親からの現金手渡しなら贈与はバレないのでは?
贈与として手渡しした現金はどうやってバレるの?
自宅で親子間での現金手渡しであれば、贈与税の申告をしなくてもバレないのではないか、と考えている人は非常に多いです。
しかし、結論からいうと例え親子間での現金手渡しであっても、贈与税の未申告はばれてしまいます。
贈与税は最大で55%の課税率なので、他の税金と比較してとても高い割合であるため、税務調査官からしても実績を上げやすい税金です。
また、贈与税の未申告がバレてしまうと、特定のペナルティが課せられるため、当初の納税額以上に支払わなければいけません。
この記事では、親子間での現金手渡し等に関する贈与税の徴収事例や、節税するための正規の方法等をわかりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、正しい方法で親子間での贈与を行うことが、できるようになるでしょう。
親子間での贈与は、例え自宅での手渡しであったとしても、バレる可能性が高いです。
国税庁が公開している調査結果をみても分かりように、これまで多くの未申告が摘発されています。
親子間での現金手渡しでも贈与が税務署にばれる理由
親子間で自宅で現金の手渡し等であれば、贈与税を申告しなくてもバレないのではないか、と考えている人は注意が必要です。
常日頃から税務署は申告漏れを取り締まるために、情報収集を行っています。
ちょっとしたSNSの投稿や、知人からの垂れ込み等でも、簡単に摘発される要因になり得るのです。
また、相続のタイミングでも税務署は遡って税務調査を行うため、不可解な金額が見つかるとその時点で贈与税の未申告がバレてしまいかねません。
その上、未申告が摘発されてしまうと、ペナルティとしてより多くの納税が求められますので、危険を犯すよりも事前に申告しておいた方が無難です。
特に相続のタイミングでは、大きなお金が動きますので、税務署も念入りに調べるケースが多いです。
遡って調べられると、過去に親子間でこっそり手渡ししていた現金等も、すぐにバレてしまいます。
贈与税の基礎控除110万円以上の贈与を行う際には、一度税理士やFP等の専門家に相談してみるのも一つの手です。
親子間での現金手渡しが税務署にばれるケース【事例】
親子間での贈与がバレるケースとしては、主に3つ挙げられます。
- 生活水準がいきなり上がった
- 不動産等の高額な買い物を行っている
- 相続税申告のタイミングで贈与税の未申告が発覚した
税務署側も見てないようで、実はしっかりと調査を行っているため、贈与税の未申告等があるとすぐに嗅ぎ付けられます。
資産がいきなり増えたり、生活水準が極端に上がったり等があれば、税務署にバレる可能性が非常に高くなります。
生活水準がいきなり上がった
AさんのTwitterやFacebook等の投稿を見て、友人のBさんがいきなり派手な暮らしをするようになったのを不可解に思った。
Bさんの知人の税務官に話したところ、その後調査が入り、贈与税の申告をしていないことが明らかになった。
このような事例は意外に多いです。
仕事が変わった訳でも収入が増えた訳でもないのに、いきなり高級車を乗り回したり、高級ホテルを利用するようになった等でもバレる可能性があります。
「宝くじに当選して暮らしが激変した」などの理由であれば分かりますが、理由もなく生活水準が上がるのは、不可解なので調査対象になりやすいです。
不動産等の高額な買い物を行っている
不動産の購入を検討していたAさんは、自己資金では支払うことができなかったため、両親から300万円を手渡しで受け取った。
後日、税務署から「お尋ね」の文書が届き、資金調達の方法に関して問われた。
Aさんは正直に「両親に援助してもらった」と記載し返送したが、後日、税務署から贈与税に関して未申告であることを告げられる。
不動産を購入する際には、基本的に銀行等から融資を受けるのが一般的です。
しかし、人によっては両親から援助してもらうこともあるでしょう。
高額な買い物を行った際には、資金調達の方法を税務署から問われる文書「お尋ね」が、届くことがあります。
正直に回答することは当たり前のことですが、万が一、贈与税の未申告を偽るような回答をすると、別途ペナルティが課せられます。
相続税申告のタイミングで贈与税の未申告が発覚した
父親が亡くなったことで、相続を行うタイミングになったAさんは、税務署に相続税の申告を行った。
しかし、父親から生前に贈与してもらった500万円に関しては、未申告だった。
基本的に暦年贈与を行っている方でも、贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなった場合、相続財産に加算されます。
“生前贈与加算”と呼ばれるこの制度は、意外に見落としやすいので注意しましょう。
また、例え贈与税の申告をしていなくても、相続のタイミングで税務署が遡って調査するため、高確率でバレます。
親子間での手渡し贈与を申告しなかった際のペナルティ
贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)の贈与額が基礎控除110万円を超えた際には、申告しなければなりません。
仮に親子間で手渡し贈与を行った際に、金額が110万円以上であれば、贈与税申告の必要性が出てきます。
贈与税の申告を隠していた場合、主に3つのペナルティが課せられます。
- 延滞税:納税が期限内に行われなかった場合に課せられる
- 無申告加算税:期限までに申告がなかった場合に課せられる
- 重加算税:隠蔽や虚偽等の申告を行った際に課せられる
故意に贈与税の申告を行わなかった場合や隠蔽、虚偽等の行為を行った場合には、高い税率が課せられます。
また、あまりにも悪質と判断された場合には、懲役刑に課せられる可能性もありますので、くれぐれも注意しましょう。
ちょっとした出来心で、社会的信用まで失う可能性もあります。
贈与税等の申告は、必ず行うようにしてください。
親子間での贈与税を節税する3つの方法
親子間での贈与税をできるだけ抑える方法としては、主に3つ挙げられます。
- 暦年贈与を活用する
- 特別非課税制度を活用する
- 教育費や生活費等に充てる
親子間での贈与は、基本的に必要最低限の生活費や教育費等に関しては、贈与税はかかりません。
もちろん程度によりますので、生活費と称して大金(110万円以上)を一括贈与し、「生活費だから…」と偽るのは違反行為です。
年間の贈与額が110万円を超えそうな場合は、特別非課税制度を活用して、贈与税をなくすのも一つの手段です。
暦年贈与を活用する
“暦年贈与”とは、基礎控除110万円を毎年贈与する方法です。
110万円の贈与でも、10年も続けば1,100万円が非課税扱いとなるため、親子間で話し合って分割で贈与する方法も得策だといえます。
110万円を超える一括贈与はできませんが、暦年贈与であれば贈与税の心配は必要ありません。
その上、基礎控除110万円以内での贈与であれば、税務署に申告も必要ありません。
特別非課税制度を活用する
贈与税を抑えるための特別非課税制度は、大きく分けて5つ挙げられます。
- 住宅取得等資金の贈与:最大1,200万円まで非課税
- 教育資金の一括贈与:最大1,500万円まで非課税
- 結婚・子育て資金の贈与:最大1,000万円まで非課税
- 相続時精算課税制度の活用:最大2,500万円まで非課税
- 配偶者控除の活用:最大2,110万円まで非課税
特に親子間での贈与の場合は、「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の贈与」等が活用できます。
また、住宅購入を検討されている場合であれば、「住宅取得等資金の贈与」も活用できますので、適応条件を満たしているか一度確認してみましょう。
個人で判断ができない場合は、一度税理士やFP等の専門家に相談してみることをおすすめします。
ちょっとした相談であれば、無料で対応しているところもあるので、問い合わせてみない手はないでしょう。
教育費や生活費等に充てる
教育費や生活費等の必要最低限の金額に対しては、贈与税はかかりません。
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
出典:贈与税がかからない場合|国税庁
また、国税庁のサイトにも明記されているように、親から受け取るお小遣いや結婚祝い、お年玉等であっても「社会通念上相当」であれば非課税扱いになります。
逆に明らかに許容を超えた金額(110万円以上)をお小遣いとして一括贈与した場合は、違反行為に当たります。
すでに親から贈与を受け取っている際の3つの対処方法
すでに親からまとまった金額の贈与を受け取っている人は、主に3つの対処方法が考えられます。
- 贈与税の課税対象になるか計算する
- 未使用の贈与額に関しては一旦返却する
- 使用した贈与額に関しては贈与税の申告を行う
「知らないうちに親からお金が振り込まれていた…。」なんてことも珍しくはありません。
まずは冷静になって、贈与税がかからないか計算してみましょう。
「すでに贈与された金額を使用してしまった」という人も、一度課税対象になるかを計算し、課税対象であった場合は贈与税の申告を行いましょう。
贈与税の課税対象になるか計算する
贈与税の計算式は、「(贈与額 ー 基礎控除110万円)× 税率」であり、1年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。
計算が面倒な方は、贈与額を入力するだけで納税額を算出してくれるサイトがあるので、そちらを活用してみてください。
また、親からの贈与であっても生活費や教育費等に活用したのであれば、贈与税の対象となる可能性が低くなります。
すでに親から贈与を受け取っているといっても、すぐに贈与税が課せられる訳ではありませんので、冷静に状況を整理することが大切です。
未使用の贈与額に関しては一旦返却する
贈与税は贈与をどのような用途で使用したかによって、課せられるか判断されます。
現時点で親から贈与されてはいるが、まだ何も手をつけていないのであれば、一度返却することで贈与をなかったことにできます。
ただし、返却するまでの時間があまりにも長い場合は、税務署側も不可解に感じてしまうので、無効とされる可能性もあります。
そのため、返却する際にはできるだけ贈与を受けてから、短い時間で行うのが得策です。
使用した贈与額に関しては贈与税の申告を行う
親からの贈与をすでに使っている場合は、ペナルティを避けるためにも、贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告を行いましょう。
一番最悪なのは、未申告がバレてペナルティを受けることですので、最悪のケースを避けるためにも申告は行っておくべきです。
仮に税務署から指摘を受けた後に贈与税の申告を行うと、本来の納税額に加えて15%〜40%が加算されます。
例え翌年3月15日までに申告が間に合わなかったとしても、自主的にその後速やかに申告したのであれば、加算税はかかりません。
まとめ
親子間の現金手渡しであっても、ちょっとしたきっかけで贈与税の未申告がバレる可能性があります。
贈与税の未申告がバレてしまうと、ペナルティが課せられ本来納める納税額以上の金額を、支払わなければいけません。
その上、ケースによっては社会的信用を失いかねませんので、かなりリスクは大きいです。
しかし、贈与税の節税方法や基礎知識を事前に身につけたおけば、わざわざ危険なやり方をしなくても、賢く贈与を行うことができます。
贈与や相続に関することで悩んでいる方は、一度FPにご相談ください。
専門家に相談することで、状況に適した最適解を得ることができます。
コメント