日本FP協会が開催するFP2級試験の「不動産」は出題範囲が広く、点数が取りにくい分野と言われています。
しかしポイントをおさえて勉強する事で忙しい方や社会人でも効率的に学習ができ、合格へ近づくことが出来ます。
「図に書いて理解する」「頻出の法律を確実におさえる」等が重要となります。
この記事ではFP2級の概要と受験資格、不動産の出題範囲と傾向、学習方法をお伝えしていきます。

FP2級試験とは?
FP2級技能士は人生の総合的な資金計画を立て、経済的な側面から目標を実現する「ファイナンシャル・プランニング」をサポートする専門家です。
住宅ローンや税金、不動産、相続など生きていく上で必要となるお金の知識を学び、顧客の資産設計を応援していきます。
FPは家計の管理や年金・社会保険、資産運用や住宅資金など幅広い相談に対応するため、1級・2級・3級と3段階の難易度でそれぞれ学科試験と実技試験(資産設計提案業務)を実施しています。
FP2級不動産の受験資格とは?
FP3級の受験資格は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」とされていますが、FP2級は以下の通りになっています。
- AFP認定研修の受講修了者
- 3級FP技能検定合格者
- FP実務経験2年以上
FP3級所得者だけではなく、AFP認定研修の受講修了者やFP実務経験2年以上の方も受験可能です。
AFP認定研修は日本FP協会の認定を受けた教育機関のスクールへの通学、DVD・インターネットによる学習など様々な形態のものから、自身のスタイルにあった講座を選ぶことができます。
研修の総仕上げとして、課題に基づいた「提案書」(ライフプランを実現するための計画書)を作成し提出します。

学習期間は1ヵ月以上ありますが、受講開始から1年以内に修了することが条件となります。
FP2級不動産の出題範囲と傾向とは?
日本FP協会が主催する2級FP試験における出題範囲と傾向を見ていきましょう。
不動産の見方や取引、税金、法律など学習範囲は多岐に渡りますが、取引、法令上の規制など頻出分野をおさえることで効率的に学習することができます。
FP2級不動産の出題範囲
FP2級の出題範囲は不動産の見方、不動産の取引、不動産に関する法令上の規制、不動産の取得・保有に係る税金、不動産の譲渡に係る税金、不動産の賃貸、不動産の有効活用、不動産の証券化、不動産の最新の動向となっています。
3級と同様に見えますが、特に法令上の規制や税制分野ではより専門的な問題が出るため、より深い法律・税金の知識が必要となります。
建蔽率・容積率の計算も3級より難易度が高くなっています。
出題傾向
以下が不動産分野の項目別における出題数ランキングとなっています。
項目 | 出題数 | |
1 | 不動産の取引 | 68 |
2 | 不動産に関する法令上の規制 | 63 |
3 | 不動産の見方 | 34 |
4 | 不動産の取得・保有に係る税金 | 28 |
5 | 不動産の譲渡に係る税金 | 25 |
6 | 不動産の有効活用不動産の証券化 | 16 |
出題なし | 不動産の賃貸 | – |
不動産の取引、法令上の規制、見方、税金はしっかりおさえておきましょう。
FP2級不動産の項目別ポイント
上記の不動産における出題数で上位となった「不動産の取引」、「法令上の規制」「不動産の見方」のポイントについて詳しく解説していきます。
不動産の取引
不動産の取引では借地借家法、不動産の売買契約に係る民法の規定、宅地建物取引業法の出題頻度が高くなっています。
法律に関して理解を深め、覚えていく過程では自身で「表にする」「まとめる」ことが重要となります。
例えば媒介契約の種類は以下のように表にすることが出来ます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
有効期間 | 無制限 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
自分で見つけた相手と契約 | 〇 | 〇 | × |
他の業者と取引 | 〇 | × | × |
テキストにも上記のような表が掲載されている事がありますが、自身でテキストの文章を読み、パソコンやノートに手書きする事でまとめてみましょう。
まとめる時に意識するポイントは「自身に分かるように書く」のではなく、「全く不動産の知識が無い人が見ても分かる」という点です。
例えば上記の表を不動産の知識がない方が見た時「まず媒介契約とは?」「レインズとは?」と疑問を抱くでしょうが、「媒介契約=不動産会社に仲介を依頼する取引」「レインズ=指定流通機構。国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているシステム」と基礎知識を説明できるようにしましょう。
「知らない人に向けて書く」ということは「自身の中で意味を咀嚼し、分かりやすく伝える」ことでもあります。そのため語句の意味や法律の解釈などの理解を深めていく事が出来ます。
不動産に関する法令上の規制
建築基準法、都市計画法、建物の区分所有等に関する法律などの出題頻度が高い分野です。
建蔽率や容積率の計算は3級より複雑な問題が出る可能性が高いですが、分からなくなった時はテキストを熟読し練習問題を解いていきましょう。
都市計画法の用途地域は上に書いた通り表にまとめ、理解を深めていきましょう。
不動産の見方
不動産の見方は不動産の登記や調査、土地の価格、不動産鑑定に関する出題が多いです。
基本となる部分ですので、しっかりおさえておきましょう。
4つの土地価格に関しては表にまとめて理解、登記は語句の意味や理解・暗記を行い、登記情報の見方を覚えておきましょう。
2級FP試験・不動産のポイント
不動産分野は馴染みの薄い方も多く、今まで住宅を購入した事のない方にとっては難しいと感じる分野となります。筆者も学生時代に2級FPを取得したため、不動産や相続分野は最初「とっつきにくい」と感じる事がありました。
ただ不動産の売買は高額な取引となるため、顧客のファイナンシャルプランを設計する上で欠かせない部分です。
「いつ家を買うか」「家をいくらで売るか」「どうやって売買するか」などを分かりやすく相手に伝えるためには、十分な理解が必要となりますので、「自分が家を買う時はどうだろう」「もしマンションに住んだら」と想像しながら勉強を進めていくのも良いでしょう。
理解が難しい時には「表にする」の他に「絵に描く」こともおすすめの方法です。
例えば売買の取引を売主と買主・不動産仲介業者の関係を絵に描くことで役割が明確化しスムーズに理解できることがあります。
様々な方法で理解を深め、合格を目指しましょう。
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