公務員から民間企業への転職は厳しいですか?
転職する際には、具体的にどんなことをすればいいですか?
公務員から民間企業への転職を検討している人は、意外に少なくありません。
安定性という面では非常に優れている公務員という職業ですが、実際に定年まで勤め上げるのは全体の半数程度であり、約50%の確率で中途退職しています。
公務員でなくとも今は就職が厳しいといわれる現代社会において、それでも公務員から民間企業へ転職したい方は、しっかりとした事前準備が必要不可欠です。
行き当たりばったりで公務員を辞めてしまうと、その後の職探しにかなり苦労することでしょう。
この記事では公務員から民間企業へ転職の流れや、成功させるためのポイント等を分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、公務員から民間企業への転職を成功させることができるでしょう。
公務員から民間企業への転職を検討されている方は、一度転職エージェント等を活用して自身の市場価値を把握する必要があります。
20代と40代では全く転職の難易度が異なるため、自身の現状をよりハッキリと把握するためにも、気軽に相談してみましょう。
公務員から民間企業への転職は難しい?きつい?【結論:年代による】
「公務員から民間企業への転職は厳しい…」といわれることがありますが、実際には年代によって転職の難易度は異なります。
- 20代:普通に転職可能
- 30代前半:多少難しい
- 30代後半:難易度は高い
- 40代:かなり難しい…
公務員であってもまだ20代であれば、比較的に転職は容易に行えます。
民間企業側も20代であればその後の成長を期待して、個人のやる気次第で採用する確率が高く、公務員からの転職でも難しいレベルではありません。
ただし、公務員でなくとも30代後半になると極端に転職市場における市場価値が下がってしまい、実際に転職を成功させるのは厳しくなります。
現段階でご自身がどの年代に該当するかによって、転職の難易度は異なりますので、年代も含めてスキルや知識等の棚卸しを一度行ってみましょう。
年代に関しては、あくまでも一つの指標に過ぎません。
専門性の高い技術や知識を持っている人であれば、例え40代であったとしても即戦力として、民間企業への転職ができる可能性があります。
公務員の転職理由はネガティブになりやすい傾向にある
公務員にありがちな転職理由としては、以下のような項目が挙げられます。
- 今の仕事にやりがいを感じない
- 残業が多く残業代も少ない
- 毎日同じことの繰り返しでつまらない
- このまま公務員でいいのか将来が不安
安定性に優れた公務員という職業を辞める人の大半は、ネガティブな理由で転職するケースが多いです。
本人の問題なのでどんな理由で転職するかは関係ありませんが、転職活動を行う際にはあくまでもポジティブな転職理由をかかべるべきです。
ネガティブな転職理由を民間企業の面接等で面接官に伝えてしまうと、マイナスのイメージを与えかねませんのでくれぐれも注意しましょう。
公務員が民間企業へ転職する5つのメリット
公務員から民間企業へ転職するメリットは、大きく分けて5つ挙げられます。
- 自己成長が望める
- キャリアの幅が広がる
- 成果基準で評価してもらえる
- 今よりも給料を上げることができる
- やりがいを追求し、自身の意志で難しい仕事にも挑戦できる
公務員が民間企業へ転職する最大のメリットは、圧倒的な自己成長が望めることでしょう。
特に高卒・大卒でそのまま公務員になった方は、民間企業で働いた経験が乏しいため、その違いに最初は驚くと思われます。
上手く転職を成功させれば今よりも給料を上げることもできますし、自身のキャリアアップにも繋がる可能性があります。
良くも悪くも個人の努力次第なので、仕事にやりがいを求めたい方は、民間企業で働いた方が輝けるかも知れません。
自己成長が望める
民間企業では、公務員と比較して新しい技術や、知識を学ぶ機会が豊富です。
業界の最先端の技術を習得することで、自分自身のスキルセットを向上させることができます。
また、社内外での研修やセミナーなど、多くの学びの機会を利用できます。
キャリアの幅が広がる
民間企業では、様々な業界や職種で働くことができます。
これにより、自分の興味や適性に合わせたキャリア展開が可能になります。
また、国際的なビジネスに関わることもできるため、海外でのキャリアチャンスも掴める可能性があるでしょう。
成果基準で評価してもらえる
民間企業では、成果を出すことが評価される傾向があります。
公務員の場合、年功序列に基づく評価が一般的ですが、民間企業では実績やスキルに応じた評価が行われることが多いです。
民間企業の方が、自分の努力が報われる環境が整っているという訳です。
今よりも給料を上げることができる
民間企業では、公務員よりも高い給与が得られる場合があります。
業績に応じてボーナスが支給されることが一般的であり、成果を出せば出すほど給与が上がる可能性があります。
公務員よりも民間企業の方が、努力が給与に反映されることが期待できる訳です。
やりがいを追求し、自身の意志で難しい仕事にも挑戦できる
民間企業では、自らの意志で難しい仕事に挑戦することができ、やりがいを追求することが可能です。
公務員と比較して、創造性や独自性が求められる機会が多くあります。
新しいアイデアや取り組みが歓迎されることが多く、自らのアイデアを具現化し、挑戦する機会が増えます。
結果的に、自己実現のチャンスが拡がり、仕事に対する達成感や満足感が得られる訳です。
公務員が民間企業へ転職する4つのデメリット
公務員が民間企業に転職するデメリットとしては、次のような項目が挙げられます。
- 雇用に対し安定性がなくなる
- 今よりも給料が減る可能性もある
- イチから人間関係を築かなければならない
- 転職先の企業が合わなければ短期退職も考えられる
公務員が民間企業へ転職する最大のデメリットは、雇用に対し安定性を失うことです。
公務員は法によって守られている職業であるため、民間企業の会社員のように業績等を理由にいきなり職を失う可能性はありません。
また、給料面に関しても不祥事等を起こさなければ、安定して支給される上にボーナスも年に2回必ず受け取れます。
民間企業の場合は、良くも悪くも会社の業績によって左右されるため、業績が悪い会社に転職してしまうと今よりも給料が少なくなる可能性も考えられます。
雇用に対し安定性がなくなる
公務員は安定した雇用が魅力の一つですが、民間企業に転職するとその安定性が、失われる可能性があります。
特に民間企業の場合だと、経済情勢や企業の業績によっては、リストラや解雇のリスクが高まる傾向にあります。
総務省統計局の調べによると、日本の失業率は2〜3%を推移している状況です。
今後も、パンデミックなどの社会情勢の影響を受けて、民間企業では雇用の不安定さが影響することが考えられるでしょう。
この点を踏まえて、転職を検討する際には企業の業績や、雇用状況をよく調べることが重要です。
今よりも給料が減る可能性もある
民間企業では、実績やスキルに応じた評価が行われるため、公務員と比較して給料が減る可能性もあります。
特に、転職直後は経験が浅いため、給与が下がることが考えられます。
ただし、業績に応じて給与が上がることもありますので、長期的な視点で判断することが大切です。
イチから人間関係を築かなければならない
新しい職場では、イチから人間関係を築かなければなりません。
人間関係の再構築は、ストレスや負担を感じる要因にも数えられます。
また、職場の文化や慣習に慣れるのに、時間がかかる場合もあるでしょう。
転職を考える際には、自分が新しい環境に適応できるかどうかを、検討することが重要です。
転職先の企業が合わなければ短期退職も考えられる
転職先の企業が自分に合わない場合、短期間で退職に迫られるケースも考えられます。
短期間で転職を繰り返すと、キャリアにマイナスの影響を与える可能性があるため、転職を検討する際には慎重に行動すべきです。
企業の文化や働き方が、自分に適合するかどうかを事前にリサーチした上で、転職活動を進めるようにしましょう。
また、転職エージェントや口コミ情報を活用することで、企業の実態を把握しやすくなります。
公務員から民間企業への転職の流れと成功させるためのポイント
公務員から民間企業への転職の流れとしては、主に5つのステップに分けられます。
- 転職目的の整理と自己分析を行う
- 求人情報を収集し職務経歴書の作成する
- 応募先企業を選定し気になる企業へ応募する
- 面接試験を受ける
- 内定通知を受け取ったら退職準備に取り掛かる
転職期間としては3ヶ月〜半年程度はかかるため、退職日の目安から逆算して行動するようにしましょう。
転職経験が乏しく何からして良いのか分からない方は、まずは転職の目的を明確に書き出し、本当に転職する必要があるのかを検討しましょう。
その上で、自己分析を行い自身に適した求人情報がないか、徹底的にリサーチするようにしてください。
転職目的の整理と自己分析を行う
公務員で民間企業への転職を検討されている方は、まずは転職目的の整理を行いましょう。
「ゴールのないマラソン大会」にならないで良いように、予め転職のゴールとなる目的や目標を明確にしておくべきです。
明確な目的があれば転職活動に対しても、前向きに取り組めるようになります。
また、転職目的の整理と合わせて自己分析も行いましょう。
個人で行うのが難しい場合は、転職エージェント(もしくはFP)等に相談することで、第三者目線でしっかりと分析を行ってくれます。
自身の強みと弱みを把握できれば、履歴書や企業面接等でもアピールできるポイントが絞れてくるはずです。
求人情報を収集し職務経歴書の作成する
転職は情報戦といっても過言ではないため、求人情報に関しては徹底的に調べる必要があります。
具体的な求人情報の探し方に関しては、転職エージェントや転職サイト、友人の紹介など多岐に渡りますが、最初に希望する条件を決めておくと良いでしょう。
どのような業界でどのような業務を行いたいのか、また給料や福利厚生等も判断材料の一つになります。
加えて、職務経歴書や履歴書等の作成も行いましょう。インターネット上に無料で使えるテンプレートがあります。
一度ダウンロードして自身で編集し転職エージェント等に提出しておくと、企業側からスカウトがくる可能性もあります。
応募先企業を選定し気になる企業へ応募する
ある程度応募先の企業が絞れてきたら、実際に気になる企業へ履歴書を提出し応募してみましょう。
現在、公務員として取り組んでいる業務内容と親和性が高い民間企業を選べば、即戦力に近いとみなされて選考通過の可能性が高まります。
闇雲に応募するのではなく、しっかりと戦略を立てた上で行うようにしましょう。
複数社に提出しても構いませんが、あまりにも多いと面接試験に対応できなくなる可能性もありますので、その点だけ注意してください。
面接試験を受ける
書類選考に通過した後は、実際に応募先の企業の採用担当者と面接を行います。
基本的に公務員から転職する方は、転職理由がネガティブになりやすい傾向にあるため、実際の面接時ではなるべくポジティブな意見を伝えるようにしましょう。
また、面接試験は事前にどれだけ準備してきたかが重要になってくるため、いきなり本番にのぞむのではなく、事前に面接練習を行った上で受けるようにしてください。
友人や利用している転職エージェント等に相談して、面接の練習相手になってもらいましょう。
内定通知を受け取ったら退職準備に取り掛かる
面接試験の結果が通知され無事に内定を受けたら、今度は現職の公務員を辞める準備に取り掛かりましょう。
公務員は会社員とは異なり「退職したい」といっても、いきなり簡単に辞めれるような仕事ではありません。
得意に国家公務員等になると退職書類に関する印鑑回りがある他、各必要書類の提出等にも意外に時間がかかります。
余裕を持って退職準備に取り掛かれるように、事前にどのような退職手続きが必要なのかを、ご自身の職場で確認しておくと良いでしょう。
「退職が遅れて採用取り消し…」なんて事にならないで良いように、退職に関しても事前準備が必要不可欠です。
民間企業側からみた公務員の印象と求められている人物像
公務員の方でこれから民間企業へ転職を検討されている人は、民間企業側からどう見られているのかを把握しておくことも大切です。
終身雇用制度が崩壊した今では、民間企業が中途採用者に求めているのは、「即戦力」である場合が多いです。
20代であれば、本人の成長性ややる気等が評価されて採用される可能性もありますが、30代以降になると即戦力になるかが大きく問われます。
働き方の多様化により、今はフリーランスという働き方を選ぶ人も多くなってきています。
民間企業側も人を雇用するのにはリスクが伴うため、業務委託契約を選択するケースも多いです。
転職活動を行っている方は、それでも企業側に対して自身が必要である根拠を、しっかりと伝える必要があります。
ネガティブな面
民間企業が公務員に対するネガティブなイメージとしては、以下のような項目が挙げられます。
- 安定思考が強く、新しい環境への適応力が低いのではないか
- 民間業務のスピード感についていけないのではないか
- 成果や生産性アップ等を追求する意識が低いのではないか
- 利益を追求した経験がないため、民間企業に馴染めないのではないか
特に業績や成果、生産性アップ等を強く求める民間企業の業務スタイルに、元公務員がついていけるか不安を感じている場合が多いです。
公務員は普段から営利目的で業務を行っていないため、仕事に対する意識の仕方自体が会社員とは大きく異なります。
民間業務のスピード感に慣れずに、転職してもすぐに辞めてしまう人も意外に多いです。
ポジティブな面
民間企業が持つ公務員に対するポジティブなイメージは、以下の通りです。
- 真面目に規則を守ってきっちり業務が行えそう
- 地味なことでもコツコツ取り組めそう
- 社会貢献意欲が強く、責任感を持って仕事に取り組めそう
- 公務員試験に合格する程度の基礎学力を備えている
公務員だからこそ真面目に業務に取り組んでくれそう、という企業側のイメージは面接試験でもプラスに働くことでしょう。
ついついマイナス面にばかり目が行きがちですが「元公務員だから信頼できる」というイメージを持っている民間企業も、決して少なくありません。
公務員から民間企業への転職に関するよくあるQ&A
公務員から民間企業への転職に関する多くの質問や悩みの中から、特に多かった内容だけ分かりやすく回答をまとめてみました。
該当する内容で同じ悩みを持っている方は、回答を参考にしてみてください。
転職は公務員でなくとも大変難しいものです。
特に現在は新卒でも就職が困難な人が多いため、実際に転職を実行する際には、しっかりとした事前準備が必要不可欠だといえます。
Q.みなし公務員や準公務員でも民間企業への転職は厳しいですか?
民間企業側からみれば、みなし公務員や準公務員であったとしても、同じ公務員に変わりありません。
実際に民間企業側がみるのは「何ができるか、何をしてきたか」ですので、「〇〇公務員だから転職が厳しい」ということはありません。
よっぽど特殊な職種(例えば研究職)等についていたら公務員であったとしても、即採用される可能性はありますが、基本的には企業側の見る目は一緒です。
Q.公務員を辞めてからでないと転職活動はできませんか?
公務員をやりながらでも転職活動は行えます。
一般的な転職活動(求人情報の収集や履歴書の作り方、友人や知人への相談など)に関しては、在職中でも全く問題ありません。
ただし、会社員とは異なる規制が法律で設けられていますので、その点だけ注意を払いつつ転職活動を行う必要があります。
Q.公務員から民間企業へ転職すると後悔しますか?
結論からいうと本人次第です。
自己成長意欲が強い人や、仕事に対してやりがいを求めている人は、民間企業で働く方が性に合っている人が多いです。
その反面、仕事に対して雇用の安定性や、明確な将来設計等が立てやすい環境を求める人は、公務員という働き方が合っているでしょう。
合う合わないは人によって大きく異なるため、まずは自己分析を行うことが大切です。
また、ご自身が将来的にどのようなライフプランを実現させたいかによって、より適した働き方を選択するのも賢明な判断方法です。
転職はその後の人生を大きく左右するライフイベントの一つですので、決して勢いだけで判断しないようにしましょう。
まとめ
ニューノーマルな時代に入り働き方に対して様々な多様性が生まれている現在、雇用の安定性という面で非常に優れている公務員という仕事を手放すのは、一見すると危険かも知れません。
転職が成功したとしても、民間企業で長く働けるかは本人次第です。
それでも公務員から民間企業へ転職を希望する方は、必ず事前準備をしっかりと行い、安心できる状態を確保した上で実行に移すようにしましょう。
転職は今後の人生に大きな影響を及ぼしますので、現状をより良い方向へと変えたいと強く思っている人には、大変おすすめです。
人生設計等で悩んでいる方は、お気軽にFPへご相談ください。
一人で悩みを抱え込むよりも、誰かに話すことで解決の糸口が見えるかも知れません。
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