医療費控除で戻ってくる還付金はいくら?計算方法と対象費用を紹介

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1年間に支払った医療費に応じた所得控除が受けられる医療費控除。実際に還付金がいくら受け取れるかをご存じでしょうか。

医療費控除で受け取れる還付金額は、納税者の所得や支払った医療費によって大きく異なります。

医療費による負担を少しでも減らすためにも、医療費控除への理解を深めておくことが大切です。

そこで今回は、医療費控除の計算方法と利用時の注意点を詳しく紹介します。医療費への負担が大きいと感じている方は、ぜひ参考にしてください。

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【早見表】医療費控除の還付金額

医療費控除の還付金額は、下表のように課税所得と医療費の負担金額によって異なります。

課税所得所得税率住民税率20万円(負担金額)30万円(負担金額)50万円(負担金額)
1,000円〜1,949,000円5%10%15,000円30,000円60,000円
1,950,000円〜3,299,000円10%10%20,000円40,000円80,000円
3,300,000円〜6,949,000円20%10%30,000円60,000円120,000円
6,950,000円〜8,999,000円23%10%33,000円66,000円132,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%10%43,000円86,000円172,000円
※課税所得は1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。
※総所得金額等が200万円未満の場合を考慮していません。
※実際の還付金額と異なる場合があります。

還付金の計算方法

医療費控除の還付金は、以下のステップで計算します。

  1. 医療費控除の対象範囲を確認する
  2. 控除金額を計算する
  3. 税率から還付金額を計算する

それぞれ詳しく解説します。

1.対象範囲を確認する

医療費控除の対象となるかは「治療目的であるか」で判断され、すべての医療費が対象となるわけではありません。

そのため、美容や健康促進を目的とした治療は、原則として医療費控除の対象外となってしまいます。

医療費控除を利用する際は、支払った医療費が対象範囲内であるかを確認しておくことが大切です。

対象となる費用対象とならない費用
・けがや病気の治療費
・治療や療養に必要な医薬品費
・入院費(部屋代・食事代)
・出産費
・医療器具の購入やレンタル費用
・義手や義足、松葉杖の購入費用
・通院費
※タクシー代を除く
・健康診断や人間ドックの受診費用
・サプリメントの購入費用
・自己都合による差額ベッド代
・美容整形代
・自家用車のガソリン代
・予防接種の費用
・タクシーによる通院費
※公共交通機関が利用できない場合を除く

予防目的となる健康診断や人間ドックの費用は、医療費控除の対象外です。ただし、健診によって重大な病気が発見され、治療を受けた場合は医療費控除の適用が受けられます。

ほかにも、はり師や柔道整復師による治療目的のマッサージは医療費控除の対象とされ、疲労回復を目的とした場合は対象外になるので注意しましょう。

2.控除金額を計算する

医療費控除の対象範囲を確認したら、以下の計算式で控除金額を算出しましょう。

医療費控除額 =(医療費の合計金額 ー 保険金等の補てん金額)ー 10万円(※)
※総所得金額が200万円未満の場合は「総所得金額の5%」で計算する。

保険金等の補てん金額は、生命保険や出産育児一時金、高額療養費制度などで支給された金額です。

なお、医療費控除額は最大200万円とされ、200万円を超えた控除分は対象外となるので注意しましょう。

3.税率から還付金額を計算する

実際の還付金額は、下表の税率をもとに計算します。

課税所得所得税率住民税率
1,000円〜1,949,000円5%10%
1,950,000円〜3,299,000円10%10%
3,300,000円〜6,949,000円20%10%
6,950,000円〜8,999,000円23%10%
9,000,000円〜17,999,000円33%10%

ここでは、課税所得160万円と400万円の方が20万円の医療費を支払ったケースを紹介します。なお、本計算はあくまでも概算となるため、実際の還付金額と異なります。

課税所得160万円の場合
(20万円 ー 0円)ー (160万円 × 5%)= 12万円(医療費控除額)
12万円 × (5% + 10%)= 1.8万円(還付金額)

課税所得160万円の場合
(20万円 ー 0円)ー 10万円 = 10万円(医療費控除額)
10万円 × (20% + 10%)= 3万円(還付金額)

このように課税所得が大きくなるほど、適用税率が上がり、医療費控除の還付金額が多くなります。

医療費控除を利用する際は、還付金額を計算したうえで進めるとよいでしょう。

医療費控除を活用する際の注意点

節税効果が見込める医療費控除ですが、利用時には以下の注意点があります。控除が受けられなかったり、申告内容を誤ったりしないよう、利用前に確認しておきましょう。

  • 確定申告が必要になる
  • 保険金などの補てん金額を除外する
  • セルフメディケーション税制と併用できない
  • 還付申告の時期によっては住民税が還付されない

確定申告が必要になる

医療費控除は年末調整で適用が受けられないため、確定申告をしなければなりません。

確定申告の期限は、医療費を支払った翌年2月16日〜3月15日と規定されています。

なお、医療費を支払った証明として、1年間の医療費をまとめた「医療費控除の明細書」の添付が義務付けられています。

領収書の提出は不要とされていますが、5年間の保存が必要です。

また、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用している場合は、あわせて申告しなければ無効となってしまうため注意しましょう。

保険金などの補てん金額を除外する

前述のとおり、医療保険から受け取った保険金や、社会保険制度による給付金を受け取った場合は、医療費控除から差し引かれます。

ただし、補てん金額のすべてが差し引かれるわけではなく、支給対象となった傷病やけがの医療費が上限となります。

たとえば、腕を骨折した際の医療費が20万円かかり、医療保険から50万円受け取った場合は、支払った医療費分の20万円が補てん金額として差し引かれます。

高額療養費制度や損害保険といった複数の給付を受けている場合も、実際に支払った費用が限度となるので、申告時に間違わないように注意しましょう。

セルフメディケーション税制と併用できない

医療費控除とセルフメディケーション税制は、選択制となっているため併用することができません。

セルフメディケーション税制とは、特定の医薬品を購入した際に受けられる医療費控除の特例制度です。

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、厚生労働省ホームページで確認できます。

なお、セルフメディケーション税制の適用を受けるには、がん検診や定期健康診断などの健康維持への取り組みが必要となるので、制度利用前に健診を受けておきましょう。

還付申告の時期によっては住民税が還付されない

納めすぎていた税金を取り戻すために還付申告をしても、住民税が還付されない可能性があります。

還付申告期限は翌年1月1日から5年間と規定されており、申告時期が住民税額決定後となるケースが少なくありません。

住民税額は、年末調整や確定申告をもとに決定されているため、住民税確定後に還付申告をしても再計算されないケースがあるのです。

なお、住民税の還付をしているかは自治体によるので、還付申告前に市区町村役場で確認してみましょう。

医療費を支払ったときは医療費控除を活用しよう

医療費控除を利用すると、納税額が減ったり、還付金が受け取れたりする節税効果が得られます。

けがや病気などで支払った医療費の負担を少しでも減らしたい方は、医療費控除を利用しましょう。

なお、申告時期によっては住民税の還付が受け取れない場合があります。申告時期や方法に不安がある方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのがおすすめです。

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