国民年金保険料は年末調整で控除する事ができるの?
そもそも国民年金と厚生年金の両方を支払うケースはあるの?
結論から伝えると、会社員でも国民年金保険料を納めてしまったケースは存在します。
万が一、会社員や公務員などの第2号被保険者が、国民年金保険料を納めてしまっている場合は、申請することで年末調整で控除を受ける事が可能です。
ただ基本的には第2号被保険者が、国民年金保険料を納めることはありません。
しかし、場合によっては該当する可能性もある為、今後のことも考えてしっかりと当てはまるケースや、申請方法などを覚えておくことが大切です。
この記事では国民年金保険料を年末調整で控除するための具体的な方法や、該当する4つのケース等に関してわかりやすく解説しています。
最後まで読んで頂くことで、会社員でも国民年金保険料を年末調整で、簡単に控除する事ができるようになるでしょう。
会社員が国民年金保険料を支払っている4つのケース
- 配偶者や扶養親族の国民年金を支払った
- 個人事業主が年の途中で会社に就職した
- 無職(もしくは学生)が年の途中で会社に就職した
- 会社員が過去の免除・滞納分の国民年金保険料を支払う
社会保障制度の一つである年金制度は、主に3つの階層に別れており、1階層は国民年金保険で誰もが20歳になると加入を義務付けられます。
その上に、2階層として会社員や公務員等が加入する厚生年金保険があり、更に3階層には企業年金や個人年金等があります。
会社員や公務員等であれば厚生年金保険の対象となりますが、場合によっては国民年金保険料も納めているケースもあるでしょう。
配偶者や扶養親族の国民年金を支払った
扶養家族の保険料を世帯主が支払っている場合は、会社に申請する事で年末調整で控除を受ける事ができます。
配偶者に関しては、年間所得が130万円を超える場合は、”第3号被保険者”ではなく”第1号被保険者”扱いとなるため、保険料を自身で納めなければなりません。
第1号被保険者に配偶者が該当する場合は、世帯主が代わりに保険料を支払い、会社に申請する事で国民年金保険料の控除を年末調整で受ける事が可能です。
逆に、配偶者が第3号被保険者のままであれば、本人自身には保険料の納付義務はなく、旦那さんが勤めている会社に申請する事で連動して納めている形になります。
厚生年金保険料に関しては、会社が自動的に年末調整で控除を行ってくれます。
また、基本的な考え方として、保険料の支払いに伴う控除を受ける際には、できるだけ所得が大きい人が申請した方が節税効果は大きいです。
個人事業主が年の途中で会社に就職した
個人事業主の人が年の途中で事業を辞めて、会社員や公務員へ転職した場合には、勤め先に申請する事でそれまでの国民年金保険料に対する控除を受ける事ができます。
また、自営業者は第1号被保険者に該当するため、会社員に転職した時点で第2号被保険者となり、厚生年金保険へ加入しなければなりません。
加入手続きに関しては会社に年金手帳を提出だけで、その後は会社側が行ってくれるため、自身で手続きを行う必要はありません。
無職(もしくは学生)が年の途中で会社に就職した
無職の人もしくは学生だった人が、年の途中で会社に就職した場合、それまで納めていた国民年金保険料は会社に申請する事で年末調整で控除を受けれます。
ただし、国民年金保険料の全額免除を受けていた人は、申請しても控除を受けることはできません。
控除はあくまでも、保険料を納めていた人だけが対象となります。
会社員が過去の免除・滞納分の国民年金保険料を支払う
過去に国民年金保険料を滞納したり免除・一部免除などを受けていた方で、会社員になってから追納申請を行った場合、会社に申請する事で年末調整で控除を受ける事ができます。
未払いや全額免除に対しては、申請しても控除を受ける事ができません。
しかし、過去の分を会社員になってから追納した場合は、厚生年金保険料と合わせて国民年金保険料分も、年末調整で控除を受ける事ができます。
また、国民年金保険の追納申請のやり方等に関しては、最寄りの市役所等にある国民年金窓口へ、問い合わせてみてください。
国民年金保険料を年末調整で控除する方法
- 社会保険料控除の計算を行う
- 給与所得者の”保険料控除申告書”への記入を行う
- “社会保険料(国民年金保険料)控除証明書”の提出を行う
会社の年末調整で国民年金保険料を控除してもらう方法としては、至ってシンプルです。
簡単にいったら“保険料控除申告書”を記入し、”国民年金保険料控除証明書”を添付して提出するだけで、年末調整で控除を受ける事ができます。
詳しい手続きに関して分からない事がある人は、勤めている会社の経理係等に直接質問してみると良いでしょう。
基本的な手続きのやり方に関しては、どこの会社も同じなので難しいことはありません。
社会保険料控除の計算を行う
国民年金保険料と厚生年金保険料は、どちらも社会保険料控除に含まれます。
そのため、実際に計算する際にはその年に支払った保険料を合計するだけで、見込み額を算出することができます。
ちなみに、会社員が納める所得税の計算式は以下の通りです。
( 1年間の給料の金額 - 給与所得控除額 - 所得控除 )× 所得税率 = 所得税額
給与所得控除額は、1年間の給料の合計金額によって異なるため、一概に同じとは限りません。
また、”所得控除”とは
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
などの各種控除を指します。
国民年金保険料や厚生年金保険料の控除に関しては、”社会保険料控除”となるため、カテゴリー的には所得控除に含まれます。
給与所得者の”保険料控除申告書”への記入を行う
“保険料控除申告書”とは、その名の通り保険料の控除を受けるために必要な書類です。
社会保険料控除証明書を会社に提出する事で、会社の税務担当者が記入してくれることもありますが、会社によっては自身で記入しなければいけない場合もあります。
また、保険料控除申告書を提出した後に、税額が不足している場合は追納を行い、払い過ぎている場合は還付金を受け取れることもあります。
“社会保険料(国民年金保険料)控除証明書”の提出を行う
保険料控除申告書を提出する際には、必ず”社会保険料(国民年金保険料)控除証明書”が必要になります。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書に関しては、毎年11月頃になると日本年金機構から郵送されてくるので、大切に保管しておきましょう。
万が一、紛失した場合は日本年金機構に申し出ることで、再発行する事が可能です。
詳しくは日本年金機構の公式サイトでご確認ください。
国民年金保険の年末調整に必要な”保険料控除申告書”の書き方
保険料控除申告書は、国民年金保険料だけではなく、その他の控除申請の際にも提出が必要です。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済 など
逆に、該当する保険料を納めていない人は、提出する必要性はありません。
また、保険料控除申告書を提出する際には、必ず各種の保険料を納めたことを証明できる、控除証明書が必要になります。
実際に記載する際には、該当する保険料を納めたカテゴリーの欄を埋めるだけです。
合わせて指名と住所の欄に関しても、しっかりと記載した上で提出するようにしてください。
また、提出先は務めている会社の経理係等になります。
分からない場合は、会社の経理係に直接質問してみると良いでしょう。
国民年金保険の年末調整に関するQ&A
国民年金保険の年末調整に関する多くの質問や疑問の中から、特に多かった内容だけに絞って、それぞれ分かりやすく回答をまとめてみました。
第2号被保険者に該当する人で、国民年金保険を納めている方は、目を通してみてください。
また、取り上げていない内容で聞きたい事がある方は、直接会社の経理係に尋ねるか、市役所等の国民年金窓口で聞いてみるのも一つの手です。
国民年金の他に国民健康保険も年末調整で控除することはできますか?
国民健康保険料も年末調整で控除する事はできます。
なぜなら、国民健康保険料も社会保険料控除に含まれているからです。
ちなみに国民年金保険料の年末調整での控除とは違い、申告する際には国民健康保険料の納付証明書類の添付は、必要ありません。
国民年金保険を年末調整で控除した場合いくら返ってきますか?
結論からいうと、支払った保険料は戻ってきませんが、所得税は申請する事で年末調整で戻ってきます。
分かりやすく例を挙げると、令和3年度の保険料は月額16,610円なので、仮に1年間保険料を支払ったとすると
16,610円 × 12ヶ月間 = 199,320円
が全額控除となります。
国民年金保険は世帯間であれば収入が高い人が支払った方が節税になりますか?
国民年金保険料や国民健康保険料は、家族間の中で一番収入が多い方が保険料を支払うことで、所得控除を受けられるため節税効果が大きいです。
個人で判断できない場合は一度、専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)等に相談してみると良いでしょう。
国民年金保険の年末調整に必要な控除証明書はどうしたら入手できますか?
控除証明書は毎年”日本年金機構”が、年末調整に間に合うように11月頃に送付してくれます。
万が一、紛失した場合でも日本年金機構に問い合わせることで、再発行が可能です。
詳しくは日本年金機構の公式サイトで、ご確認ください。
国民年金保険料の申請が年末調整までに間に合いませんでした…
国民年金保険料は、過去5年までは遡って申請することで、控除を受けることができます。
そのため、今年の年末調整に間に合わなかったとしても、保険料を納付してから5年以内であれば、次の年末調整でも控除を受ける事ができます。
ただし、国民年金保険料の控除証明書は、必ず必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
まとめ
国民年金保険料を年末調整で控除する具体的な方法や、該当する4つのケースに関してご紹介しました。
- 配偶者や扶養親族の国民年金を支払った
- 個人事業主が年の途中で会社に就職した
- 無職(もしくは学生)が年の途中で会社に就職した
- 会社員が過去の免除・滞納分の国民年金保険料を支払う
注意点としては実際に申請する際に、必ず保険料の支払いを証明するための、“社会保険料(国民年金保険料)控除証明書”が必要となることです。
控除証明書がないと、控除を受ける事ができません。
万が一、紛失された方は早めに国民年金機構へ連絡して、再発行を行うことをおすすめします。
その他、保険料の控除に関して分からないことがございましたら、お気軽にFPへご相談ください。
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