贈与税を避けるための抜け道的な方法はないのだろうか…?
子への生活費や教育費等の仕送りなども、贈与税の対象になってしまうのか気になる…
贈与税に関しては、基本的に1年間(1月1日〜12月31日)の贈与額が基礎控除110万円を超えない限り、非課税扱いとなります。
贈与額から110万円を差し引いいた課税価格に対して、累進課税の税率が適応されるため、課税価格が多ければ多いほど納税額も多くなります。
とはいえ、贈与税には特別な控除制度が多数設けてあるため、適応条件さえ満たせばある程度は避けることが可能です。
適応条件は制度によって異なるため、ご自身の状況に合わせた制度を活用しましょう。
この記事では贈与税の抜け道として、主な8つのケースを初心者でも分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、ご自身の状況によっては贈与税を納めないで、済むようにできるかもしれません。
個人での判断が難しい場合は、専門家(税理士やFP等)にお気軽にご相談ください。
贈与税の抜け道!非課税になる主な8つのケースを解説
- 生活費や教育費等の親から子への仕送り(対象外)
- 教育資金の一括贈与(1,500万円)
- 結婚や子育て資金の一括贈与(1,000万円)
- 配偶者への贈与(2,000万円)
- 障害者への贈与(最大6,000万円)
- 暦年贈与(年間110万円)
- 相続時精算課税で相続財産を減らす(2,500万円)
- 住宅取得等資金の贈与(最大1,200万円)
贈与税は、年間の贈与額が基礎控除110万円以内であれば、課税対象になりません。
贈与税の計算式は「(贈与額 ー 基礎控除110万円)× 税率」となっており、課税価格が多ければ多いほど、納税額も多くなります。
ただし、特定の贈与に関しては特別控除が適応されるため、非課税になるケースが大きく分けて8つ挙げられます。
非課税にするためには申告が必要なケースもありますので、制度の適応条件を調べた上で利用を検討するようにしましょう。
生活費や教育費等の親から子への仕送り(対象外)
親から子への生活費や教育費等の仕送りは、贈与の対象にはなりません。
仮に毎月10万円の生活費を親が子へ仕送りしていたとしても、子が生活のために活用しているのであれば、贈与税の対象外です。
また教育費に関しては、学費や文具費、教材費等を意味します。
ただし、親から仕送りという名目で渡されたお金を、子が株式投資や不動産の売買、貯金等に充てている場合は、贈与税の対象となる可能性があります。
教育資金の一括贈与(1,500万円)
30歳未満の人が、直系尊属(父母、祖父母等)から教育資金の一括贈与を受けた場合は、受贈者一人あたり1,500万円が非課税となります。
1,500万円のうち学費や習い事など学校以外に支払う金額としては、500万円までが非課税です。
また適応条件としては、受贈者が金融機関に「教育資金口座」を開設したのちに、金融機関を通じて税務署に届け出なければいけません。
一度贈与された資金は開設した口座に預け入れ、再度引き出す際には教育費の領収書を、所定期日までに金融機関に提出する必要があります。
結婚や子育て資金の一括贈与(1,000万円)
20歳以上50歳未満の人が、直系尊属(父母、祖父母等)から結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合は、受贈者一人あたり1,000万円までが非課税となります。
また1,000万円のうち結婚のための資金としては、300万円が贈与税の非課税枠です。
適応条件としては、受贈者が金融機関で「結婚・子育て資金口座」を開設した後に、金融機関を通して税務署に届け出を行う必要があります。
その後、受け取った贈与を、一度全て開設した口座に入金します。
また再度引き出す際には、結婚・子育て費用の領収書を所定期日までに、金融機関に届け出なければいけません。
配偶者への贈与(2,000万円)
婚姻期間が20年以上経っている夫婦間であれば、住居用不動産(もしくはその購入資金)の贈与を行っても、2,000万円までであれば贈与税は非課税となります。
配偶者控除は、歴年贈与と合わせて活用することができるため、実際には2,110万円までが非課税です。
また配偶者控除で贈与税が0円になったとしても、税務署に申告しなければいけません。
税務署に申告しなければ、贈与税は0円にはなりませんので注意しましょう。
その他、受贈者は貰い受けた住居用不動産(もしくは贈与された資金で購入した不動産)に、翌年3月15日まで住居する必要があります。
障害者への贈与(最大6,000万円)
特別障害者への贈与は、最大で6,000万円までが非課税となります。
ただし、受贈者が特別障害者以外の”特定障害者”の場合は、3,000万円までが非課税です。
また適応条件としては、信託銀行に贈与された金額を全て信託し、信託銀行を通じて「障害者非課税信託申告書」を税務署に提出する必要があります。
信託したお金を再度引き出す際には、障害者である受贈者の生活費や医療費として、定期的に引き出すことが可能です。
暦年贈与(年間110万円)
贈与税では、1年間の贈与額が基礎控除110万円以内であれば、非課税となります。
仮に200万円を一括で贈与した場合、200万円から110万円を差し引いた、90万円に贈与税がかかる計算です。
年間の贈与額が110万円までなので、毎年110万円を10年間に渡り贈与していけば、1,100万円が非課税ということになります。
贈与を分散して行うやり方を歴年贈与と呼び、基礎控除の非課税枠内であれば、毎年の税務署への申告も必要ありません。
相続時精算課税で相続財産を減らす(2,500万円)
“相続時精算課税”とは、贈与税を一時的に2,500万円まで非課税にできる制度です。
税金は贈与者が亡くなった時に贈与額と相続財産が合算され、まとめて税金の計算が行われます。
2,500万円の非課税枠を超えた場合には、課税価格に対し一律20%の税率が課せられます。
また相続時精算課税では、同じ贈与者からの贈与は複数年に渡り通算されるため、初年度に2,000万円を贈与されたとしても、翌年500万円まで非課税です。
原則、贈与者は60歳以上の直系尊属(父母又は祖父母)となっており、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上でなければいけません。
その他、相続時精算課税は、歴年贈与(年間110万円)と併用することはできません。
また注意点としては、相続時精算課税を活用して納める税金が0円だったとしても、税務署への申告が必要です。
住宅取得等資金の贈与(最大1,200万円)
直系尊属(父母又は祖父母)から住宅取得資金の贈与を受けた場合には、最大で1,200万円までが非課税となります。
ただし、受贈者は20歳以上かつ贈与を受けた年の所得が、2,000万円以下でなければいけません。
加えて受贈者は、過去に住宅取得等の資金の贈与を受けていないことが適応条件です。
また贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した住居に住まなければいけません。
その他、購入する住宅にも延床面積や築年数など細かい要件があるため、制度の活用を検討されている方は、国税庁のサイトを参考にしてみてください。
贈与税に関するよくあるQ&A
贈与税に関する多くの質問や悩み等の中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ回答を分かりやすくまとめてみました。
取り上げている内容で気になる質問がありましたら、参考にしてみてください。
また、他のことで気になっていることがある方は、お気軽にFPへお尋ねください。
贈与や相続といったライフイベントは、専門的な知識がないと損してしまう可能性もありますので、一度専門家に相談してみるのが得策です。
Q.親から住宅ローン返済の援助を毎月20万円受けています。これは生活費の補助にあたりますか?
結論からいうと、住宅ローンの支払いは生活費の補助にはあたりません。
親からの借り入れとして借用書を作成した上で、受け取っているのであれば贈与にはなりませんが、援助されているのであれば贈与にあたります。
仮に月20万円を親から援助されているのであれば、年間で240万円の贈与を受けていることになります。
この場合240万円から基礎控除110万円を差し引いいた、130万円が贈与税の対象です。
Q.贈与税は親子間での現金手渡しであればバレませんか?
親子間での現金手渡しでも、年間の贈与額が基礎控除110万円を超えていれば、贈与税の対象になります。
確かに申告しなくてもバレない可能性もあるかも知れませんが、相続等のタイミングで税務署にバレる可能性も大いにあります。
万が一、税務署にバレた際にはペナルティが課せられ、本来の納税額に加えて別途罰金を納めなければいけません。
最悪の場合、社会的信用を失うケースもありますので、事前に申告しておいた方が無難です。
Q.贈与税の納税をうっかり忘れていた場合はどうなりますか?
申告期限を過ぎてから申告した場合は、“無申告課税”が課せられます。
未申告の場合は税務調査が行われますが、期限を過ぎてから自主的にすぐ期限後申告した場合は、5%の加算税が課せられます。
しかし、税務調査までに間に合わなかった場合は、加算税が上がるため注意が必要です。
納税額50万円までは15%、50万円を超える部分に関しては20%が適応されます。
Q.一度に妻の口座に500万円を移すのは、贈与税の対象になりますか?
500万円を奥さんがどのように活用するかによって、贈与税の対象になるかが変わります。
夫婦の共有財産として、一時的に預かってもらうのであれば問題ありませんが、「あげる」となると立派な贈与の対象です。
例えば生活費のために贈与を受けたのであれば、贈与税の対象外です。
逆に不動産や高級車等を購入するために、旦那さんが奥さんに500万円をあげたのであれば、贈与税の対象になります。
Q.複数人から贈与を受けて110万円を超えた場合でも、税金はかかりますか?
結論からいうと、贈与税の対象となります。
そもそも贈与税は受け取る側にかかるものなので、贈与者が何人に贈与したとしても110万円までなら、受贈者は非課税となります。
逆に受贈者が複数人から贈与を受けた場合、年間の贈与額が110万円を超えてしまうと、贈与税の対象となります。
例えばAさんが、祖父と祖母の両方から110万円の贈与を同年に受けた場合、贈与の合計額は220万円となります。
そのため、220万円から基礎控除110万円を差し引いた残りの110万円が、贈与税の対象です。
まとめ
贈与税の抜け道として、非課税になる主な8つのケースをご紹介しました。
- 生活費や教育費等の親から子への仕送り(対象外)
- 教育資金の一括贈与(1,500万円)
- 結婚や子育て資金の一括贈与(1,000万円)
- 配偶者への贈与(2,000万円)
- 障害者への贈与(最大6,000万円)
- 暦年贈与(年間110万円)
- 相続時精算課税で相続財産を減らす(2,500万円)
- 住宅取得等資金の贈与(最大1,200万円)
該当するケースがございましたら、是非とも制度の利用を検討してみてください。
また、ご自身での判断が難しい場合は、お気軽に専門家であるFPへご相談くださいませ。
知識がない状態で贈与や相続を行ってしまうと、税金や法律関連で思わぬトラブルになりかねませんので、お気軽にご相談ください。
贈与を行う前に一度専門家に相談することで、事前にトラブルを避けることができます。
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