遺産相続のトラブルが増加中!トラブル事例と回避方法とは?

お金のはなし
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高齢化が進みお亡くなりになる方(被相続人)が増える中、遺産相続のトラブル件数も増加しています。

遺産分割協議で話がまとまらない場合、相続人や受遺者(遺産を受け取る方)は家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てることになります。

1998年には遺産分割の調停・審判の新規受理件数は10302件でしたが、2018年には15706件と20年間で約1.5倍増えています。

遺産分割でよくあるトラブル事例には一体どのようなものがあるのでしょうか?
相続のトラブル回避するためには、生前にどのような対策を行っておくべきなのでしょうか?

本記事では、遺産相続のトラブルの実態や事例5つ、争いを回避するための対策を解説していきます。

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遺産相続におけるトラブルの件数は増えている!よくある事例とは?

高齢化の影響に伴い、相続財産を遺して亡くなる方(被相続人)の数は年々増加の一途を辿っています。

相続税は2015(平成27)年の改正により基礎控除額が引き下げられ、実質増税になったことから課税対象となる被相続人も増加しています。

相続時に遺産分割協議において相続人間で話がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立て、調停員や裁判官を交えて話し合いを行います。遺産分割調停・審判の新規受理(新受)件数も年々増加傾向です。

「遺産が少ないから大丈夫」という方もいらっしゃるかもしれませんが、遺産分割事件で最も多い遺産額は「1001万円以上5000万円以下」、次いで「1000万円以下」となっている実状があります。

約7割の方が遺産額5000万円以下で調停・審判を申し立てており「遺産額が多くないからトラブルとは無関係」とは言えない状況です。

具体的な遺産相続のトラブル事例としては、どのようなものがあるのでしょうか?

不動産、兄弟間の争い…。具体的な遺産相続のトラブル事例5つと対策

  • 兄弟姉妹のトラブル
  • 分割が難しい不動産
  • 親族ではない相続人・受遺者がいる
  • 遺言書の内容に問題がある
  • 被相続人に離婚歴がある

1.兄弟姉妹のトラブル

被相続人の子供が相続人となり、兄弟や姉妹で遺産の分割内容・割合などで意見が合わないケースは数多いです。

基本的に相続は遺言書がある場合には遺言書の内容に従って分配、遺言書が無い時には法定相続分又は遺産分割協議で全員が合意する内容で取り決めます。

被相続人の子供が相続する場合の法定相続分は以下の通りとなります。

相続人の構成法定相続分
配偶者と子供配偶者:1/2子供:(全員合わせて)1/2
子供のみ全員で均等に分割

兄弟間で意見がまとまらない時には、調停を申し立てる前に法定相続分を確認しておきましょう。

また、子供のうち1人が被相続人と同居しており面倒を見ていた場合「遺産を多く分配して欲しい」と主張しトラブルが起こる事例もあります。

被相続人の財産の維持・増加について特別に寄与した者には、法定相続分の他に「寄与分」が認められます。

上記のようなトラブルが起きた場合、遺産分割協議で「寄与分」について話し合いましょう。
寄与分について相続人同士で意見がまとまらない時には「寄与分を定める処分調停事件」を申し立てることになります。

兄弟間のトラブルを防ぐためには被相続人が遺言書を残しておく、生前に兄弟で話し合っておくことが重要です。

2.分割が難しい不動産

不動産は相続において分割が難しい財産で、分割・評価方法や処遇・金銭面をめぐってトラブルが起こることがあります。

  • ローンが残っており、売却価格より残債が多い「オーバーローン」である
  • 被相続人の住んでいた家の築年数が古く売却できない
  • 評価額をいくらにするか決まらない
  • 処分するか所有するかで意見が別れる
  • 「共有分割」でトラブルに発展

上記のような事案があります。

特に各相続人の持ち分割合に応じて共同名義で不動産を所有する「共有分割」は、所有者全員の合意が無いと賃貸・売却などができないためトラブルが起こりやすくなっています。

不動産のトラブルは不動産の評価方法を知っておく、4つの分割方法のメリット・デメリットを把握する等知識を身に付けることでトラブルを回避できる可能性が高くなります。

3.親族ではない相続人・受遺者がいる

被相続人が介護施設でお世話になった職員や、内縁関係にある方、愛人など法定相続人ではない相続人・受遺者がいる時に遺産分割調停に発展してしまうケースは少なくありません。

トラブルを解決するためには、被相続人が遺言書を残しているか否か、がポイントとなります。

4.遺言書の内容に問題がある

被相続人の子供・父母などには「遺留分」と呼ばれる遺族としての最低限の取り分があります。

遺言書の内容が例えば「愛人に100%遺産を与える」という内容だった場合、遺留分を侵害していることになり、家庭裁判所に「遺留分侵害額の請求調停」を申し立てる事が出来ます。

5.被相続人に離婚歴がある

被相続人に離婚歴があり、前妻と後妻・それぞれの子供の関係でトラブルが起こる事例があります。

例えば後妻の子は前妻の存在を知らず、自身が相続人となり相続財産を取得できると考えていましたが、被相続人が亡くなった後に前妻と前妻の子が現れ遺産の分割を請求されるといったケースです。

まずは双方で話し合い、話がまとまらない時には遺産分割調停を申し立てます。

遺産相続トラブル、事前に回避するための対策4つ

上記のような相続トラブルを回避するためには、主に以下の4つの対策があります。

  • 遺言書の作成
  • 資産の組み換え
  • 生前贈与
  • 相続の知識を身に付ける

1.遺言書の作成

被相続人が遺言書を残しておくことで、相続人が遺言書を通して意向を汲みスムーズな相続が出来る可能性が高くなります。
特に、被相続人に離婚歴がある、寄付したい、内縁関係の方や認知したい子供がいる、相続の権利が無い人に遺産を与えたいなどのケースでは遺言書を作成したほうが良いでしょう。

遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があり、自身で作成する自筆証書遺言は被相続人が自筆で記入、日付と押印があること、法的に認められる内容であることが必要となります。

遺言書が法的に認められる事項は以下の通りです。

  • 財産の処分(遺贈)
  • 婚姻関係にない女性との間にできた子供を自分の子供として認める(認知)
  • 被相続人に危害・心理的苦痛を加えた相手を相続人として廃除する
  • 相続分の指定
  • 遺産分割の方法の指定
  • 遺産分割の禁止(死後5年以内)
  • 遺言執行者の指定
  • 後見人・後見監督人の指定
  • 相続人相互の担保責任の指定
  • 遺留分侵害額請求の指定

費用が掛かりますが、公証役場で公証人が作成する公証役場遺言が最もトラブルの起きにくい作成方法と言えるでしょう。

2.資産の組み換え

生前に相続の際に分割しやすい資産に組み替えておくことで、トラブルを防止することができます。

特に不動産は分割が難しいため、事前の対策が重要です。
例えば土地を売却して分けやすい区分マンションにする、戸建て住宅を売却して現金に換えておくなどの対策が有効と考えられます。

また株式や債券などの有価証券は評価方法が複雑であるため、現金に換えておく、生前贈与を行うなどの対策を取っておきましょう。

3.生前贈与

生前贈与を行う事で、相続時の負担を減らしトラブル回避に繋がる可能性があります。
生前贈与では贈与税に注意が必要です。教育資金・子育て・住宅資金の非課税措置などを活用し生前贈与を行っていきましょう。

4.相続の知識を身に付ける

相続財産の分割方法や評価方法、税金や法律に関する知識を身につけておきましょう。

分割方法には、現物・換価・代償・共有の4つがあります。

相続財産を相続人が現物のまま受け継ぐ方法が現物、財産を売却し代金を分ける換価、相続人の中で1人が代表して相続し、他の相続人に代償として金銭や財産を与える代償、共同で相続する共有が主な分割方法です。

また不動産は基本的に時価や取引価格で評価を行いますが、相続税を計算する時には土地が路線価(時価の約8割)又は倍率方式、建物は「固定資産税評価額(時価の約7割)」で評価されるため意見が別れる事があります。

トラブルになりそうな時には不動産鑑定士に鑑定を依頼し、鑑定評価額を基に判断します。

まとめ

遺産相続のトラブルは、不動産関係、兄弟姉妹の意見の不一致、遺言書の内容に問題があるなどの事例があります。

生前に贈与を行う、分割しやすい資産に組み替える、遺言書を残す、遺言書は公証人が作成する公正証書遺言にするなどの方法で相続トラブルを回避していきましょう。

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