【FP解説】遺言書でありがちなトラブル事例と対処法6つとは

お金のはなし
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遺言書をめぐるトラブルでは「遺言書が見つからない」「遺族の遺留分を侵害している」などの事例があり、相続人同士で争いとなり遺産分割調停や裁判に発展してしまうケースも少なくありません。

遺言書に関するトラブルが起こった際にはどのように対処すべきなのでしょうか?トラブルを回避できる遺言書を作成するためのポイントとは何でしょうか?

本記事では、遺言書でありがちなトラブル事例6つとトラブルを防ぐ遺言書作成のポイント6つを解説していきます。

遺言書について知りたい方、トラブルに悩んでいる方だけではなく、FPや相続関連の資格の勉強をしている方もご参考になさって下さい。

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遺言書のトラブル事例とは?よくあるパターン6つを解説

遺言書に関するトラブル事例で多いものは以下の6つとなっています。

  • 遺言書が見つからない
  • 遺言書に日付が書かれていないなどの不備がある
  • 親族以外に相続分が指定されていた結果、調停・裁判に
  • 親族の遺留分を侵害している
  • 認知症の状態で遺言書を書いた
  • エンディングノートはあるが遺言書は無い

1.遺言書が見つからない

被相続人から「遺言書がある」と聞いているにも関わらず、遺言書が見つからない事例があります。

遺言書には自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があり、自筆証書遺言と秘密証書遺言は自身で保管ができるため「見つからない」という事態に陥ってしまうケースがあるのです。

法務局での保管制度の活用、公正証書遺言を作成し公証役場で保管してもらうことで上記の事態を防ぐことが可能です。

2.遺言書に日付が書かれていないなどの不備がある

自筆証書遺言は自身で作成ができますが、以下の決まりがあります。

  • 全文を自筆で記す(財産目録だけはPC作成が可能)
  • 作成した日付を記入する
  • 遺言者が署名・押印を行う

日付が記入されていない、自筆ではないなど要件を満たしていない遺言書は法的に無効となってしまいます。

また、自筆証書遺言は身近な場所に保管することで利害関係者に変造されてしまう、無理やり書き直しをさせられる可能性があります。
発覚した時には相続人としての権利を失う「相続欠格」となります。

推定相続人(相続人になる予定の方)同士が不仲である、金銭に困っている方がいる、親族以外に相続を行うなどの事例では法務局の保管制度、公正証書遺言の作成を検討してみましょう。

3.親族以外に相続分が指定されていた結果、調停・裁判に

民法で定められた相続人(法定相続人)の範囲は被相続人の親族です。被相続人の配偶者は常に法定相続人となり、第1順位には子供(亡くなっている時には孫)、第2順位は父母(祖父母)、第三順位は兄妹姉妹(甥・姪)となっており相続割合も決まっています。

基本的に遺言書がある時には「指定相続」として遺言書通りの内容で相続が行われ、遺言書が無い場合には法定相続や遺産分割協議で相続人や割合を決めることになります。

遺言書で法定相続人(親族)以外の人、例えば被相続人の看護・介護を行った施設の職員や愛人などに遺言で相続人として一定の財産の相続が指定されており、法定相続人が異議を唱える事例があります。

結果的に遺産分割協調停や裁判に発展してしまうことがあります。

4.親族の遺留分を侵害している

上記のような親族以外が受遺者(遺産を受け取る人)として指定されているケースや遺言書の内容で被相続人の親族の遺留分(最低限の取り分)が侵害されているケースがあります。
遺留分は基本的に法定相続分の1/2で、以下の通りになります。

相続人の構成配偶者子供父母兄妹姉妹
配偶者と子供法定相続分1/2
遺留分1/4
法定相続分1/2
遺留分1/4
 ー  ー
配偶者と父母法定相続分2/3
遺留分1/3
 ー法定相続分1/3
遺留分1/6
  ー
配偶者と兄弟姉妹法定相続分3/4
遺留分3/8
 ー ー 法定相続分1/4
遺留分なし
子供のみ ー法定相続分全て
(複数人いる場合は均等に分ける)
遺留分1/2
 ー   ー


※兄妹姉妹には遺留分は存在しません。

遺留分を侵害している場合、侵害された方が家庭裁判所に「遺留分侵害額の請求調停」を申し立て贈与又は遺贈を受けた者に相当額の支払い請求が可能です。

例えば被相続人が「全ての財産を愛人に譲る」という遺言書を残しており配偶者と子供1人がいるケースでは、それぞれ相続財産の1/4を配偶者・子供は愛人に遺留分侵害額として請求できます。

5.認知症の状態で遺言書を書いた

被相続人が認知症にかかっている状態で遺言書を書いた際には、「判断能力」が問題となります。

民法第961条では「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」と記載されていますが、第963条には「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」と規定されています。

「遺言能力」には判断能力も含まれ、認知症や精神障害など判断能力が低下してしまう疾患では遺言書が法的に有効となる可能性は低いです。
ただし認知症の程度によってはかかりつけ医に「遺言能力がある」と証明してもらうこと法的に有効となる事例も存在します。

6.エンディングノートはあるが遺言書は無い

「終活」がブームとなり遺言書より気軽に書ける「エンディングノート」の作成を考えていらっしゃる方も多いでしょう。

エンディングノートには、原則法定な拘束力が無く、必ずしも遺族が内容を実行して貰えるとは限りません。

エンディングノートがあり遺言書が無い場合には、エンディングノートに自身の意向を記しても内容を実現できない可能性があります。

トラブルを防ぐ遺言書作成のポイント6つ

相続時にトラブルを回避するための遺言書作成のポイントは、以下の6つとなります。

  • 法的に有効な遺言書を作る
  • 遺留分を侵害しない
  • 公正証書遺言を作成する
  • 弁護士・行政書士などに相談する
  • 保管場所に気を付ける
  • 遺言執行者を選任する

1.法的に有効な遺言書を作る

自筆証書遺言を希望する場合、①財産目録以外を自筆で書く、②書いた日付を記入、③署名・押印を行うというルールを守り、法的に有効な遺言書を作成しましょう。

また遺言者が病気にかかっておらず、判断能力があるうちに作成しておくことが重要です。

2.遺留分を侵害しない

配偶者・子供(孫)・父母(祖父母)には遺留分がありますので、上記の表を確認し侵害しないよう心がけましょう。

3.公正証書遺言を作成する

公正証書遺言は公証役場で法律に精通した公証人が作成するため、不備がある可能性が最も低い作成方法です。

作成後20年間は公証役場に保管されるため、変造・偽装される心配もありません。
費用はかかりますが、「確実に残しておきたい」という方には公正証書遺言がおすすめです。

4.弁護士・行政書士などに相談する

法律の専門家である弁護士や公的書類作成のエキスパートである行政書士などの専門家に相談し、遺言書を作成する事で遺言書によるトラブルを回避できる可能性が高くなります。

弁護士や行政書士はトラブルになってしまった案件を扱う機会が多いため、事前にトラブルを回避できる遺言書作成のアドバイスを受けることができます。
弁護士・行政書士は取り扱う法律分野の幅が広く、それぞれの事務所で得意・不得意分野がありますので、相続の実績がある専門家に相談するように心がけましょう。

ただし相談には一定の費用がかかります。

5.保管場所に気を付ける

遺言書が見つからない、偽造・変造の恐れがあるなどの事態を避けるためには保管場所に注意しましょう。

生前に身近な人に遺言書の場所を書面で伝えておく、銀行の金庫や法務局などで保管するなどの方法でトラブルを回避しましょう。

6.遺言執行者を選任する

遺言者が希望する相続を実現するためには法的に有効な条件を満たした遺言書を書き、遺言執行者を指定することで可能性が高くなります。

遺言執行者は、遺言の内容を実行する方を指し、遺言書で指定できます。
弁護士といった第三者に依頼する事も可能で、遺言執行者が亡くなった際には申立てによって家庭裁判所が遺言執行者を選任することができます。

まとめ

遺言書をめぐるトラブル事例6つと、トラブルを防ぐ遺言書の作成ポイント6つを解説してきました。

この記事で遺言書に関する知識を身に付け、今後に活かしていきましょう。

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