「終活で相続の相談をしたい」「相続人になった時、相談先はどこ?」と相続の相談先で悩む方は少なくありません。
相続は金銭面に加え、被相続人(亡くなった方)の意向や親族との関係性などパーソナルな情報を話さなければいけないため、信頼できる相談先を見つけておくことが重要です。
本記事では相続の設計や相続税、トラブルが起こった時など相続における相談先7ヶ所を費用と合わせてご紹介します。
相続の相談先について知りたい方、FPなど相続に関する勉強をされている方は是非ご覧ください。
相続は相談内容によって相談先が異なる
一口に「相続の相談」と言っても、相続税や不動産の登記、相続のプランニングなど相談内容は多岐に渡ります。
下記は相談内容別の相談先をまとめた表です。
相談内容 | 相談する人 |
相続のプランニング | ファイナンシャルプランナー |
相続税・贈与税など税金の相談 | 税理士 |
遺産分割をめぐるトラブル | 弁護士 |
不動産の相続登記土地の境界線の特定 | 司法書士 |
後見人になって欲しい | 弁護士・司法書士・行政書士 |
相続の手続きをワンストップで依頼したい代わりに資産運用を行ってもらいたい | 銀行・信託銀行 |
まずは無料で相談したい | 役所 |
大きく分けると、「これから終活を行う」という方はファイナンシャルプランナー、既に相続が始まっている場合には士業の事務所となります。
相続の相談先とは?7ヶ所を解説
役所・銀行・士業の事務所など、相続の相談先を7ヶ所ご紹介します。
- 弁護士
- 税理士
- 行政書士
- 司法書士
- ファイナンシャル・プランナー
- 銀行・信託銀行
- 役所
1.弁護士
法律の専門家である弁護士は、主に遺産分割でトラブルになったケース、相続放棄を行いたい場合などの相談先となります。
加えて相続人が認知症・知的障害などで判断能力が乏しい、未成年者の場合には遺産分割協議において「後見人」として弁護士・行政書士などの専門家が選任されることがあります。
弁護士費用は「弁護士の報酬に関する規程」に基づき定められていますが、具体的な金額に関する定めは廃止されています。
弁護士報酬の目安に関するアンケート結果では遺産分割調停の着手金は50万前後が最も多く、報酬金は100万円前後が多い結果となっています。
合計150万程度がボリュームゾーンと言えますが、内容によって異なる可能性があり、他の士業の事務所と比べ報酬が高めの設定です。
遺言書作成は10万円前後の事務所が最も多く、遺言執行手数料は40万円前後が最も多くなっています。ただし2番目には100万円前後が多く、報酬にばらつきがあることが分かります。
弁護士でしか対応できない業務もありますので、「費用がかかっても法律に精通した人に確実に実行してもらいたい」というケースでは弁護士への依頼を検討しましょう。
なお弁護士は登録を行う事で税理士免許も取得できますが、実際に相続税に関して相談をしたい時には相続分野の経験のある税理士に依頼した方が費用の負担がおさえられます。
2.税理士
税理士は税金に関するスペシャリストで、相続税や贈与税などの税務代行全般、税務書類の作成、相談を行う事ができます。
相続税は基礎控除額「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた時に納める義務が生じます。
ただし配偶者控除・未成年者控除など各相続人の控除で納税の必要がないケースがあり、計算方法も複雑ですので相続財産の評価額が基礎控除額を超えそうな時には税理士に相談した方が無難と言えるでしょう。
加えて相続財産に不動産や株式などの有価証券が含まれている時には価額の評価が難しいため、相談しておくことをおすすめします。
各地の税理士会では無料税務相談会、講演会、税金セミナーなどを実施しています。
相談したい方は各エリアの税理士会に問い合わせてみましょう。
3.行政書士
行政書士は官公庁に提出する書類の作成や手続きの代理、遺言書・遺産分割協議書などの作成ができます。後見人になる事も可能です。
2020年の報酬額統計に基づく相続関連の業務の平均額は以下の通りになります。
業務内容 | 平均額 |
遺言書の起案・作成指導 | 68,727円 |
遺産分割協議書の作成 | 68,325円 |
相続人及び相続財産の調査 | 63,747円 |
遺言執行手続 | 384,504円 |
相続分が無いことの証明書作成 | 38,405円 |
4.司法書士
司法書士は主に不動産や法人の登記・供託手続の代理、法務局に提出する書類作成、裁判所・検察庁に提出する書類作成などを行うことができます。
不動産の相続登記が可能ですので、相続財産の中に不動産があり自身で手続きを行う事が難しい場合には司法書士に依頼する事例が多いです。
相続した土地の境界線があいまいで境を特定させたい際に「筆界特定手続」を行う事もできます。
遺言書の作成や相続放棄のアドバイス、後見人になることも可能です。
報酬は、不動産の相続における所有権移転登記(名義変更)は、不動産の評価額によって異なります。以下のケースでは全国平均で約65,000円となります。
土地・建物の固定資産評価額:合計1,000万円
行った業務
- 所有権移転登記手続の代理業務
- 戸籍謄本等5通の交付請求,登記原因証明情報(遺産分割協議書及び相続関係説明図)の作成
- 登記申請の代理
全国平均:65,347円
5.ファイナンシャルプランナー
相続に関するプランニング(設計)を行いたい時にはFPへの相談をおすすめします。
FP試験では税金や保険などと共に相続に関する税金や法律、プランニングも勉強するため、ライフプランに沿った総合的なマネープランのアドバイスが可能です。
相続だけではなく、家計の見直し・老後に向けた資産設計・資産運用や金融商品など様々なお金に関する相談ができます。
相談料金は事務所によって異なりますが、日本FP協会が公表している1時間当たりの相談料の調査結果は以下の通りとなっています。
66%のFPが1時間1万円以下で相談を受け付けています。
気になる方は、日本FP協会の「CFP®認定者検索システム」又は「会員ホームページ検索」を利用しましょう。
6.銀行・信託銀行
多くの銀行・信託銀行では弁護士・司法書士などと提携し、相続の手続き代行サービスを行っています。
手数料がかかりますが、自身で士業の事務所を探し連絡を行う手間を省くことが出来ます。
また信託銀行では財産を預けることで管理・運用を代わりに行う「信託業務」も行っており、生きているうちに財産を運用して相続人となる方に利益を分配する事も出来ます。
7.役所
地方自治体の役所では、弁護士・税理士などと提携し無料相談を行政サービスとして行っています。
例えば東京都杉並区区役所では、弁護士による法律相談や税理士による税務相談、司法書士による相談、家事(家庭内のもめごと)相談を予約制で受け付けています。
役所の相談の大きなメリットは無料で利用できることです。
まずは役所の無料相談で相談してから、士業の事務所や銀行などに相談するのも良いでしょう。
まとめ
相続における相談先7ヶ所と費用を解説してきました。
「終活を行いたい」「相続に備えて相談をしたい」と言う方は、信託銀行やファイナンシャルプランナーに相談、既に相続が始まっている場合は士業の事務所や銀行・役所に相談することで悩みや疑問が解決できる可能性があります。
この記事を参考に相続の相談先を把握し、実際の場面で活かしていきましょう。
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