賃貸マンションの管理には大きく分けて事業型(自己管理と管理委託)、一括借り上げ型(サブリース)の2種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。
賃貸マンションの管理とは一体何をするのでしょうか?どの方法が選ぶべきでしょうか?
マンションの管理方法はオーナーが管理に割ける時間や費用、考え方によって異なります。近年副業として不動産投資をする方が増加している事から、管理業務の一部または殆どを管理会社に委託する方の割合が多くなっています。
結果、オーナーと管理会社の間でトラブルが増加したため、国土交通省では「管理業務等の適正化に関する法律」を施行しました。
本記事では賃貸マンションの管理とは、マンションの管理方法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に関して解説していきます。
賃貸マンションを経営するオーナーや、2級FPの勉強をされている方はぜひご覧ください。
賃貸マンションの管理とは?大家と管理会社の役割
賃貸マンションの管理業務は物件の維持・管理・修繕と金銭の管理、入居者対応・その他の4つに分かれており、詳細は以下の通りになっています。
<物件の維持・管理・修繕>
共用部分の清掃
退去後の原状回復・クリーニング
設備の管理(保守点検)
維持・修繕業務
<金銭の管理>
家賃の集金・督促
修繕積立金の管理
敷金精算
<入居者対応>
入居者の選定
入居者募集
クレーム・トラブル対応
契約更新
入居・退去の手続きなど
<その他>
リフォーム・リノベーション
火災保険の手続きなど
上記の中で、入居者との契約や入居者募集に関しては管理会社・不動産会社に委託するオーナーの割合が多くなっています。
入居時の契約前には契約内容や物件に関する「重要事項説明」を行わなければいけないことが宅地建物取引業法で定められており、宅地建物取引士の資格を持った物が、重要事項を記載した書面に記名押印、書面を交付した上で、口頭で説明を行うことが主な理由です。
入居者募集もエリアの賃貸需要やニーズを的確に把握する事が重要で、不動産会社のノウハウが必要であることから依頼するオーナーが多い事が実状です。
他の管理業務は管理会社に委託することが可能で、どこまで委託を行うかは大家(オーナー)と相談し決定する事になります。
2019年に国土交通省がオーナー向けに行ったアンケート調査の結果では、全て自主管理をしているオーナーは18.5%に留まり、管理会社に全て又は一部を委託するオーナーが多くなっています。
マンションの管理は大きく「事業型」「一括借り上げ型(サブリース)」に分かれ、事業型は「自己管理方式」と「管理委託方式」があります。
賃貸マンションの管理方法とは?自己管理・管理委託・サブリース
賃貸マンションの管理方法には主に以下の3つがあります。
- 事業型:①自己管理方式
- 事業型:②管理委託方式
- 一括借り上げ型(サブリース)
事業型とはオーナー(大家)が貸主となり入居者に直接部屋を貸す方法で、家賃はそのままオーナーの収入となります。
オーナー自ら管理する事業型には、自己管理方式と管理会社に委託する管理委託方式があります。
一括借り上げ型はオーナー所有の物件をサブリース業者が借り上げ、空室の有無に関わらず一定の賃料収入をオーナーに支払う仕組みです。
1. 事業型:①自己管理方式
オーナー(大家)が自ら管理を行います。小規模の建物、区分マンションに用いられることが多く管理のコストは3つの方法で最も安くなります。
ただし上記の通り契約・入居者募集・設備管理などは専門知識・技術が必要となりますので業者に委託する事例が多くなっています。
2. 事業型:②管理委託方式
管理を管理会社・不動産会社に委託する方法です。近年個人で不動産投資を行うオーナーが多くなっていることから、手間や時間を省くために委託するオーナーが多くなっています。
管理委託費が発生しますが、オーナーの負担は軽減します。
不動産会社・管理会社によって得意分野が異なるため、賃貸運営と建物の維持・管理を別の業者に頼むオーナーも存在します。
3.一括借り上げ型(サブリース)
オーナーが購入したマンションをサブリース業者が借り上げ、入居者に転貸、管理・運営する方法です。
オーナーは手数料を差し引かれた賃料をサブリース業者から定期的に受け取り、サブリース業者はマンションの管理・運営全般を行います。
空室が発生した時でも支払う賃料は変わらないため、オーナーにとって空室リスクを回避できる一方で、サブリース業者の間で賃料の減額をめぐるトラブルが発生しています。
2020年12月には、国土交通省が定めた「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」が施行されました。
2021年6月には賃貸物件の環境確保・不良業者の排除を目的として、業界の健全な発展・育成を図る「賃貸住宅管理業に係る登録制度」が創設されました。
上記2つの制度を合わせて「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」と言います。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」とは
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律とは、①サブリース業者の不当な勧誘や誇大広告を禁止する制度、②賃貸住宅管理業の登録、業務管理者の配置・管理受託契約締結前の重要事項の説明業務などの義務付けの2つから成り立っています。
近年オーナーとサブリース業者で賃料減額をめぐるトラブルが多数発生しており、消費者庁では「サブリース契約をする場合は、契約の相手方から説明を受け、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してから契約してください」とホームページで呼びかけています。
2020年12月に施行された「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」では、不当な勧誘行為や誇大広告の禁止、特定賃貸借契約を結ぶ前に重要事項説明を行う事を義務付けています。
サブリース業者と組んで勧誘を行う者も、勧誘の適正化のため規制の対象であり、違反者に対しては、業務停止命令や罰金等の措置を行う予定です。
「賃貸住宅管理業に係る登録制度」は、委託により賃貸住宅管理業務を行う事業者で管理戸数が200戸以上の管理会社は国土交通大臣の登録を義務付けることとしました。
管理業務では以下の4つを義務付けています。
- 各事務所に賃貸住宅管理の知識・経験がある者を配置
- 管理受託契約を結ぶ前に重要事項の書面を交付、説明する
- 家賃や敷金など金銭の管理について、固有の財産と分別して管理を行う
- 業務の実施状況を定期的に報告
2021年6月に制度が開始されました。今後の動向に注目していきましょう。
まとめ
賃貸マンションの管理は入居者募集や契約、設備のメンテナンスや修繕・清掃、退去後の敷金精算など幅広い業務を行います。
入居者募集・契約、設備管理は専門知識が必要な事から業者に依頼するオーナーが多くなっています。国土交通省の調査によると全て自主管理のオーナーは18.5%、全て又は一部を委託するオーナーは約8割です。
オーナーと管理会社・サブリース業者の間でトラブルが発生していることから、2020・2021年には新しい制度が施行されました。
この記事を参考に3つの管理方法や新制度、マンション管理について学び、今後に活かしていきましょう。
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