マンション管理に資格は必要?マンション管理業務と管理士

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マンション管理に携わる方の中には、「マンション管理には資格が必要?」「知識を身に付けたい、資格の勉強をした方が良い?」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

マンション管理においては「マンション管理士」という国家資格があり、近年の法改正により管理業務におけるマンション管理士の必要性が高まっています。

マンション管理士の資格を取るためにどのようなことを勉強するのでしょうか?
マンション管理組合とマンション管理士の関係とは?

本記事では、マンション管理の課題、マンション管理士の試験内容、管理組合の役割とマンション管理士について解説していきます。

マンション管理士、管理業務について知りたい方、FPや宅建士・マンション管理士など不動産分野の勉強をされている方は是非ご覧ください。

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マンション管理の課題とマンション管理士

マンション管理士は、2001年に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を基に創設された国家資格です。

専門的知識を保有し、管理組合の運営、建物・構造の技術的問題といったマンション管理について、管理組合・マンションの区分所有者などの相談に応じ、適正なアドバイスや指導を行うことが主な業務です。

公益財団法人マンション管理センターが公表した資料内の「管理組合における将来への不安」のアンケート結果では、「区分所有者の高齢化」「修繕積立金の不足」などが挙げられ、マンション管理の課題が浮き彫りになっています。

一方で、居住者が「ずっとここに住みたい」という意識は年々高まっており管理組合は高齢化などの問題に向き合いながら、マンションを適切に管理する必要があります。

マンション管理業務の難易度が上がる中で、マンション管理士のような「専門知識を持つ方が管理組合に必要」という意見が挙がっています。

マンション管理士の資格試験ではどのような勉強を行うのでしょうか?

マンション管理士試験の内容とは

マンション管理士試験の内容は主に以下の4つとなります。

マンションの管理に関する法令・実務民法、建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、建築基準法、都市計画法など
管理組合の運営の円滑化管理組合の組織・運営、管理組合の業務・役割、訴訟と判例、会計など
マンションの建物・付属施設の構造・設備に関することマンションの構造・設備、長期・大修繕計画、建物・設備の診断など
マンションの管理の適正化の推進に関する法律ンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針など

マンションに関する法律を始め、建物や設備に関する知識、管理組合の円滑化など全般的な知識が必要となります。

マンション管理士試験で勉強したことは、実際のマンション管理業務でどのように役立つのでしょうか?

マンション管理の業務とは?管理組合とマンション管理士

主なマンション管理業務は以下の通りです。

● 敷地内・共用部分の清掃
◆ 入居者募集
◆ 賃貸借契約の締結
◆ 契約時の重要事項説明
● 家賃などの集金
● 修繕積立金の管理
● 大規模修繕の計画
● 管理組合の運営
● 家賃滞納者への督促
● 賃貸借契約の更新
● 退去に関する業務(敷金の精算・原状回復)
● 入居者の対応
● マンション・設備の維持管理・点検・修繕等

◆は専門知識が必要な部分です。
入居者募集はエリアの需要の把握だけではなく不動産業者とのネットワークも必要になることがあるため、不動産会社に依頼するオーナーが多くなっています。

マンションの管理業務は、主に管理組合の理事会で話し合った結果を基に進行していきます。

マンションの管理組合とは?

マンション管理組合はマンションの区分所有者によって構成される組合員から成る団体で、快適な居住空間を確保するために具体的なルールを定める、金銭管理などを行います。

国土交通省が公表している「マンション管理標準規約」では、管理組合には役員を置くこととしています。

役員は理事長、副理事長、会計担当理事、監事などで組合の中から理事は総会で専任、理事長は副理事長・会計担当理事は、理事のうちから理事会で選任することとされています。

実際には所有者の中から一定周期で役員を担う組合が多いですが、先述の通りマンション管理には専門知識が必要なこと、所有者の高齢化が進んでいることが問題視されています。

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正などに伴い、これまで国土交通省が公表した管理のモデルとなる「マンション管理規約」は度々改正されています。

2016年の改正では、マンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでいることから「外部の専門家の活用」の文章が加えられました。理事長・理事・監事について、区分所有者にだけではなく外部の専門家も就任可とし、利益相反取引の防止、監事の権限の明確化等を規定しました。
マンション管理士などの専門家が直接管理組合の運営に携わることが可能となり、所有者の負担軽減、適正なマンション管理の円滑化が図られています。

マンション管理士などが管理組合を運営する3つのパターン

マンション管理士などの専門家が管理組合の役員や管理者に就任する際には、所有者が管理者・役員の選任や業務の監視を適正に行い、監視・監督の強化を行います。

国土交通省「マンション管理規約」の専門家を活用するパターンは、以下の3つに分けられます。

  • 理事・監事外部専門家型
  • 外部管理者理事会監督型
  • 外部管理者総会監督型

1.理事・監事外部専門家型

理事・監事外部専門家型は、所有者から成る理事会に理事長(又は副理事長・理事・監事など)に外部の専門家を入れる方法です。

外部専門家が理事長(=管理者)となることもありますが最終的な意思決定機関は総会で行われ、役員の選任を含めより重要な役割を果たすことになります。

将来的に大規模修繕が必要なマンション、耐震改修・建替え等に対する専門的知見が必要なケースで専門家の知識が役立ち所有者の負担軽減となる可能性があります。

2.外部管理者理事会監督型

注:色塗りが外部の専門家

外部の専門家を区分所有法上の「管理者」とし、理事会は監事的立場として外部管理者を監視します。

理事会は基本的に所有者で構成されますが、理事会の役員に別の外部専門家を選任するケースも想定されます。

メリットは、専門性の高い運営を行いながら理事会の監事による透明性も確保できるという点です。
総会は意思決定、管理者は専門知識を持つ執行者、理事会は監視機関という役割分担や責任の明確化が期待できます。

ただし外部の管理者=区分所有法上の管理者とすること、外部管理者の選任・解任が所有者の意見が反映されるかなどが課題となっています。

3.外部管理者総会監督型

注:色塗りが外部の専門家

理事会は設立せず、外部専門家を区分所有法上の管理者として選任する方法が「外部管理者総会監督型」です。
区分所有者から監事を選任して監視、総会が最終的な意思決定機関、監査法人等の外部監査を義務付けます。

所有者の中で理事長になる方がいない、規模の小さいマンションなどで運営が想定されます。

まとめ

国土交通省ではマンション管理に関する新制度の指針を取りまとめており、国土交通省がマンションの管理の適正化の推進を図るための指針を作り、地方自治体が管理組合に助言や指導を行う予定です。

マンション所有者の高齢化、マンション管理の高度化などにより「管理には外部の専門家が必要」という意見が高まっており、今後マンション管理士の需要は高まっていくことが予測されます。

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