「フリーランスはやめとけ」といわれるのはなぜでしょうか?
そういわれる理由や解決策などが知りたいです。
アメリカでは、既に労働人口の約4割がフリーランスという状況であり、日本でも労働人口に対するフリーランス比率は2割を超えています。
年々増加しているフリーランスですが、実際にはそれほど稼げていない低所得者層が過半数を占めており、高所得者層は一握り。
働き方改革が進められリモートワークを行う人も増えましたが、自由に働けるという反面、そのリスクも非常に大きいようです。
この記事ではフリーランスが抱える問題や現状に関して、初心者にもわかりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで「フリーランスはやめとけ」といわれる理由が、正しく理解できるはずです。
これからフリーランスや個人事業主として起業・独立される方は、リスクを十分把握した上で事前に対策を練っておきましょう。
フリーランスはやめとけ!といわれる7つの理由
「フリーランスはやめとけ」といわれる理由としては、主に7つ挙げられます。
- 収入が安定しない
- 体調を崩すと収入がゼロになる
- 将来の見通しが立てづらい
- 景気変動に影響を受けやすい
- ライバルが急増している
- 100%自己責任となる
- 孤独感に苛まれやすい
特に収入の不安定さに関しては、多くのフリーランスが悩みを抱えており、将来の見通しが立たない原因にもなっています。
収入が安定しない
フリーランスとして働く以上、安定した収入を得られる訳ではないため、ある程度の生活防衛費が必要になります。
具体的には最低でも1年間は、収入ゼロでも暮らしていける貯蓄が必要です。
会社員や公務員などとは異なり、毎月決まった給料などはない上にボーナスもありません。
フリーランスの中には、収入の目処が立たずに途中でバイトをはじめたり、会社員に戻る人も珍しくありません。
体調を崩すと収入がゼロになる
会社員や公務員であれば例え体調を崩して仕事を休んだとしても、有給休暇を割り当てたり、福利厚生により傷病手当が出たりとサポートが充実しています。
対してフリーランスは、体調を崩して仕事ができなくなると収入が途絶えてしまうため、体調管理には十分気をつける必要があります。
その上、長期間体調不良で仕事ができなくなると、案件が途切れたり契約終了などにも繋がりかねませんので、非常にリスクが高いです。
将来の見通しが立てづらい
フリーランスは、その不安定な収入面からも「将来の見通しが立てづらい」という意見を述べている人が意外に多いです。
会社員や公務員であれば、収入が安定していますのでライフプランが立てやすいですが、フリーランスの場合はそう簡単にはいきません。
仮にライフプランを立てたとしても、いつ案件が途切れて収入がゼロになるか分かりません。
その上、独立当初はお金に対する不安が常につきまといます。
収入が途切れても他の対策方法や逃げ道がある、と楽観的に考えられる人は、フリーランスに向いています。
しかし、お金に対して極度に不安を感じる人は、そもそもフリーランスという働き方自体が、向いていない可能性が高いです。
景気変動に影響を受けやすい
コロナショックでは、フリーランスの大半が収入に大きな悪影響があったと述べています。
景気変動に対する影響は、フリーランスや個人事業者などの末端のワーカーが、非常に影響を受けやすいです。
企業によっては、大きな景気変動により倒産したケースもありますが、取引先が倒産すると当然フリーランスの収入にも悪影響が出ます。
その上、フリーランスの大半が一つの取引先に依存している状態であるため、景気変動が生活に対する影響はかなり大きいでしょう。
ライバルが急増している
フリーランス人口が増えるということは、単純に考えるとそれだけ周りにライバルが増えている、ということに繋がります。
実際にWebライターなどの比較的に誰でも取り組める職種だと、主婦や学生でも気軽に始められるため、競争はかなり激化してきています。
参入ハードルが高いプログラマーなどの、高度な技術が求められる職種であれば、そこまで心配する必要はないでしょう。
実際にフリーランスエンジニアの需要は年々上昇しており、2030年頃には約79万人のエンジニア人材不足に陥るという調査結果も出ています。
100%自己責任となる
会社員や公務員であれば、たとえ仕事で損失を出してしまったとしても、最終的な責任は会社が取ってくれます。
しかし、フリーランスの場合は後ろ盾が何もないため、万が一トラブルが生じた際には、100%自己責任です。
取引先とのトラブルは決して人ごとではありませんので、これからフリーランスとして独立される方は、十分注意する必要があります。
実際にフリーランスの過半数以上が、取引先とのトラブル経験を持っているため、相談先などを予め把握しておくべきでしょう。
孤独感に苛まれやすい
フリーランスという働き方は、自由な反面「孤独」を感じやすい特徴があります。
一人で作業を行う時間が多いことから、友人や知人との間にギャップが生まれたり、交流する機会自体が少なくなったりしがちです。
一人の状態を「孤独」または「自由」と感じるかは人それぞれですが、普段から一人で作業を淡々と行うのが好きな人には、適した働き方でしょう。
また、仕事に対するモチベーション管理に関しても、一人だとなかなか難しいというフリーランスも多いため、その点も考慮しておく必要があります。
フリーランスになるメリット・デメリット
フリーランスになるメリットやデメリットとしては、次のような項目がよく挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
・時間や場所に縛られない ・収入アップが目指せる ・対人関係のストレスから解放される ・通勤の手間がなくなる ・自由に休日が取れる ・健康であれば何歳まででも働ける ・得意分野を活かして仕事ができる | ・健康面で問題が起きやすい ・毎月の収入が不安定 ・経理や会計などの事務仕事の負担が増える ・会社員にあるような福利厚生がない ・社会保険料は全額負担 |
取り上げている項目は、あくまでも一部に過ぎません。
人によっては営業が苦手だったり、確定申告のやり方が分からなかったりと、独立当初はかなり課題が多くなります。
働き方の自由度はとても高いですが、その分やることも多くなるのがフリーランスなので、その点を十分理解した上で挑戦しましょう。
知人や友人にフリーランスの人がいる場合は、直接話を聞いてみるのもおすすめです。
フリーランスに向いている人・向いていない人の特徴
フリーランスに向いている人とそうでない人の特徴としては、次のような項目が挙げられます。
○ 向いている人 | × 向いていない人 |
---|---|
・自己管理能力が高い ・金銭管理ができる ・環境の変化に対して柔軟に対応できる ・何事にも積極的に取り組める ・メンタルのコントロールができる ・一人で長時間作業しても平気である | ・コミュニケーションが苦手 ・責任感がない ・感情的になりやすい ・収入の不安定さに耐えかねない ・ストレスに弱い ・他人との交渉が苦手 |
何事にも向き不向きがあるように、フリーランスという働き方に関しても、向いている人と向いていない人がハッキリと分かれます。
特にフリーランスが向いている人の特徴としては、自己管理能力が高く、一人でも淡々と集中して作業がこなせる、などが挙げられます。
逆にコミュニケーションが苦手だったり、責任感がない人などは、フリーランスの働き方は合わない可能性が高いです。
会社員とは異なり、フリーランスや個人事業主は経営者でもあるため、取引先との交渉や営業など求められるスキルや知識が幅広いです。
そのため、積極的に自ら行動できる人でないと、フリーランスとして長期的に生き残っていくのは、大変難しいでしょう。
フリーランスは、仕事に対する裁量権が大きくなる一方で、その分責任も重くなります。
フリーランスが増加した背景とその理由
表は、大手クラウドソーシングサイト「ランサーズ」の実態調査による結果です。
フリーランスの人口は2015年の段階で937万人だったのに対し、2021年のコロナショック以降1,518万人まで急拡大しています。
わずか数年でフリーランスの人口は、約2倍近くまで膨れ上がり、今後もその数は増えていくと予想されています。
フリーランスが急激に増えた背景には、急激な景気変動による影響や、働き方改革によるものだと捉えられるでしょう。
特に40〜50代の年齢層が過半数を占めており、20代のフリーランスは少ない傾向にあります。
フリーランスと会社員の働き方を比較
フリーランスと会社員の働き方の違いとしては、次のような項目が挙げられます。
項目 | 会社員 | フリーランス |
---|---|---|
収入 | ・毎月安定した給与が得られる ・企業によってはボーナスあり | ・収入が不安定 ・人によっては会社員以上に稼げる |
働き方 | ・勤務時間が定められている ・社内のルールに従う必要がある ・会社によっては福利厚生が充実している | ・場所や時間に縛られない |
税金 | ・節税の手段が限られている | ・節税メリットが大きい |
社会保障 | ・手厚い社会保障が得られる | ・失業保険や育児休業制度などが使えない ・社会保険料の負担が大きい |
契約形態 | ・正社員もしくは契約社員など | ・業務委託契約が一般的 |
双方、賛否両論ある働き方ですが、メリットがあればデメリットがあるように、どちらが優れた働き方であるとは一概に断言できません。
会社員であっても現在は、副業として個人事業主や法人経営を行っている人も珍しくありません。
どちらか一方を必ず選択しなければいけない、という訳ではありませんので、あなたに適した働き方を選ぶようにしましょう。
年々働き方は多様化してきているため、まずはライフプランをある程度決めた上で、どのような働き方であれば実現できそうか考えることが大切です。
フリーランスで後悔しないためのポイント
フリーランスになった後に後悔しないで良いように、次の項目に関してしっかりと準備を行なっておきましょう。
- 半年から1年間分の生活防衛費を蓄える
- スキルの専門性を高める
- 実績や経歴を洗い出す
- 再就職の可能性も考える
- 理想と現実のギャップをなくす
- 相談できる相手を見つけておく
- 会社員のうちに副業から小さく挑戦する
- 必要なローン契約やクレジットカードの作成は事前に済ませる
思い付きでいきなりフリーランスとして独立しても、長くは持たない可能性が高いです。
フリーランスとしてできるだけ生き残っていくためには、事前の準備が必要不可欠であり、その後も自学研鑽していく必要があります。
ただ単に自由な働き方に憧れて、フリーランスになってしまうと後悔しやすいため、理想と現実のギャップを事前に解消しておきましょう。
現時点で会社員の方は、まずは小さく副業からチャレンジするのがおすすめです。
ビジネスが軌道に乗って、副業収入だけで生活できる目処が立った時点で、フリーランスを検討しましょう。
フリーランスの将来性と今後
フリーランスという個人の成長戦略に関しては、個々に考えて行かなければいけません。
現状維持だと後退しているのと変わらないため、フリーランスの場合は絶えず新しいことに挑戦しつつ、自分のスキルを磨いていく必要性があります。
一人で業務を行う時間が長いフリーランスは、積極的に自ら行動を起こしながら、将来を切り開いていくべきでしょう。
逆に行動力に欠けたり、向上心が弱かったりするとフリーランスとしての将来性は、暗くなってしまい兼ねません。
何事においても、100%自己責任となるフリーランスだからこそ、前向きにコツコツ積み上げていくことが大切です。
フリーランスとしての将来性を左右するのは、あなた個人の成長戦略にかかっている、といっても過言ではありません。
フリーランスに関するよくあるQ&A
フリーランスに関するよくある悩みや質問を、分かりやすく質問形式でまとめました。
気軽に相談できるフリーランス仲間をあらかじめ作っておくと、独立した後もお互いに切磋琢磨できて良い関係が築けます。
Q.フリーランスに関するおすすめ本はありますか?
フリーランスを目指すのであれば、最低でも会計や経理、税金などに関する知識が必要になります。
税金に関しては「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」がおすすめです。
Q.フリーランスと個人事業主は同じですか?
フリーランスは、企業や組織に所属せずに個人で案件を請け負う働き方を指しています。
対して個人事業主は、法人などと同じで税務上の区分を指しているため、双方意味合いは全く異なります。
Q.何歳までフリーランスとして働くことができますか?
会社員や公務員などとは異なり、フリーランスには定年がありません。
そのため、本人が働ける限りはフリーランスとして、何歳になっても継続的に働けるでしょう。
Q.フリーランスの10年間の生存率はどのくらいですか?
中小企業庁の調べによると、フリーランスの廃業率は1年で37.7%、3年で62.4%、10年では88.4%が廃業しています。
フリーランスとして独立してから10年後には、10人中2人がその後も続けられている状況です。
中には、フリーランスから法人化するケースもありますので、一概に廃業率だけを見て判断しないようにしましょう。
Q.フリーランスとして成功している人は多いですか?
成功の定義は、フリーランスといえども人によって異なるため、一概にどの程度の人が成功しているかとは断言できません。
たとえば「自由な働き方を実現したい」という目的があるのであれば、フリーランスになって生活費が賄えていれば、その時点で成功といえるでしょう。
他者から見れば成功とはいえないかも知れませんが、生き方は人それぞれですので、まずは成功の定義を定めることから始めてみてください。
まとめ
「フリーランスはやめとけ」とよくいわれる7つの理由に関して、分かりやすく解説しました。
- 収入が安定しない
- 体調を崩すと収入がゼロになる
- 将来の見通しが立てづらい
- 景気変動に影響を受けやすい
- ライバルが急増している
- 100%自己責任となる
- 孤独感に苛まれやすい
「やめとけ」という人の大半が、フリーランスを経験したことがない人ばかりです。
そのため、まずは実際にフリーランスとして活動している人に、直接話を聞いてみてください。
理想と現実のギャップに驚くかも知れませんが、これからフリーランスを目指すのであれば、事前に現状を知り備える必要があります。
フリーランスになってから後悔しないでいいように、必要な準備を行なった上で独立・起業するようにしましょう。
フリーランスの先輩から学び、同じような後悔や失敗をしないようにするのが得策です。
コメント