葬儀に関する相談:葬儀屋、お墓屋
- 遺言書に関する相談:弁護士、司法書士
また最近は終活専門のアドバイザーなどもいますので、まずは気軽に相談してみてください。
Q.ネット証券のIDやパスワードは、どのように託せばよいのでしょうか?
“デジタル終活“とも呼ばれている、ネット上のIDやパスワード等の管理や整理に関しては、残された家族に伝えるためにエンディングノートに記載する人も多いです。
シニア世代のスマホ普及率も、年々増加傾向にあります。
ネット上のサービスを活用されている方は、終活の一環としてIDやパスワード等の個人情報も、まとめて整理しておきましょう。
まとめ
終活をはじめるタイミングは人それぞれではありますが、一般的には60代70代から始める人が大半です。
具体的な「やることリスト」として、4つご紹介しました。
- エンディングノートを作る
- 葬儀やお墓の準備等を行う
- 財産等の生前整理を行う
- 遺言書を作成しておく
特に遺産相続等に関しては遺言書を作成しておくことで、無益な相続争いを回避できますので、生前に作成しておきましょう。
またエンディングノートに関してもまだ作成されていない方は、この機会に作ってみてはいかがでしょうか。
終活に関するご相談は、お気軽にFPへお問い合わせください。
専門家に相談することで、より充実した終活を行うことができます。
コメント